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原作に介入=生 不介入=死 何だ!この世界は!

作者:zinn
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21話

 
前書き
夕の六課参加の理由が無茶な気もしますが多めに見てください。 

 
公開意見陳述会2日前。 部隊長室。はやてと剣がいた。

「夕君を?」
「うん。夕を数日借りたいだ」
「それはええけど、何をさせる気なんや?」
「ちょっと調べて欲しいことがあるんだ。本当なら僕が直接行くんだけど 。今回の件だと、局員の僕が行くより顔が知られていない夕に任せるのが得策なんだよ」
「う~ん。何か怪しいなぁ。剣君。私に隠し事してへん?」
「うん。してるよ」
「しとるんかい!」

笑顔で隠し事をしていると剣に思わず突っ込むはやて。

「でも、安心して。はやて逹に迷惑がかかるような隠し事は誓ってしてないから」
「………わかった剣君を信じる。夕君は何時戻れそうなん?」
「公開意見陳述会の日には帰れる予定だけど少し遅れるかもしれない」
「了解や。できるだけ早く帰るように夕君に伝えといてや」
「伝えておくよ」

剣は部屋をあとにする。

「部分鉄塊 拳!」
「鉄塊!」

鉄と鉄がぶつかる高い音がなり響く。
夕は拳をスバルの体から離す。

「鉄塊はできるようになったな」
「はい。でも身構えてないと成功しないですよ」
「こればっかりは時間をかけるしかないな」

それにしてもフォワード陣はすごいな。なのは逹の訓練で基礎がしっかりしてるのもあるけど。それを差し引いてもすごい修得スピードだ。これは才能というより、心の問題だな。ただ真っ直ぐに技術を修得しようとして強くなろうとしてる。そこに余計な雑念がないから呑み込みが段違いにはやい。この4人が俺の教えた技を修得して、自分の動きに完璧に取り込めたら今、以上に強くなるな。

「夕。はやてに許可もらったから例の件、頼むよ」
「了解」
「夕さん。どこか行くんですか?」
「そこにいる。爽やかイケメンに頼まれごとをしてるんだ。2日程、空ける」
「そうなんですか。頑張ってくださいね」
「ああ。剣行くぞ」
「うん」

夕と剣は出かけていった。
その日の夜。

「ただいま」
「パパおかえり~」
「ただいまヴィヴィオ」
「パパ、パパ!ゆうは?」
「夕?」
「あそんでもらうとしたらいなかったの!」

頬を膨らませるヴィヴィオ。こうして見るとヴィヴィオが夕を友達と認識しているのがわかる。

「ごめんねヴィヴィオ。夕がいないのはパパが頼みごとをしたからなんだ」
「パパが?」
「そう。大事なお仕事を頼んだんだよ」
「う~いつかえってくるの?」
「明後日には帰ってくるよ。それまで我慢しよう」
「わかったかえってきたらあそぶ~」
「よし。いい子だ。今日はパパと遊ぼうか?」
「うん!」

二人はトランプやゲームで遊んだ。フェイトやなのはが帰ってきてからは二人も参加して賑やかに夜は過ぎていった。

そして公開意見陳述会前日。なのはと剣、ヴィータ、フォワード陣はヴィヴィオに見送られ、ヘリに乗って会場に移動している。

「…つる…ぎ…ん。剣君!」
「え?」
「どうしたのぼーとして」
「ごめんごめん。考えごとしちゃって」
「何を考えごとか?」
「公開意見陳述会のことだよ。スカリエッティが何もしてこないとは、どうしても思えないんだ」
「うん。私もそう思う。でも私逹が入れば大丈夫だよ」
「…そうだね」

未来を知っている剣にとってこの問題は楽観視できるものではなかった。

「エリオは僕のツインを頼むね」
「はい。大切に預からせてもらいます!」

なのはのレイジングハートはスバルが、フェイトのバルディッシュと剣のツインはエリオが預かっている。フォワード陣の中でも素早く動ける二人がデバイスを預かることになった。
はやてのシュベルクロイツとシグナムのレヴァンティンはヴィータがもっている。

「それじゃあ僕逹は中に入るから」
「はい。任せてください」

公開意見陳述会が始まる。始まって数時間は何事もなく陳述会は行われていた。問題が起こったのは空が橙色に染まり始めた時だった。警備システムがハッキングされ、外と中が隔離されたのだ。

「剣!」
「襲撃が来たようだね。なのは、フェイト!中ははやて逹に任せてすぐにフォワード陣と合流しよう」
「「うん」」

原作を知っている剣は早かった。エレベーター口から下に下りて合流地点に急いだ。

「(六課への攻撃が始まるのも時間の問題。頼むよ夕)」


その頃、夕は。

「そろそろ来る頃か?」

六課の寮の自室にいた。今朝のはやてへの報告では夕はまだ帰ってきていないはずなのだ。転送ポートが故障(スカリエッティにより使用不能にされている)して帰るに帰れない状態になっているはずなのだ。

話は機動六課設立前、剣が夕の家に来たときまで遡る。

「はやての次はお前か?」
「正確にははやてが帰る頃を見計らって来たんだけどね」
「それでご用件はお前も六課に入れってんじゃないだろうな」
「………」
「そのまさかかよ…理由を話せ。話はそれからだ 」

「ここ数年、長期任務に出た部隊が襲撃される事件が多発してるんだ」
「物騒な話だな」
「そうだね。管理局もこの事件はかなり重く見て調査してるんだけど、全く進展しないんだ。わかってることは襲撃者がレアスキルを持った銀髪の男でSランクオーバーの魔道師であるってだってことのみ。僕はこの襲撃者をイレギュラーか転生者だと思っている」
「おいおい。それは早計すぎじゃないか?原作で語られてないだけってこともあるだろう」
「僕も最初はそう思ったけど、この事件が引き起こした問題がはやての部隊設立を潰しかけたんだ」

 剣の話によると襲撃者により再起不能や死亡した局員が複数いるらしく。局は前以上の人手不足に陥っているらしい。そんな中で成功するかもわからない新人部隊長の部隊に人員を割くことはできないと上層部の一部ががはやての部隊設立に反対したらしい。実際、剣が三提督に進言し、はやてが聖王教会に強い協力を求めなければ、設立すら怪しいところまで行ったらしい。
 イレギュラーか転生者かわからない存在により原作が完全崩壊するところだったのだ

「はやてが部隊を設立するのは。次の原作が始まる上では絶対になければならないことだ。それが僕が動かなければ設立すら危うくなるなんてどうみてもおかしい」
「………確かに妙な話だ。ならばそれはイレギュラーか最後の能力持ちの転生者の仕業であると考えたわけだな」
「うん。そして僕が一番恐れているのは、イレギュラーか転生者かわからない存在が次の事件の黒幕側の人間であることなんだ」
「あり得ない話じゃないな」
「その存在が黒幕側だったなら。最悪六課メンバーの誰かが命を落とす可能性すらある」
「………」
「僕は全力でそれを防ぎたい。でも僕一人ではどんなに頑張っても一つのところしか守れない」
「そこで俺の力を借りたいってことか?」
「フォワードや隊長になってくれとは言わない。それでも僕がいないときは六課の戦えない皆を守って欲しい」
「その言い方だと、あるんだな?戦えない六課メンバーが危険にさらされる事件が」
「うん。それに何時取り返しのつかない他のイレギュラーが起こるかわからない。それを出来る限り防ぐためにも力を貸してほしいんだ」
 
取り返しのつかないイレギュラーが起こり、原作が大きく崩壊すれば世界にどんな影響が出るかわからない。平穏な生活のためにも、それだけは夕にとっても防がなければならないのだ。夕は親友の頼みと、過去に無理やり原作キャラに関わらせてきた世界の力への警戒を考えた結果、剣の頼みを受け入れたのだった。

人型の召喚中を連れた少女が六課の中を歩いている。

「この先だね。ガリュー」

少女ルーテシアが頼まれたのは金色の髪の少女の確保である。データにあったヴァイスは先程倒したのでもう彼女達を止められる人物はいないはずだった。
何者かの気配を感じたガリューはルーテシアの前に出る。

「ガリュー?」

ルーテシアが首を傾げた瞬間それはきた。
無数の小さな物体が飛んでくる。ガリューは飛んできた物体を叩き落とす。通常ならそれで終わりなのだが。叩き落とした物体は壁や地面を跳ね返り、再び襲いかかってきたのだ。それだけに限らず。新たにその物体が飛んできてにその数を増やして行くのだ。さらに面倒なことにその物体一つ一つにかなりの破壊力があるのだ。

「ガリュー」

ルーテシアが心配そうな顔を向ける。ガリューはすこしそちらを見る。しかし。その行動がガリューの命取りとなる。
 ガリューが視線を外した瞬間。人影がもうスピードで突っ込んできたのだ。

「鉄塊玉 旋風」

回転をしながら突っ込んでくる人影は縦横無尽に反射する物体をものともせずにガリューに接近し吹き飛ばした。反射する物体とルーテシアを守ることに気を取られていたガリューにそれを防ぐことはできない。

「ガリュー!?」

ガリューは壁に叩きつけられ完全に埋まる。

「ノッキング!」

起き上がろうとしたガリューに止めの一撃が入り、完全に沈黙する。

「ひっ!」

ルーテシアはたった二撃でガリューを倒した人物に恐れを抱く。

 その人物=夕はルーテシアを見る。

「悪いな。襲撃者相手に長々と相手をする気はないんだ。その召喚虫のことなら心配するな。動きを止めただけだノッキングを解除すればすぐに動けるようになる。だから」
「っ!!」
ルーテシアはとっさにプロテクションを張って召喚の時間を稼ごうとする。

               <だから静かにお休み>

プロテクションは紙の様に破られ、ルーテシアの意識が闇に沈んだ。

「先ずは一人と一匹」

夕はスーパーボールを拾い。そこにいる者逹を移動させて入り口に向かう。
入り口ではザフィーラとシャマルが二人の戦闘機人を相手に苦戦を強いられていた。そこに念波が入る。

【ザフィーラ!シャマル先生!】
「この念波は!【【夕!(夕君)】

ここにはいないはずの人物の念波は二人を驚愕させるが。さすがは歴戦の騎士と守護獣。すぐに夕の存在を受けいれる。

【建物の中に入ってください。外の奴等は俺が片付けます】
【大丈夫か?相手はかなり手強いぞ】
【誰に言ってるんですか?】
【ふっ確かにな。お前の強さは戦った我々が一番よく知っている】
【二人は中の六課メンバーをお願いします】
【わかったわ。気を付けてね】

二人が方向転換し、六課の建物に入る。それを見ていた。戦闘機人、オットーとディードは追撃しようと動きかけて止める。姉であるウーノが連絡があったのだ。 建物の中にいるルーテシアと連絡が途絶えたと。 そして忠告される。六課の中にはまだ。ルーテシアを倒す実力を持った人物がいると。
 二人は警戒しながら中に入って行くことにする。そうしていると中から声が聞こえる。

「流石に二度目の不意打ちはできないか」

 建物から出てくる人物を二人はデータから検索する。

「島田夕。六課の生活補助スタッフの長を務める男」
「戦闘能力…高い腕力を持つこと以外、データなし」
「おっ?俺のデータは持っているのか。さっきの女の子が知らなかったからてっきり知られていないものかと」

 二人にはわからない。フォワードでも隊長でもないこの男がどうやってルーテシアとガリューを倒したのか?そもそも二日前から外出し転送ポートへの細工により戻って来れなくなっている男が何故目の前いるのか?

「ディード」
「(こくん)」
二人は連携を取り、そうそうに夕を撃破することにした。ガジェットを操り、夕に突っ込ませる。夕がガジェットを撃破したことで生まれる隙をついてオットーが光線が放つ。夕は最低限の動きでこれをかわす。そこにディードが二刀流の光剣で斬りかかる。見事な連携である。

「見事な連携だ。教科書を見てるようだ。故に脆い」

だが、相手が悪い。二人の稼働時間は長くない。実戦経験もほとんどない。そんな二人では戦闘データの無い夕の相手は厳しすぎたのだ。斬りかかってきたディードの腕を裏拳で弾き、剣の軌道をあっさり変える。そのまま、連続蹴り人体の急所を蹴る。

「がはっ!」
「ディード!この!」

オットーは夕をバインドで縛り、光線を放つ。夕はバインドをあっさり壊すが光線はもう避けられる距離ではなかったので手刀で切り裂く。夕は分解する波動(アナライズ・ウェーブ)を手に纏ったのだ。数年前より進化したアナライズ・ウェーブは実体のないエネルギーなら魔法でなくても分解できる様になった。

「なっ!?」

ここで戦闘経験の少なさがでる。オットーは自分の攻撃がいとも簡単に破られたことに驚愕し動きを止めてしまったのだ。その状態で攻撃をくらい意識を手放す 。

「終わったな」
「まだよ~」

空にホロウィンドウが開き、メガネをかけた女が映し出される。

「まさか、お嬢様だけてなく。ディードちゃんとオットーちゃんまで倒すなんてびっくりしたわ~」
「それはどうも、それで次はあんたがくるのか?」
「そうね~うん。そうさせてもらうわ」

夕の前にメガネの女が現れる。ただし、その数は50を優に超えている。

「たくさんで押し掛けてごめんなさいね~」
「幻術か?」
「そうよ。どれが本物かわかるかしら?」
「見ただけじゃわからないな」
「そう。た~ぷりいたぶってあげるわ」

こいつ性格悪いな。さて、どうするか?……よし、もっとも簡単な方法で行くことにしよう。
夕は足を開いて曲げて、全体的に前屈みになり目を閉じる。

「そうそう大人しくしててね~」

その体勢を諦めたと思ったのか笑う。夕は一度、大きく深呼吸して目を開く。

「はぁぁぁぁぁ!!」

夕の体から赤いオーラが溢れ出し、巨大な赤い鬼が見える。

「お、鬼!?」

夕の威嚇にクワットロは怯える。

「そこっ!空弾 巨牙!」

クワットロの本体は吹き飛ばされる。

「どう…して?」
「お前が俺の威嚇に怯えて集中力を乱したことで幻術がぶれたんだよ」
「人間…ふぜいに」
「寝てろ」

腹部を踏みつけてクワットロをノックアウトさせる。

「これで終わりならいいんだけど、まだ続きそうだな」

その言葉を肯定するように魔力弾の雨が降り注ぐ。夕はその場を離脱する。そこに全身をフードで覆った何者かが現れ(放置していた)クワットロを拾って撤退していく。六課防衛が仕事である夕は追撃はしないでその場に留まった。
それから10分程して

「夕さん!」
「おお、エリオにキャロか?無事か?」
「夕さんこそ。どうしてここに?まだ、帰ってこれないはずじゃ」
「まあ、そこについては後で話す。とにかくこいつらを連れて中に入るぞ」
「こいつらって…戦闘機人!?」

夕はディードとオットーを両肩に担いで中に入って行った。

 そもそも転送ポートから移動した夕が何故、この世界にいるのか。その答えは夕が持つ次元移動系ロストロギアにある。 あのロストロギアは何度次元転移をしても基点とした世界に戻ることができる力を持っている。(最近気づいたことなのが)これは転移であれば別にそのロストロギアを使った転移でなくても構わないのだ。これを利用し、夕はミットチルダを基点として設定しておき、戻ってきたのだ。その後、剣に手引きしてもらい。こっそり自分の部屋に帰ってきていたのだ。
これで夕の情報が敵に伝わっていても、いない人物と考えられ、敵に警戒されることなく好き勝手に動き回れたということである。 
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