美しき異形達
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第七話 三人目その八
「そうなのね」
「結構好きだぜ、鎌倉も」
「お寺が多いのよね」
「そうそう、大仏さんもあって」
「奈良と一緒ね、そこは」
「いや、それがさ」
鎌倉の大仏についてだ、薊は裕香に応えて少し微妙な顔になってこう言った。
「奈良のと比べると小さいんだよ」
「そうらしいわね」
「ああ、奈良の大仏ってでかいよな」
「世界一だったかしら、ああした像の中で」
「大きさだけだと怪獣だからな」
「あの大きさで歩いたら特撮よね」
奈良の大仏はとかく大きい、立った大きさはまさにその域だ。
「本当に」
「だよな、あたし小学校の時修学旅行で見たけれど」
「鎌倉の大仏さんよりずっと大きかったのね」
「倍はあるんじゃねえのか?」
その大きさはというのだ。
「あれだと」
「鎌倉の大仏さんってあまり大きくないの?」
「奈良のが大き過ぎるんだよ」
東大寺にある、尚この大仏は三代目だ。
「よくあんなの作ったな」
「それも二度も焼けてるのにね」
「だよな、清盛さんが焼いてな」
初代である、これを平清盛一代の悪行と批判する声が多い。
「次はあれだよな、戦国時代に」
「そう、松永弾正久秀が焼いたのよ」
「それで今あの大仏さん三代目か」
「もう出来て何百年よ」
「古いな、かなり」
「奈良じゃまだ新しい方よ」
奈良にある大仏達の中では、というのだ。
「あの大仏さんはね」
「三代目としてはだよな」
「そう、東大寺自体の歴史は古いけれど」
当代、つまり三代目の大仏についてはというのだ。
「あの大仏さんは新しいのよ」
「奈良って古いからな」
「京都より古いからね」
飛鳥時代を含めれば相当なものだ、まさに歴史の場所である。
「私のいた吉野も天武天皇や後醍醐天皇がおられて」
「それで十津川で剣道が盛んだったんだよな」
「そうそう、柳生でもね」
「柳生な、新陰流の」
「柳生の方はあまり有名なお寺がないの」
裕香は薊達にこのことも話した。
「本当にあちこちにお寺や神社があるけれどね」
「お城もあったわね」
菖蒲は裕香に神社仏閣以外のことを問うた。
「郡山に」
「大和郡山城ね」
「ええ、あそこに」
「あるわよ、あのお城結構立派なのよね」
「それと天理市には天理教の神殿があったわね」
「よく知ってるわね、そうよ」
「この町、八条町には天理教の大きな教会があるの」
菖蒲は薊と裕香にこのことも話した。
「八条分教会というね」
「へえ、天理教の教会ねえ」
「この街にもあるのね」
「あるわ。この街にもね」
こう二人に話す。
「よかったら行ってみるといいわ」
「横須賀にもあったな、天理教の教会」
薊は菖蒲のその言葉にしみじみとした口調になって述べた。
「自衛隊の基地の近くに」
「そうそう、奈良県は天理教のお膝元だから」
裕香は天理教のことも話した、奈良県は天理教が生まれた場所であるので天理教の教会もかなり多いのだ。
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