つまらないもの
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第三章
第三章
「CD。欲しいよね」
「欲いっていうか」
「違うっていうのかな」
「聴きたいかな」
どちらかというとそれだとだ。連は答えた。
その答えを聞いた管はだ。やはり満足した顔になってだ。連に言うのであった。
「わかったよ。それじゃあね」
「うん、CDプレイヤーとかあるよね」
「違う違う、そんなのじゃないよ」
「そんなのじゃない?」
「オーディオルームがあるから」
「オーディオルーム?」
「そう、地下にね。あるんだ」
そうした部屋があるというのだ。
「そこに行こうか」
「オーディオルームって」
「知らないかな。音楽を聴く部屋だけれど」
「それは知ってるけれど」
連にはそうしたもので音楽を聴く発想がない。彼の頭の中では精々プレイヤーで聴く位だ。だからオーディオルームと言われてもわからないのだ。
それでだ。こう管に言うのだった。
「家にそんなのがあるんだ」
「あるよ。俺の家にはね」
「そうなんだ。あるんだ」
「じゃあそこに移って聴こうか」
こうしてだった。管に言われてだ。連はその地下のオーディオルームに入った。その部屋もまたリビングと同じ様な場所でだ。その中のソファーに座ってだった。
二人で音楽を聴く。そのデスメタルをだ。それを聴いているとだ。
管はだ、ふとこう連に言ってきた。
「君さ」
「僕?」
「君は将来何になりたいのかな」
こうだ。連に対して問うてきたのだ。
「将来は何のなりたいんだい?」
「将来って」
「俺はあれだよ」
管は連が返答に戸惑っているのを見て自分から言ってきた。
「まずは警察官僚になるんだ」
「お父さんの跡を継いで?」
「そうさ。東大法学部に入ってね」
「東大法学部」
「入るさ。絶対にね」
それがもう決まっているかの様にだ。彼は話すのだった。
「それから警察官僚になってお爺ちゃんの跡を継ぐんだよ
「政治家になるんだ」
「それで日本を動かすんだ」
このこともだ。決まっている様に話すのだった。
「そうなるんだよ」
「凄いね、何か」
「そしてその為には」
どうするかもだ。彼は話す。
「お金も必要だし権力も必要だね」
「権力?」
「だから警察官僚になるんじゃないか」
その為にだというのだ。警察官僚になるのはだ。
「違うかい?それは」
「警察ってあれじゃないの?」
連は戸惑いながら管に問うた。
「悪いことをさせない、悪い人を捕まえる為にあるんじゃないの?」
「ははは、違うよ」
「違うって?」
「警察はそうした組織じゃないさ」
こう言うのだった。
「あれだよ。権力の為だよ」
「権力の為って」
「そうだよ。警察は一番確かな権力が存在している場所なんだ」
少なくとも彼はこう考えていた。
「そこに入ってそれからね」
「政治家になるんだ」
「キャリア警察官僚になれば政治家になっても色々できるじゃないか」
「そういえばそうした人もいるね」
「山縣有朋からね」
警察官僚の権力の大きさは確かに事実でありそれは歴史的にも言えることだ。山縣有朋は警察にも権力基盤があり辣腕を振るったのだ。
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