戦国異伝
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第百六十話 四人の男達その十一
「攻めて来るからな」
「だからですな」
「ここは」
「休めることは期待出来ぬ」
例え夜であってもだというのだ。
「近江でもそうだったからな」
「では、ですな」
「ここは」
「うむ、この夜もな」
休むことなくというのだ。
「戦うことになるぞ」
「それではです」
石田が森の言葉を受けてだった、こう言った。
「今から茶を飲みましょうぞ」
「茶をか」
「はい、茶をです」
それをだというのだ。
「皆で飲みましょう」
「馬鹿な、こんな時に茶なぞ」
家政が眉を顰めさせて石田に問う。
「飲むなぞ」
「いえ、夜通しの戦になるからこそです」
それ故にだとだ、石田はその家政に返す。
「ここは飲むべきかと」
「あれか」
浅野がそう聞いて言うこととは。
「茶は目が醒めるからか」
「はい、ですから」
「眠くならぬ様にじゃな」
「そして息抜きにもなりますので」
その考えもあってだというのだ。
「ここはです」
「まずは茶を飲みか」
「戦いましょうぞ」
「ではな」
浅野も頷いた、そしてだった。
彼等はまず茶を飲んだ、するとだった。
確かに目が冴えた、森もそれを感じ笑って言った。
「中々よいのう」
「では」
「うむ、ではな」
それではだというのだ。
「これからな」
「はい、夜も戦いましょう」
「殿が来られるまで」
「兵達の分はあるか」
森は茶の量についてだ、石田に問うた。
「これだけは」
「申し訳ありませんがそこまでは」
茶も高い、だからそこまではというのだ。
「ありませぬ」
「そうか、では我等だけか」
「兵達は全てが常に戦う訳ではないので」
ここで言ったのは大谷だった。
「ですから交代で休ませましょうぞ」
「そうしてじゃな」
「朝まで戦えばよいかと」
「そうじゃな」
森は大谷のその言葉にも頷いた、そしてだった。
茶を飲み終えたところで立ち上がる、そこで兵達に飯を喰らう様に言った、そのうえで。
「休めと」
「交代で、ですか」
「そうじゃ、休め」
そうせよというのだ。
「わかったな」
「はい、わかりました」
「それでは」
「うむ、ではな」
兵達は順次休ませる、そうしたことも決めてだった。
森達は信長が来るまで踏ん張ることになった、そのうえでだった。
夜になった、その夜本願寺では。
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