とある彼/彼女の籠球人生
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プロローグ
前書き
はじめまして、駆瑠といいます。
まだプロローグの段階ですが、読んでくださっている方がおられましたら感謝します。
さっそくですがこの小説には以下の注意事項がございます。
・性転換
・強くてニューゲーム(経験値的に)
・更新不定期の可能性大(その場面での状況を友人(一応バスケ経験ありの)と検証することがあるので遅れるかもしれません)
あと、作者はこのサイトでの小説投稿は初めてなのでまだシステムに慣れてません。なのでところどころで変なミスをしているかもしれません。
以上をみて、それでも読んでやらんこともないという方はよろしくお願いします。
それではどうぞ。
「これ■り、■泉中■校対山科■■■の試■を■じめ■■す」
ところどころノイズのような音に呑まれうまく聞き取れなかったものの、これから試合をすることだけは理解できたし、自分にはそれだけ分かれば十分だった。
「━━━━━━」
相手の選手━━━顔が見えない━━━が手を差し出してくるが握手ではない。まるで長年連れ添った相棒みたいに相手の求めているものが理解できた時には片手を振ってタッチを交わし、自分の持ち場へと歩いていく━━━━途中気付いた。周りの選手達の胸が大なり小なり膨らみがあることに。
慌てて自分の姿を見下ろせば自分の胸にも筋肉ではない膨らみがあった。
あったが━━━━。
(そんな事よりジャンプボールだ)
わりかしどうでもよかった。
それよりも今は大事なバスケの試合開始直前だということ。その緊張感があればいい。
ボールを構えた審判の前で相手選手と向かいあって身体に力を溜め込む。
その拍子に金色━━━━黒じゃ無かったか?━━━━に染まった自分の髪がちらりと見えたが、やはりどうでもいい。
今この瞬間だけは、もう“二度と体験できない“感覚に浸りたい。
「■■■■■■」
いままでノイズ混じりだった声がとうとう聞こえなくなった。
それでも意識はボールに集中し━━━━。
「■■■■■■!!」
真上に放られたボールを追うように跳躍。落ちてきたボールに手を伸ばし━━━━。
「……ッ……」
覚めた。
(……夢か……)
さっきまで感じていた緊張感が霧散していくのを寂しく思いながら、かろうじて動く首を傾ければ家族や親戚の顔が見えた。皆一様に顔を俯け、すすり泣いていた。
「なんだ。目を覚ましたのか」
が、例外もいるようでベットのすぐそばにいる眼鏡を掛けた男だけはいつも通りの無表情だったが。
「……いたのか……亮二」
「あぁ、血縁があるわけじゃないがな。お前の最期だ。無理を言って入らせてもらった」
「……ゴホッ……腐れ縁か……」
「まったく……厄介な腐れ縁もあったものだな。当時はこんなところまで付き合いが続くとは思わなかった」
こいつ━━━━新井 亮二との付き合いは中学から。自分はバスケットという競技に魅せられて、この男は部活ならなんでもよかったという理由で同じタイミングで入部届けを出したのがきっかけ。それ以降自分はC(センター)、こいつはPG(ポイントガード)として一年から県を、全国をまったく馬が合わないまま互いに罵り合いつつ戦い抜き中学を卒業。そこで終わらず自分は特待生として、こいつは将来とやらを見据えて選んだ高校は同じ高校。そこでもこいつは中学時代やっていて慣れている、という適当な理由でバスケ部に入部。そこで互いに同じ高校に入っていたことに気づかなかった二人がバスケ部で遭遇。大学以下略。
大学卒業後、大手の会社員になりたかったというこいつを巻き込み日本のとあるバスケチームに所属することになり、やがて相手は日本の選手から世界の強敵に移っていった。
「言っておくが……俺は俺の人生計画を狂わせたお前をこれっぽっちも許していないぞ」
「そういう…ゴホッ…なよ……。お前のシューッ…ゴホッゴホッ…シュートにはマジで惚れてゴホッ…惚れてたんだ……」
ドリブル、シュート、パス。基本をこれでもかというほど突き詰めて得たスキルの数々。特にドライブからのストップ→3Pという一連の動きは見慣れている筈の自分ですら、いつシュートモーションに入ったのか気づかない時があるほど鮮やかだった。
「そして三日三晩の勧誘地獄に屈して行った道の先が世界か……。そういえばアメリカの“彼“からも連絡があったぞ。“まだ決着がついていないのに死ぬとは何事か!?“とな」
名前こそ出さなかったものの、顔をしかめたこいつの表情とアメリカという単語から誰のことかは分かった。
「あの人か……そういえば……勝ったり負けたりを繰り返したせいで…ゴホッ…どちらも勝ち越したことが……なかったな……。
なぁ……頼みが「断る」まだ……言ってねぇ……」
「おおかた俺の代わりに決着をつけてくれ……だろう? 誰が好き好んで脳筋の相手などするか」
脳筋━━━━マークシティ=レオポルド……日本での通称が壊し屋マーク。
大学卒業後2mを超え、ゴール下のCとして身体を鍛えていた自分を更に超える長身と体格、身体能力。Cとして恵まれた能力とスキルを有した巨人。その巨体が繰り出すダンクにゴールリングは幾度となく破壊され、ファウル覚悟で止めようとした選手をも弾き飛ばし負傷した者も続出。
だが、他者を見下した発言も目立つものの、それは自分と張り合えない同ポジション達を叱責するもので、本人自身はバスケ以外でも博識で間違っても脳筋呼ばわりされる謂われは無さそうだが……。
「お前と同じで、最後に勝負を決するのは気合いと根性だとか言ってる奴など脳筋で十分だ」
「おいおい……勝てなさそう…だったら諦めろ……ってか?」
「そんな事態になる前に対策を立てておくのが戦略だろう。そのあたりは死ぬまで変わらんか……」
こんな感じに意見が合わないことなど珍しくない。それでも世界と戦えるまでやってこれたのはこいつがいたからだろう。
「……ゴホッ……ゴホッゴホッ……」
「…………」
それっきり会話も途切れてしまい、亮二も黙ってしまった。いつもは煩わしく感じてもこれが最後かと思うと、こいつの毒舌も味がある。黙られるのは少し寂しい。
「夢を……見た……」
「夢?」
「何故か……自分が女になって……女の中に混じって……バスケしてた……」
どうせ呆れられるだろう。自分だってそうだ。普通夢に見るなら過去の楽しかった記憶とかだろう。
「ブフゥ!」
が、予想とは異なりいきなり吹き出したかと思うと口元に手を当てて震え始めた。
「……なんだ……お前がそんなに…笑うのも……珍しいな……」
「当然だろう。お前、性別が変わってもまだバスケをやっているのか?」
そういえばそうだな。バスケそのものには何の疑問も抱かなかった。
「惜しかったなぁ……ジャンプボールのところまでは……いったんだが……目が覚めちまった……」
「夢の続きなら別に見てもいいんじゃないか」
「……あ……?」
「誰かのプレイを見てそのスポーツを始める人間は多い。そして、今ではお前もそんな見せる人間の一人だ。さんざん夢を見せてきたんだ、お前だって夢を見ても罰は当たらないだろう」
「…………」
「? 何だ?」
「お前がそんなこと言うなんてなぁ……。これも夢か……?」
そういえばさっきから咳も出なくなった。それも夢なら納得だ。
「だったら俺はもう夢に出ないな。夢にまで出てたらいい加減過労で倒れる」
「そっかぁ……そりゃ……残念……」
そうか……“これっきり“か……。
「また……眠くなってきた……」
「そうか……なら、もう寝ろ。流石に長居しすぎた。残りはご家族の時間だろう」
そう言って亮二が立ち上がると背を向けて━━━━。
「お休み……いい夢を……」
一言呟いて部屋を出て行った。
「……あぁ……お休み……」
そこまでが限界だった。視界が閉ざされていく。意識が沈んでいく。
「あぁ……バスケやりてぇ……」
心臓病なんていわれて病院に押し込められて数年。弱っていく身体に恐怖するよりバスケが出来ないことにストレスが溜まっていた。
なら━━━━。
(どんな姿でも……好きな事ができるなら……)
幸せ……なのだろうか……?
後書き
ここまで読んでくださった方々、ありがとうございます。
前書きでも書きましたが作者はこのサイトでの小説投稿は初めてです。作者でも気づかずに変なミスをやらかしているかもしれません。他にも誤字脱字、ルール上のミスなどもある可能性があります。
なのでミスのご指摘、ここはこうしたほうがいいんじゃないか、というようなご意見、単純に感想もありましたら頂けると嬉しいです。
あとは、後書きで本編中にでたバスケ用語についても簡単に書いてみようとも思います。経験者の方には蛇足かもしれませんがちょっと興味を持ってくれれば幸いです。
それでは次回も読んでくれることを祈りつつさようなら。
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