DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第6章:女の決意・男の勘違い
第37話:話し合ってもダメなら殴るのみ!
(デスキャッスル)
強敵蔓延るデスキャッスルの城塞部を抜け、背後に聳える小高い丘の頂上には、以前の姿を一片も残さないデスピサロが玉座に座り睨んでいる。
その瞳には憎しみ以外何も灯さずに……
「グワァァァァ……誰だ貴様等は?」
心の底に響き渡る憎悪の声で、目の前に現れたリュカ達に殺気を撒き散らすデスピサロ。
「見りゃ解るだろ、イケメンだ!」
しかしリュカだけは、デスピサロの威圧に怯まず、何時もの感じで対峙する。
「何をしに来た? いや、それより私は何をすれば良いのか?」
なおもプレッシャーを撒き散らすデスピサロは、変身前の記憶を失ってるらしく、自分の存在意義を見失っている様子だ。
「今の姿は不細工だから、元に戻って彼女とイチャ付けよ! その面じゃモテないぞ……まぁどのみち僕の敵じゃ無いけどね!」
多分リュカ的には説得を試みてるのだろう……
「敵……? そうだ、私は敵を滅ぼす為に生まれたのだ!」
リュカの言葉に何かを感じたデスピサロは、自らの存在意義を決定しようと眼前の者を敵と認定し、更なる怒気を発し威嚇し始める。
そして……
(デスキャッスル)
ラピスSIDE
(ドゴッ!)
私達の目の前で、巨大な化け物に変身してしまったデスピサロ様が吹き飛んだ!
吹き飛ばしたのはデスピサロ様を助けると広言したリュカ。
「ちょ……リュカさん!? 何してるんですか……ピサロ様を助けてくれるんでは無いのですか!?」
「そ、そうだリュカ! いきなり殴り飛ばすなんて……」
思わず私とロザリー様でクレームを付ける。
「あ、いや……つい……襲いかかってきちゃったから、つい反射的に……僕の説得にも応じてくれそうにないし……」
「何が説得だ!? ちょっと話しかけて、何時もの様にこけ下ろしただけじゃないか!」
言い訳するリュカに鋭くツッコむウルフ。
「グゥゥゥ……おのれ人間め。滅ぼしてやる……何もかも、全てを私が滅ぼしてやる!!」
立ち上がったデスピサロ様に最早世界は見えて居らず、ロザリー様ごと殺そうと襲いかかってきた。
私は思わずロザリー様を抱き締め庇うが、更に前進したリュカがデスピサロ様に殴りかかる!
「ぐはぁ!」
「お前、自分の女に手を上げるとは……どういうつもりだ馬鹿者! そんなDV野郎にはイケメンが折檻してやるぞ!」
最初からそのつもりだったとしか思えない言動のリュカは、進化の秘法でパワーアップしたデスピサロ様を一方的に殴り続ける。
「“世界を滅ぼす”とか中二病臭い事ほざいてイジケやがって! 世の中はなぁ、思い通りにならない事が沢山あるんだよ! それを理解せず、ただ自分の我が儘を撒き散らしたって、孤立するに決まってるだろ! 視野を広く持ち、常に多くの事に意識を向けてれば、全ては無理でも多くの物を得られ幸福を実感できるんだ! なのにイジケて愛した女まで自ら失おうとするなんて……」
リュカの倍以上の大きさに変貌したデスピサロ様を、簡単に殴り飛ばした彼は倒れたデスピサロ様上に跨がり、罵声と共に殴り続ける。
デスピサロ様の命に危険を感じた私は、思わず助けようと一歩踏み出したのだが、ウルフに止められてしまった。
「ど、退けウルフ!」
「良いから……リュカさんに任せて下さい。あの男は美女と交わした約束は絶対に違えない男ですから! 不安でしょうが見守って下さい!」
不安!? 不安どころの問題じゃないぞ!!
とは言え……あの二人の間に割って入るのは無謀すぎるのも事実……
ここはリュカを信じて見守るしか無いのだろうか?
チラリとロザリー様に視線を向けたが、彼女も不安そうな顔で事態の推移を見詰めてる。
ラピスSIDE END
(デスキャッスル)
アローSIDE
凄ぇとしか言えない。
オイラには変身したデスピサロの威圧感がハンパなく重かったのに、そんな物存在しない様なリュカさんの態度と、そして行動が凄ーとしか言えないよ。
「グオォォォォ!! 滅ぼしてやる!!」
マウントポジションから殴られ続けてきたデスピサロが、咆哮とともに立ち上がり上に乗ってたリュカさんを弾き飛ばす!
「黙れ根暗弱虫!」
弾き飛ばされたリュカさんだが、華麗に着地すると直ぐさまデスピサロと間合いを詰めて、腹部に強烈な膝蹴りをお見舞いする。
「グハァァァ!!」
「世の中には良い奴も居れば悪い奴も居る! 良い奴だって悪い事をするし、悪い奴が良い事をする事だってある! だが、そんな一部分しか見ないで全てを悪と断定する貴様は大馬鹿だ!」
「黙れ……私は世界を滅ぼすのだ! 私から何もかも奪った世界を、私の手で討ち滅ぼすのだ!」
「ふざけるなー! 世界はお前から多くを奪ったかもしれないが、世界はお前に大切な物を託しただろ! 違うか馬鹿野郎!」
「そんな物は無い……最早何も憶えて居らぬ!」
「本物の馬鹿が! さっきお前が殺そうとしたロザリーは、お前が得た大切な存在だろうが! 世界が存在したから得る事が出来たんだぞ……それなのに、その世界も、その彼女も、お前は自ら消し去るというのか!?」
デスピサロは、その巨体から想像も出来ない様なスピードで攻撃を繰り出しているが、そのスピードを軽く凌ぐ早さで攻撃を続けるリュカさんは化け物級だ。
しかも息一つ切らしてない。デスピサロは疲れ切ってるのに……
「私は……私に悲しみを与えた世界を滅ぼすのだ。それが私の……」
「お前はどんな悲しみを得たんだ!? 言ってみろ……世界はお前にどんな悲しみを与えたんだよ!?」
苦悶の表情を浮かべたままリュカさんに怒気と恨み言をぶつけるデスピサロ。
「グゥゥウウゥゥゥ……も、最早憶えて居らぬ! 私には世界を滅ぼす事しか憶えて居らぬ!」
「憶えてねーのは当然だ! お前は部下に騙されて、最愛の女を失ったと思い込まされてたんだからな! 中二病の単純馬鹿だから、そんなアホ嘘に引っかかるんだ馬鹿!」
「だ、騙された……!?」
「そうだ馬鹿! お前はロザリーを失ってない。 言ってみろ『ロザリー』と! そして思い出せ……その温もりと幸福感を!」
「グハァァ……ロ、ロザリー……?」
リュカさんの言葉に何かを思い出そうと苦しむデスピサロ。
「グオォオォオォォ……要らぬ! 私に温もりや幸福感など要らぬのだぁぁぁ!!」
しかし滅茶苦茶に暴れだし、思い出す事を拒絶する。
「ちっ……まだボコり足りなかったか」
“ボコり足りない”って、さっきまでの一方的な攻撃で足りないってどういう事?
ってか説得するのにボコる必要あんの?
「ピサロ様おやめ下さい!」
リュカさんの言葉に顔を青くさせるロザリーが、暴れるデスピサロの足に抱き付く。
抱き付くと言うよりも、しがみついてると言った方が良いかもしれないけど……
「グハァァァ……離せ、私から離れろ!!」
だが、そんなロザリーの行動がデスピサロに精神的揺さぶりを与え続ける。
「お願いしますピサロ様! 私の大好きなピサロ様に戻って下さい!」
ロザリーは諦める事なく抱き付き続ける。
「ウゥゥゥ……グハァァ!」
力ずくでロザリーを引きはがすと、その場に蹲り悶えるデスピサロ。
突き飛ばされたロザリーはパンツ丸見え状態で放心している。アニキが「白だと思ってたが、紫とは……」と呟いてた……余裕あんな。
「ウルフさん……余裕こいてて良いんですか? リュカさんは手加減してないんじゃないですか? このままじゃデスピサロを殺してしまうんでは……?」
デスピサロの事を助けるのを前提にしているので、リュカさんの一方的な攻撃に不安をよぎらせるシン。
「良いんだよアレで……殺すつもりなら、もうとっくに殺してるよ。アレでもリュカさんは手加減しまくりなんだよ」
「アレがですか!? 見るからに強そうなモンスターのデスピサロを……エスタークより強そうな相手を一方的に攻撃してるのにですか!?」
「だから言ったろ。リュカさんが本気を出したら、卑怯な程強いって……」
あの人は人間なんだろうか?
リューラに嫌われたくないから、絶対に口に出さない疑問だけど……
「それにデスピサロを助けるには、この方法が一番なんだよ」
「方法って……これがですか!? この一方的なイジメがですか!?」
魔界の王で、進化の秘法を使ってパワーアップした相手に、『イジメ』って言葉を使う必要がある人って如何なもんだろうか?
「キングレオを思い出してくれよ……アイツもボッコボコにされて精神的に追い詰められたら、元の人間に戻っちゃったろ? 今回もリュカさんは同じ事をしようとしてるんだよ」
蹲り苦しみながらも、それに抗う様に暴れるデスピサロに、「まだ足りないか、この馬鹿たれが!」と言いながら暴行を加えるリュカさんを眺め、何を目指してるのかを説明してくれるアニキ。
「もう止めて下さいリュカさん! デスピサロ様も元の姿に……」
だがオイラ達の会話を聞けてないロザリーは、必死でリュカさんとデスピサロを止めようと駆け寄る。
そしてデスピサロに抱き付き、辺りにルビーを沢山撒き散らしていく。
「でも……ちょっとヤバいかな?」
流石にロザリーが心配になったのか、アニキの顔からも余裕が消える。
でもよく見ると、デスピサロに吹き飛ばされて怪我をしても、リュカさんがコッソリとベホイミで回復させている。
そんな時だった……デスピサロに変化が現れたのは!
アローSIDE END
後書き
遂にデスピサロ戦開始!
でも戦うのはリュカだけだよ。
しかも次話は……
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