スフィンクス
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第一章
第一章
スフィンクス
ライゾウは雄のスコティッシュフォールドである。この種類の猫の特徴そのままに顔は丸く垂れ耳である。色は白地に所々に黒があり尻尾や頭のところには灰色もある。身体は猫にしては大型であり体重は重い。はっきり言えば太っている。
このライゾウの趣味というとまずは寝ることだ。これは猫なら常である。とにかくよく寝る。ただし誰かが来るとすぐに起きる。そうした猫だ。
そしてもう一つの趣味はだ。彼がいる家の人間にとっては最悪のことだった。悪いこと、つまりするなと言われていることをあえてするのだ。かなり悪い猫なのだ。
とにかく隙を見せれば料理を舐めて家族が食べられないようにしあがってはいけないところにあがってみせる。それがライゾウなのだ。
こうした猫だから怒られるかというとそんなことは全くない。理由は簡単で家族が甘やかしているからだ。母親と長男が多少怒る位だ。次男は怒らない、父親に至っては最も甘やかしている。こうした状況で甘やかされているのでさらにつけあがる。こうした悪循環の中で安穏と暮らし好き放題しているのである。
とりあえず母親が家にいない時は長男が家にいれば怒る。そうした中でのある日のことだった。
この日は休日で母親は自分の部屋で昼寝をしていた。最近疲れているので休日はそうして休んでいるのである。そして父親はというと。
リビングのテーブルでカップ焼きそばを食べていた。遅い昼食だった。次男は自分の部屋でゲームをしている。そうした中でだ。
仕事、休日の出勤から帰った長男がリビングに来た。するとだ。
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