麗しの王
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第三章
第三章
「この状況はです」
「何故ならです」
「何故ならというと」
「人が生きている感じがしないからです」
「だからです」
それでだというのである。
「人がいる感じがしません」
「全てが絵画の様な国ですから」
「それではやはり」
「美しいのは駄目なのか」
王は彼等の言葉に怪訝な顔になった。
「それは」
「美しいのはいいです」
「それはです」
だが、だった。家臣達はそれはいいと言うのだった。しかしだった。
彼等はこうも話すのだった。
「しかしあまりにも美しいだけだとです」
「人はそこに安心できませんから」
「それでなのです」
「それでなのか」
王は家臣達の言葉を聞いてだ。玉座で愕然となっていた。そしてそのうえでだ。疲れきったような顔でこう呟いたのだった。
「では余が今までやってきたことは」
「度が過ぎました」
「あまりにもです」
「そうだったのだな。やり過ぎだったのか」
「人は美し過ぎても息苦しくなり」
「安心できません」
「ですから」
家臣達はさらに話していく。
「ここはです」
「もう少し緩やかにされてはどうでしょうか」
「統治を」
「そうするべきか」
王はここでは目を閉じた。そのうえでの言葉だった。
「ここは」
「はい、それではです」
「そうしましょう」
「是非」
「わかった。民を苦しめるつもりもおかしな国家も作るつもりもない」
王とて悪意のある人物ではない。美しい国にするというのも彼なりの考えがあってのことだったのだ。しかしそれがおかしいとわかってだ。彼はこう言ったのだった。
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