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なのはさんがデュエルアカデミアに入学したようです

作者:織風
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第二話

 
前書き
万丈目はアニメと漫画どちらも好きだから困る… 

 


ー回想ー


「お兄様!今日も私とデュエルしてくださるんですか?」

「…悪いな、明日から暫く海外に出ることになった…アリサ、お前の相手は当分してやれそうにないんだ」

「そ…そうですか…仕方ないですよね、お仕事なら」

数分前は満面の笑顔だった顔が今は泣き出しそうに俯いている
基本的に『強気なお嬢様』で通っているアリサ・バニングスのこんな姿を学友達が想像することは難しいだろう

しかし『憧れのお兄様』であるプロデュエリスト、万丈目準に幼い恋心を隠すことなく抱きつき
言葉とは裏腹に彼を離すまいとしがみつく姿も、また彼女の一面なのだ

お兄様、などとは呼んでいるが別に血縁関係は無い
ただ、アリサの父親が万丈目のスポンサーの一人である
というだけの縁なのだがアリサは運命の出会いだと確信している

勿論、恋愛感情は皆無なものの、学園生活を経て
何だかんだ面倒見のいい性格が出てきた万丈目も
自分になつくアリサを妹のように可愛がっていた

プロデュエリストとして多忙な生活を送りながらも
たまの休みはアリサの家に行き、彼女が望むままデュエルを教えてやったりお茶に付き合っていたりもする

「どのみち、お前はデュエルアカデミアに通うんだろう、今のうちに馴れておけ」

「それは…そうです…けど…!」

俯いたまま、何かを堪えるように拳を握りしめて小さな体を震わせ堪えるアリサ
そんな少女に万丈目は苦笑しながら腰をおろし目線を合わせて一枚のカードを握らせる


「え…お、お兄様!こ…こ、この、カードは…お兄様の!」

「暫く、そのカードをお前に預ける、そいつが俺の代わりにお前を守ってくれる…頑張れよアリサ」

「は…はいっ!約束します!アリサは…きっとお兄様に相応しいデュエリストになってみせます!」

まるで、婚約指輪でも渡されたかのように頬を染め
けして無くすまいと小さな胸に抱き締めた一枚のカード
お兄様の
プロデュエリスト万丈目準の最強ドラゴン
このカードへの誓いと共に
アリサはデュエルアカデミアに入ったのだ

…余計な奴らまでくっついてきたのがアレだけど…




『余計な奴らって…もしかして俺らの事?』

「ったりまえでしょーが!てゆーか人の回想に割り込むんじゃないわよ!」

『ひ…酷い!』

たらこ唇を、ムンクの叫びが如く開き泣き出す『おジャマイエロー』

「酷いのはあんたらの顔でしょーがぁ!」

カードのモンスターでありながら
ソリッドビジョンでもないのに実体化し、しかも喋る『おジャマイエロー』
そんな奇怪な現象を不思議に思う様子も見せず彼を蹴り飛ばすアリサ
しかも『おジャマイエロー』だけではない

『姐さん何時にもまして不機嫌じゃねーか』

『そりゃーねぇ…最近連敗してっからなー』

更に『おジャマグリーン』と『おジャマブラック』
までも実体化し、アリサの苛立ちを煽る

『おジャマイエロー』
『おジャマブラック』
『おジャマグリーン』
彼等の特徴を表すなら
それぞれ黄色、黒、緑の気持ち悪い見た目のモンスターといえばそれで充分だろう


デュエルアカデミア周辺の森の中
誰もいないその場所で
アリサは苛立ちを隠さず『おジャマ』たちに当たり散らしている

その原因は、高町なのは

以前のデュエルでは、少しはマシなデッキになったら戦ってやる~などと格好いい台詞で締めたアリサであったが
同じクラスであればデュエルをする機会は案外多い
それも授業の一環であるのだから当然アリサに拒否する権利はない
つまり、ここ一ヶ月の間で高町なのはと幾度かデュエルしているわけなのだが…
その結果は


ーーー

(事故っちゃったせいでモンスターはいないけど…私の伏せカードはシクレアのミラフォ…これで護りは磐石よ!)

「私はタロちゃんを生け贄にサイコ・ショッカーを召喚!アリサちゃんの罠は無効だよ!」

「ふ…古いうえにキモいカードを…!」

「でも強いもん!サイバーエナジーショック!」

「ぐぅううぅ!」

ーーー

「スパイラルドラゴン(攻撃力2950)を生け贄に捧げて召喚したストロング・ウインド・ドラゴンは攻撃力3825!貴方のデッキにこれを上回るカードはあるのかしら?」


「特殊召喚した『レイジングハート』(攻撃力2500)にデーモンの斧を2枚装備で攻撃力4500だよ!」


「は?」

ーーー

「手札を一枚捨てて『鳳翼の爆風』を発動!」

「ごめんね!アリサちゃんに貰った『神の宣告』を発動だよ!」

「むきー!」

ーーー



「なんで!なんであんな雑魚デッキに負けるのよー!」


巡り合わせが悪いのか、とにかく負け続けていた

今日は休日ということもあり、事ある毎にデュエルデュエルと纏わりついてくる彼女から離れるべく
森を散策しつつ鬱憤を愚痴っているのだ

『コンボっつーかなんつーか…』

『相手が、どうこう言う前に姐さんのデッキがバランス悪すぎるんじゃね?』

『だから、ミンゲイドラゴンでもいれようって言ってるじゃん』

ミンゲイ・ドラゴン
能力の低い下級ドラゴンではあるが二体分の生け贄になる上に自己再生までする
ドラゴン族なら必須ともいえるカード
それさえ入れれば少しは手札事故も減るはずなのだが

「嫌よ、あのデザインは私の美意識に合わないもの」

『んなこと言ってるから勝てねんじゃねーかな…』

『おジャマブラック』の至極全うな一言に睨み付けー

がさがさ

「っ…!誰かいる!」

慌てて姿を消すよう指示するアリサ
こんな不細工兄弟といるところなんか見られたくない

『別に、わざわざ消えなくても普通の人間は見えねーはずなんだけどな…』 








『この辺りかい?精霊の反応がするのは』

「………………」

姿を見せず届く声に頷き、森の中を歩く少女
幼い顔ながらに整った顔は人形のように無表情
左右に結った金髪を揺らしながら
右手に持つカードに導かれるまま道なき道を歩き続け
そして

「…誰よあんた…何か用?」

一人の少女を見つけた
今、彼女の周りに『精霊』はいない
だが、感じる
強気そうな目で、突然現れ無遠慮な視線で自身を眺める自分に
不快感を隠そうともせず睨み付けてくる彼女の周辺に

その気配、その、残り香を
目的の物を前に少女は呟く

「見つけた…『精霊』のカード」









「『精霊』のカード?なにそれ?」

「……………」

別段、アリサは惚けた訳では無い
少女の発した『精霊』という単語と自分にまとわりつく不細工三兄弟が咄嗟には繋がらなかっただけだ

「惚けるならそれでもいい…とりあえず、私とデュエルしてください」

「…いや、会話の繋がりがおかしいでしょうが」

「あなたと戦う事で、デュエルアカデミアの程度を計りたいので」

「なに?貴方アカデミアに入るつもりなの?」

「………………」

こくりと頷く少女
彼女を見るアリサの目は当然胡散臭げだ


「デュエルアカデミアの…程度ね」


こちらの疑問にまともな日本語も返さずデュエルディスクを構える少女

そんな少女を見てアリサは思った

はっきり言ってこの娘おかしい

『こんな変なやつ、関わらないのが吉だぜ姉貴』

度々、勝手に実体化するものの
基本的には人前での実体化を禁止されているから声だけでアリサに忠告する『おジャマグリーン』

勿論、その意見は正しい
だが

「程度を測る?いい度胸ね!デュエルアカデミアの女帝と呼ばれる(予定の)私を前に!貴方ごときが計れるものなら計ってみればいいわ!」

少女の言い方がアリサを刺激した
やる気満々でデュエルディスクを構える
姿を見せず溜め息をつく三兄弟

「では、いきます」

「その前に名前くらい名乗りなさい、最低限の礼儀よ」

「…フェイト、フェイト・テスタロッサ」

「結構、フェイト・テスタロッサ…このアリサ・バニングス…デュエルアカデミアの実力を見せつけてあげるわ!」


そんなこんなで、誰も見てない森の中
少女達のデュエルが始まった


「挑んできたのは貴方、先行は私が貰うわ!いいわね?」

「……………」


それが了承の意なのか無言で頷くフェイト
それを確認しドローする
…初日、なのはとのデュエルでは勝手に先行をとったアリサだが
今回はちゃんと了解をとっている
何故かといえば、同じことを授業の実技でやって怒られたからだ
…そりゃまぁ、言ったもん勝ちでは公平にかけるから当然
現在は普通にお互いの同意を得た上でドローしている

『兄貴達の頃はそうでもなかったけどなぁ』

『これも時代の変化ってやつか』

背中から聞こえる呟きを無視しつつ手札を確認
とりあえず、手札事故は起きてない
安堵しつつカードを選び、出す

「名刺代わりよ、来なさい!『ランス・リンドブルム』」

ランス・リンドブルム
☆4 風属性 ドラゴン族
攻撃力1800 守備力1200
 
その名の通りの槍を構えた竜騎士が召喚される
アレキサンドライドラゴンに攻撃力では及ばないものの
アタッカーとしては及第点の攻撃力に加え守備モンスターへの貫通能力をあわせ持つ中々のカード
その格好いい姿もあって、アリサにとっては頼れる下級モンスターである

「ターンエンドよ、さぁ今度は貴方のカードを見せてもらおうかしら」

自信満々にエンド宣言を行うアリサ

(カードも伏せずに…)

ただ、そこそこのモンスター一体で勝ち誇るアリサを滑稽に思いながらカードをドロー

はっきり言って、この段階で『デュエルアカデミアの程度』は見えた気がするが
真の目的はそれではない、ただ勝つだけでは駄目なのだ

「私は…『魔獣アルフ』を攻撃表示で召喚」

魔獣アルフ

☆4 地属性 獣族
攻撃力1400 守備力1500

赤毛の狼にも似た獣が召喚され、アリサを威嚇するように吠える
ただのソリッドビジョンにしてはリアルな存在感を放つ咆哮に若干後退りながらも余裕の表情は崩さない

「さらにカードを一枚伏せてターンエンド」


「ふん…私のターン!ドロー!」

攻撃力の低いモンスターを敢えて攻撃表示で召喚
そして一枚の伏せカード

「ミラフォでも伏せて誘ってるのかしら?おあいにく様ね、そんな見え見えの低レベル戦術が私に通用するとでも?」

手札から一枚のカードを発動

「手札から『スタンピング・クラッシュ』を発動!貴方の伏せカードを破壊して更にダメージよ!」

「…それに、チェーンして『収縮』を発動…貴方の『ランス・リンドブルム』の攻撃力を半減します」

「ふん!小賢しい真似を…」

フェイト・テスタロッサ
LP4000→3500

『通用しちゃってるじゃん!』

『おジャマブラック』のツッコミは無視

「まだよ!『ランス・リンドブルム』を生け贄に!光臨なさい!ライトロード・ドラゴン グラゴニス!」

ライトロード・ドラゴン グラゴニス

☆6 光属性 ドラゴン族
攻撃力2000 守備力1600



黄金の鬣をなびかせ
神々しいとすら言える姿で光から現れる上級ドラゴン

「もう一度言うわ…貴方の戦術など、私の前では通用しないっ!グラゴニスの攻撃!シャイニングレイジ!」

グラゴニスの巨体がアルフを襲う
攻撃力1400では2000に太刀打ちできるはずもない
だが

「アルフの効果…このカードはダメージ計算時、ライフを800支払う事で攻撃力を1000上昇させる事が出来る」

「は?」

フェイト・テスタロッサ
LP3500→LP2700


アルフ
攻撃力1400→2400

「迎え撃てアルフ…ビーストネイル…!」

鋭利な爪がドラゴニスの巨体を貫き霧散させる


「…………………手札を一枚伏せてターンエンドよ…」

アリサ・バニングス
LP4000→3600


「私のターン…ドロー」


僅か一ターンでかなりピンチになったアリサ

(不味いわね…でも)

伏せカードがまだ一枚残っている

『心配ねーよ!なんたって聖なるバリア-ミラーフォースだぜ!』

『どんな攻撃力と数で攻められたって一網打尽なのね!』

『しかもシクレア!…姐さんの護りは磐石だぜ!』

(いらんことを言うなぁあああああああああ!)


アリサの内心などお構い無く
フェイトが告げる

「バトル…アルフでダイレクトアタックします」

「ふ…除去も召喚もせずバトル?単調過ぎるわ!リバースカードオープン!『聖なるバリアミラーフォース』!貴方のモンスターを破壊するわ!」

どうやらフラグは立たなかったらしい
カード効果で破壊され墓地に行くアルフを安堵の目で見送るアリサ

「アルフのもう一つの効果…このカードが墓地に送られた時ライフを800払う事で再び特殊召喚することが出来る…」

フェイト・テスタロッサ
LP2700→1900

再び召喚されるアルフ、その爪が光を帯びる

「そして、バトルを再開…ライフを800払い攻撃力を上昇させ…ネイルクラッシュ!」

今度こそ、アルフの爪がアリサを切り裂く

「きゃあああっ!」

アリサ・バニングス
LP3400→800

「ターンエンドです」
フェイト・テスタロッサ
LP1100


「ぅ…」

あっという間に追い詰められる
そんなアリサに冷たい目で侮蔑するフェイト

「この、程度ですか?」

「なに?」

「貴方の『程度』はそんなものなのかと訪ねているんですが」

明らかな侮辱、屈辱に顔を歪めながら
だが、今の自分が劣勢である事は明らかだった
もし、普通の少女であれば戦意を喪失しサレンダーしたかもしれない
だが

「…るな」

「はい?」

「舐めるなって言ってんのよ!私はアリサ・バニングス…万丈目サンダーの一番弟子なんだから!」

兄への思いと約束が体の震えを吹き飛ばす

「私のターン…ドローっ!」

(お兄様!私に力を!)

その想いに応えたカードはー

『まかせろー!』

「………………………」

…いや、もういい
この際仕方ない

「特別に!あんたを使ってあげるわ感謝しなさい!」
『ま、マジで?!おいら感激!』

抜いても抜いても何故か入り込んでいるこのカード
本来ならドローしても使わず手札の隅に追いやるだけだ
だが、今回は違うと
アリサ直々に力を貸せと言われ感激の涙とともに決意の闘志を燃やす『おジャマイエロー』



(感じる…今彼女の手に『精霊のカード』がある)
追い詰められ、今まさに切り札をだそうとしている
警戒しながらも、目当ての物を目前にフェイトは手札にあるカードを一枚確認して薄く笑った


「行くわよ!手札から『トレード・イン』を発動!8星カードを墓地に送り二枚ドロー!更に『思いでのブランコ』で通常モンスターである『神龍の聖刻印』を特殊召喚!」

神龍の聖刻印

☆8 光属性 ドラゴン族
攻撃力0  守備力0

ただ、格好いいから
それだけの理由で入れられているカードがフィールドに特殊召喚される


(何が狙い…?)
勿論、攻撃力0ではアルフに勝つことは出来ない
そして、召喚されたカードは神々しい程の輝きを放ってはいるが『精霊のカード』ではない


フィールドにモンスターを召喚したアリサ
ここで、一息深呼吸

「ふぅ…いくわよ!手札から『二重召喚』を発動!これにより私はこのターン二度通常召喚が行える!先ずは、モンスターを一体召喚!」

『よっs「召喚したモンスターと!『神龍の聖刻印』を生け贄に捧げるわ!」そりゃないだろぉ!?』

…因みに、今アリサが行った
『モンスターを召喚』から『そのモンスターを生け贄に』
この一連の動作を彼女は驚愕すべき指裁きでこなしたため
フェイトはアリサが召喚した『おジャマイエロー』を殆ど視認できていない
…はっきり言ってチェーンブロックを組む暇もないため
授業でやれば間違いなく教師に怒られるだろうし
大会でやればジャッジされかれない行為である
勿論、野試合とはいえモラルは必要だし
フェイトにはアリサの行為を咎め、場合によっては巻きもどす権利もあるが
どのようなカードであれ、フェイトは妨害する意思はなかったためスルーした
そもそも、墓地は公開情報なので彼女のディスクにも

『おジャマイエロー』

星2 光属性 獣族
攻撃力0 守備力1000

しっかり確認できている
その上で問題ないと考えているのだから
とりあえず、今回に限っては問題なしである、多分…一応




「…そして!私とお兄様の絆よ、光と闇の狭間より顕現なさい!光と闇の竜!」

おジャマの抗議を黙殺し
召喚されるアリサの…そして万丈目準の最強竜!

『光と闇の竜』

光属性 ドラゴン族
攻撃力2800 守備力2500


「これが…貴方の…!」

その名の通り光と闇の力を宿し
圧倒的な存在感を放つドラゴンを前にフェイトも僅に顔を歪める
だが、怯むことは出来ない
…『精霊のカード』を捕縛する、それが母との約束なのだから…!


「行くわよ!光と闇の竜で『魔獣アルフ』を攻撃するわ!」

アリサの攻撃宣言に応えるべく翼を拡げる『光と闇の竜』

その攻撃が通ればアルフを破壊され、更に超過ダメージで自分は負ける
だが、フェイトの目には焦りなど微塵もない
アリサの攻撃宣言を確認
手札のカードをー

(…っ…これは…この竜は…違う?!)

発動させようとした瞬間『光と闇の竜』が自身の求めていたものでは無いことを悟る

(何故?召喚直後…確かに強い『精霊』の力を感じたのに…!)

その、迷いと疑問がカードを出すタイミングを送らせた

「この竜と戦えた栄誉を胸に散りなさい!闇の洗礼!ダークパプティズム!」

「……………………」

フェイト・テスタロッサ
LP0





「ふっ!これでアカデミアの程度が理解できたかしら?貴女も入学するならもう少しまともな実力を身につける事ね!」

ふぁさっ!と髪をかきあげ指をさしてポーズを決めるアリサ
フェイトは何も応えないが、彼女の反応などアリサにとってはどうでもいい

「ふふ…ふふ…うふふ…やった…やりましたよお兄様ぁ♪うふふふふっ♪」

ようやく勝てた、しかも『光と闇の竜』で
完全に有頂天である

『なぁ…俺らって…一体』

『諦めようぜ、兄貴の時も似たようなもんだったろ…』

おジャマの声など当然耳にいれることなく
意気揚々とデュエルアカデミアにアリサは帰っていった

 


そして残された少女は独り


『まったく!加減された事にも気づいてないのかね!』

腹ただしげな声と共にフェイトの隣に現れる紅き獣
『魔獣アルフ』
そのカードがソリッドビジョンを介さず実体化し『オジャマ』同様フェイトに現実の存在として話しかける
当然、フェイトにそれを驚く様子はない


『ねぇ…なんで最後わざと負けたのさ~あの『光と闇の竜』が目当てのカードじゃなかったのかい?』

主人の敗北に納得がいかないと不満を漏らすアルフ

「…あのカードは違う…確かに普通のカードじゃないけど…あれは…違う」

『そーかい?凄そうなドラゴンだったけど』

『光と闇の竜』

「あれは…脱け殻…のような感じだった…あのカード自体に『精霊』の力は殆ど感じなかった」

だから、攻撃宣言の時に、ためらい迷い
自身の『切り札』を出すことが出来なかった

今回は様子見、だから別にいい

「だけど…次は貴方の力を借りる『バルディッシュ』」

「フェイト…」

フェイトが手にした一枚のカード
彼女の『切り札』が放つ闇の波動を感じながら
アルフは気遣わしげな視線を主に向けた




そして数日後


「今日は新しいお友達を紹介するノーネ」

「フェイト・テスタロッサといいます…よろしく」

一礼し、指示された席に向かう

その途中アリサ・バニングスと視線があった
得意気なその視線を無視する
…自分がその気になれば負けてた癖に
だが、彼女に感謝していない訳ではない
アリサとのデュエルでこのアカデミアが随分と低レベルな場所であることが理解できたからだ
これだけのデュエリストが集まる場所であれば『精霊のカード』も容易く見つけ、収集することが出来る
絶好の狩り場と言えるだろう

「私、高町なのは!よろしくねフェイトちゃん!」

「…………………」

隣の席の少女の挨拶を無視する
どうせ、短い付き合いなのだ、そんなものに関わる必要などない

「にゃ…にゃははは…」

(待ってて…母さん…)

母との約束の為、すぐにでもこの学園の『精霊』を
狩り尽くして見せる…!






数時間後


トリシュ トリシュ トリシュ

すずか「何かありますか?」

フェイト「……………」


…計画変更
暫く様子を見ることにしよう 
 

 
後書き
基本的に細かいルールよりノリを重視してますが
明らかにおかしすぎる点があれば御指摘、御提案頂けると嬉しいです 
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