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とある英雄の学園生活

作者:にゃん丸
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第34話 ネイに新しい使用人を紹介してもらう

 コンコン
 俺はメイド科準備室準備室の前に立ちドアを叩く。
 シーン
 返事がない……居ないのか?
 俺はドアを開けようとしたが開かない。
 
 「どうやらいないようですね」
 
 「だな」
 
 さて、どうするかだな。
 ここで誰かが来るのを待つかそれとも……考えているとシヴァが話しかけてきた。

 「しかし先ほどの強面の人間ですが少しおかしかったですね」
 
 「そうだな。 もしかしたらイングランドの関係者か何かな?」
 
 俺の軍服姿に階級章を見てあの態度だもんな。
 上の者に対して急に態度を変える……俺の嫌いなタイプだ。
 気にしても仕方ないのでほっとくことにしよう。

 「どうしますこれから?」

 「う~ん……」

 ネイにもメイド科の先生と両方とも会えないことは考えていなかった。
 別にここで待っているのもいいかもしれないが……
 それとも学園内を散歩でもするかな。
 
 「仕方ない、適当に時間を潰してもう一度ここに来よう。 それでも居なかったら今日は諦めて……」

 「ああ、やっといました」

 声の方を見ると理事長室の前にいた美しいエルフのお姉さんだった。
 
 「はい?」
 
 「もう探しましたよ」
 
 「俺たちをですか?」
 
 「そうです、ネイ様にあなたがたが来たことをお伝えしたら、冷たい目線ですぐに連れてきなさいと言われてすごく怖かったわ」

 エルフのお姉さんは落ち込んでいる。

 「え?俺たちが悪いの?」

 「いいえ、確認しなかった私が悪いのですが、なんか納得いかなくて」

 そんなこと言われても困るのだが。

 「とにかく早く一緒にきてください。ネイ様がお待ちしていますので」

 エルフのお姉さんの白くて美しい手が俺の腕首をつかみひっぱる。
 ドキドキするな。
 ジトー
 隣にいるシヴァの目線が気になるが気にせずエルフのお姉さんに引っ張られながらネイが待つ理事長室に向かった。

 「ところで、お姉さん名前を聞いてもいいでしょうか?」
 
 「シェリル・ディードです」
 
 「シェリルさんですか、俺は……」
 
 「キラ・イチジョウさん、ネイ様の旦那様ですね」
 
 はい?
 今なんて言いました?
 ネイの旦那様?
  
 「え?」 

 「あら、違うのですか」

 「違います」

 俺の代わりに能面の表情で答えるシヴァ。
 
 「てっきりそうだと思っていました」
 
 「なぜです?」
 
 「ネイ様からいろいろお話を聞いていたので」
 
 ネイはどんな話をシェリルさんに話したんだ。
 後でネイに詳しく聞かないと。
 そんな話をしていたらいつの間にか理事長室の前についていた。

 コンコン
 ドアをノックするシェリルさん。

 「ネイ様、キラさんをお連れいたしました」

 「入ってください」
 シェリルさんはドアを開いてくれて俺たちに中に入るように勧めてくれた。
 部屋に入るとネイはソファーを勧めてくれたので座るとすぐにシェリルさんがお茶を用意してくれた。
 お茶をテーブルに置くとシェリルさんは部屋から出て行った。

 「ごめんなさいね、せっかく来てくれたので追い返してしまって」

 「いいさ、会議中だったんだろう」

 「会議が終わってゆっくり休んでいたの」

 「そうなのか」

 「私に会いに来る学生や教師が多くてね。いろいろあって授業中以外は学生とわ極力会わないようにしているの」
 
 なんだろ、そのいろいろって、気になるな。
 
 「それより、私に用事があるんでしょう」
 
 「ああ、実はメイドか執事あと食事を作ってくれる人を探しているんだが誰かいないか?」
 
 「え、イングランドの屋敷に人はいないの?」
 
 「俺とアリスとシヴァとイフリートだけだ」
 
 「え、どうしたの?」
 
 先日までのことをネイに話すと、
 
 「そう、そんなことがあったのね。でも今日のアリスを見ていると大丈夫そうね」
 
 「ああ、そのへんは俺たちがいれば大丈夫だ」
 
 俺もそうだが、魔人コンビもアリスのことをかなり気にいっている。
 特にイフリートはアリスと接している時にたまに母性があるみたいだ。
 
 「メイド、執事も必要だが、今は食事を作ってくれる人が 最優先事項だ」
 
 「……私ではだめなのですか?」
 
 「いやシヴァのカレーも美味しいけど、毎日カレーだとね」
 
 「私は大丈夫です」
 
 シヴァが良くても俺は毎日カレーは辛いんだよ。
 
 「それにアリスは成長期だから、カレーばかりだとね」
 
 「……そうですか」
 
 落ち込むシヴァ。
 すまないシヴァ、カレーは好きだが毎日はさすがにキツイから納得してくれ。

 「食事を作る人間なら2人ほど宛があるわよ」

 「マジ」

 「ええ、掃除もできるし洗濯もできるわよ」

 「ぜひ紹介してくれ」

 「住み込みはできるの?」

 「住み込みで来て欲しい。空いている部屋はいっぱいあるから大丈夫だ」

 「急いだほうがいいの?」

 「できれば今日からでも来て欲しい」

 カレー以外なものを食べたい俺。

 「面接とかしなくていいの?」

 「ネイを信用しているよ」

 「夕方にでも行くように伝えるわ」

 「え?今日から来てもらえるのか」

 「ええ、大丈夫よ」
 
 すぐに来てくれるのはありがたいが、まさか今日から来てくれるなんてラッキーだ。
 俺が喜んでいるとシヴァが俺の服の裾を引っ張り、

 「そろそろクラス委員会が終わる頃だと思いますが」

 「お、もうそんな時間か、じゃあ俺たちはアリスと合流してから帰るよ」

 「わかったわ、じゃあすぐに準備させて夕方に行くように手配をしておくわ」

 「ありがとうネイ」

 

 俺たちはネイと別れクラス委員会の教室にい行くとちょうどアリスと委員長が出てきた。

 「迎えに来てくれたの?」

 「ああ、帰るか」

 「うん、じゃあねクラージュ君」

 「さようならアリスちゃん」

 委員長はアリスに手を振り、階段の方に歩いて行った。
 仲良くなったのかな。
 うん、いいことなんだが。
 なんかモヤモヤする。
 
 「じゃあ、私たちも帰ろ」

 「ああ。あ、それと今日の夕方に新しい使用人が2人ほど増えるぞ」

 「紹介してもらったの?」

 「ネイにな」

 「そうなんだ、……私のこと知っているのかなその人たち」

 先日のこともあるからアリスは少しネガティブになっている。

 「大丈夫だ。ネイの紹介だぞ」

 頭を撫でまくり笑顔で接する俺。

 「……うん」
 
 笑顔で答えるアリス。
 やはりアリスの笑顔は一番だ。
 
 「帰るぞ」
 
 俺とアリスは手を繋ながら帰った。
 シヴァは昼食の材料を買って帰ると行って途中で別れた。
 今日のお昼は中辛カレーだった。 
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