食べられる
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第二章
「うわ、凄い綺麗だな」
「おいおい、うちの女房じゃないよな」
「妹さんですよ」
丁度店にいた時に見て言ったのだ、そこでその肉屋の若旦那実はセンにとっては兄貴分である彼にこう返したのだ、肉屋の方から。
「そっちの人ですよ」
「ああ、ラーダちゃんな」
「へえ、ラーダさんっていうんですか」
「女房のすぐ下の妹だよ」
若旦那は笑ってセンに話す。
「二つ下だよ」
「そうですか」
「おいおい、まさかと思うが」
「綺麗な人ですね」
「惚れたのかい」
「駄目ですか?」
「うちの女房じゃなかったらいいよ」
若旦那は笑ってセンに返した。
「妹ならな」
「そうですか、それじゃあ」
「ただな、センちゃんよ」
「はい」
「あんた俺と兄弟になるけれどいいんだな」
ここで若旦那はこう言ったのだった。
「ああ、前以て言っておくけれどカースト的には大丈夫だからな」
「それも大丈夫ですね」
「同じカーストだからな」
結婚しても問題はないというのだ、インドではもうカーストは法律で否定されているがそれでもこの考えは根強く残っているのだ。二人も法律では否定されていることは知っているがそれでも周りの、特に年寄りの目を気にしてこのことについて言ったのだ。
「だからな」
「結婚出来ますね」
「だからな、したらな」
その場合だった、若旦那が言うことは。
「俺と兄弟になるんだぜ」
「シバーチャさんとですね」
「ああ、そうだよ」
名前を呼ばれた若旦那はこう返した。
「それでもいいんだな」
「別に」
「ならいいけれどな」
「いや、本当に綺麗ですよね」
「というかセンちゃん俺の言うこと聞いてないだろ」
若旦那は苦笑いで返した、ここでもラーダのことを言ったのを聞いてだ。
「俺と兄弟になるってことは」
「いや、聞いてますよ」
「その割にはな、ラーダちゃんのことばかりだな」
「だって綺麗ですから」
「ほら、ここでそう言うからな」
「だからですか」
「まあとにかくな、ラーダちゃんにだな」
あらためてだ、若旦那はこう言ったのだった。
「告白するんだな」
「そうしていいですよね」
「センちゃんがいいんならな」
構わないとだ、若旦那は言葉でセンの背中を押した。
「頑張れよ、そっちも」
「わかりました、それじゃあ」
こうしてだった、センはそのラーダに告白することになった。それで前に友人達と話したことを思い出してだった。
市場、彼の店があるその市場の花屋に行った。そうしてだった。
花屋に入りすぐにだ、彼はこう言った。
「薔薇あります?」
「薔薇かい?」
花屋のおかみさんが笑顔で応えて来た。
「それだね」
「はい、薔薇が」
「勿論あるよ」
すぐに返って来た返事だった。
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