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ドリトル先生と京都の狐

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第六幕その十一

「どうしても気になるのよ」
「イギリスも雨が多いけれどね」
「イギリスとはまた違うのよ」
 日本の湿気はというのです。
「異様にじめじめして、暑く感じて」
「それで木造の家が出来たんだよね」
「それが駄目なんだね」
「私としてはね」
 そうだというのです、サラの場合は。
「そこが駄目なのよ」
「そうなんだ、じゃあ」
「日本に住むのはね」
 それはどうもというのです。
「私は抵抗があるわ」
「僕は気にならないけれどね」
「私は気になるの。湿気は苦手なのよ」
「そうなんだね」
「そう、そのことがどうしても気になるわ」
「そのことは仕方ないね」
 先生にしてもです、そのことまでは言うことはしませんでした。元々誰かにあれをしろこれをしろと言う人でもないですし。
「馴染めないことは誰にでもあるよ」
「そうでしょ、とにかくね」
「結婚のこともだね」
「考えておいてね」
 結婚のことは強く言うサラでした、先生に。
「それはいいわね」
「わかったよ、僕には一番大変な努力だね」
「それでもしないと」
 逃げずにです。
「何にもならないから」
「独身でいてもいいことjはないね」
「ないわ」
 きっぱりとした口調でした。
「全くね」
「そういうものなんだね」
「そう、子供もいてこそよ」
 伴侶だけではありませんでした。
「人生なのよ」
「僕が父親にねえ」
「何かずっと子供みたいなところもあるけれど」
 サラから見ればです、世の中のことに全くもって疎い先生はどうしてもそう見えるのです。とてもいい人なのですが。
「それでもよ」
「結婚して子供も出来て」
「皆であれこれありながらも」
 それでもだというのです。
「幸せに過ごしてこそよ」
「人生なんだね」
「まあ兄さんはもうね」
「もう?」
「そう、いい歳だから」
 それで余計にというのです。
「早く見付けてね」
「やれやれ、本当に皆から言われるね」
「それだけ皆兄さんのことを心配しているのよ」
 勿論サラもです、こう言ってなのでした。
 サラは今は先生達と一緒に日本で仲良くお茶を楽しみました。自分も何時か京都に行って楽しもうと思いながら。


ドリトル先生と京都の狐   完


                       2014・1・16 
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