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ユキアンのネタ倉庫 ハイスクールD×D

作者:ユキアン
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ハイスクールD×D ゼオン編


神に間違って殺されてから早16年、目の前に居るのはオレの婚約者として紹介されたリアス・グレモリーと言う少女だ。

「はじめまして、リアス・グレモリー。オレはゼオン、ゼオン・ベルだ」

間違えて殺されたオレは『金色のガッシュ』に登場するゼオンの才能とマントとブローチを貰って転生したのだが、転生したこの世界では悪魔や天使、堕天使に神話の神々や生き物が普通に居る世界で、オレは悪魔として産まれた。産まれた時にマントとブローチを着たまま産まれて来たのでそれは気味悪がられ、生きるために必要な最低限の世話以外は干渉されることのない生活を送って来たが、それも学園に入学してから一変する。

ゼオンの才能と悪魔の肉体スペック、それと自分で動ける様になってから続けた鍛錬と実家の書庫を漁って身に付けた知識の成果は半年で上級生を含めた学園の全生徒と大半の教師を恐れさせるには十分だった。

入学してから1年程経ったある日、魔王ルシファー様から特別にレーティングゲームを行うから、何人か眷属候補を連れてくるように言われたのだが生憎とそんな候補は一人も居らず数ヶ月前に拾って保護している猫又の姉妹が居る程度だ。

仕方ないので一人でレーティングゲームに参加し、適当に負けようと思っていたのだが誰一人としてマントを超える攻撃を出来る者は居らず、ザケルだけで完勝してしまった。後で聞いたのだが対戦相手は中堅のランカーだったらしい。それを学生のオレが完勝してしまったことに上層部は荒れたらしい。そして、特例として学園を飛び級で卒業させられ(放逐とも言う)悪魔の駒を渡されて上級悪魔となってしまった。それからは家族とは腫れ物を扱う様な、そんな距離感で暮らしている。

それからの2年間は人間界で猫又の姉妹と一緒にラーメンの屋台を引きながら放浪し、姉妹と似た境遇の半妖や人間の子供を保護しながら眷属として領地を与えて独り立ちが出来る様にしながらレーティングゲームに一人で参加して全勝をおさめ、つい先日上位ランカーに昇格して最上級悪魔となった。さすがに上位ランカーにまでなるとマントだけでは防げない攻撃をしてくるのも居るのだが、マントで無理ならラシルドで、それでも無理ならザグルゼムで強化して、それも無理なら最初からラウザルクの強化で回避するので問題無い。

この前のフラッグ戦は反則ギリギリの方法でなんとか勝利をもぎ取ったけどな。フラッグは相手チームにしか触れないから地面ごとまとめて引き抜いて別の場所に移したり、担いだまま戦ったら次回からは禁止されてしまった。一人だとフラッグを守り続けるしかないからやり辛いのだが、それも仕方ない事なのだろう。

そしてしばらく前に弟が産まれるとすぐに婚約の話が上がって来た。オレを家から追い出したいのがよく分かる。そして今日リアス・グレモリーの誕生パーティーに招待され、初めて顔を合わせる事になった。

「はじめまして、リアス・グレモリーです。ゼオン様の噂は色々と聞こえて来ていますわ。先日、最上級悪魔に昇格された事も」

「ゼオンで結構だ。堅苦しいのは大人になってからで十分だ。今は子供らしく楽しむ時期だ」

そう言ってから懐から用意しておいたプレゼントの入った小箱を手渡す。中には人間界の山奥で知り合った銀細工師の老人に作って貰った髪飾りが入っている。

「綺麗」

隣に居たグレモリー卿に促されて小箱を開けたリアス嬢は髪飾りに見惚れる。

「生憎と誰かに贈り物をする事など無かったから悩んだのだが、気に入ってくれたなら何よりだ」

「ええ、とても気に入ったわ。ありがとう」

年相応に笑うリアス嬢を見て、オレもそんな風に笑いたかったと思ってしまう。無論、それを外に出す様な真似はせずにリアス嬢に笑いかける。

その後、他の招待客にも挨拶の必要のあるリアス嬢達と別れて会場の端の方で招待客を眺める。その多くがオレの方を見てから近くに居る者と何かを話す。聴力を強化して盗み聞きをしてみると、オレに対する陰口ばかりで中には何処から知ったのかオレのマントとブローチの出処を話している。

不愉快ではあるがこの程度なら適当に流せば良いだけだ。そう思っていたのだが

「お前が噂のゼオンか、大した事なさそうだな。まあ産まれる前から魔道具に包まれている位だからな。所詮はその程度の存在か」

まさか正面から喧嘩を売られるとは思ってもみなかった。生まれ変わってから初めての経験だな。相手を見てみると、オレと同年代位で趣味の悪い赤いスーツを着崩している。若干何処かで見た覚えがある様な無い様なそんな男だ。まあその程度の安い挑発には乗らないけどな。

「この分ならお前の弟とやらも大した事無いのだろう」

前言撤回、こいつは殺す。いや、殺すと面倒だからトラウマを植え付ける。この喧嘩買うぞ。だが、オレから仕掛けるのは駄目だ。どうにか正式にゲームまで持ち込まなくてはならない。若干漏れた殺気を抑えると、殺気に反応したグレモリー卿達がやってくる。その中に魔王ルシファー様が居た。

「今日は妹の誕生パーティーなのに何事だい?」

「いえ、将来の宣戦布告を受けただけです。魔王ルシファー様」

すぐさま臣下の礼を取りながら答える。オレに喧嘩を売って来た男も慌てて臣下の礼を取りながら首を縦に振る。

「ははっ、そうかい。中々元気があるみたいだね。なんなら余興で今からやりあってみるかい?ゼオン君にしてもリアスに良い所を見せたいだろう?」

ルシファー様の言葉に内心でガッツポーズを取りながらも表には決して出さずに答える。

「ルシファー様、私はそれでも構わないのですがそれでは彼に勝ち目がありません。何かハンデを与えたいと思うのですが」

「そうだね。君、どんなハンデが良いんだい?余程の事でなければ認めよう。無論、ゼオン君に勝てれば褒美もあげるよ」

「ならば、マントの使用を禁じて下さい」

「それだけで良いのか?なんならもっとハンデを付けてやっても良いぞ」

「オレを、ライザー・フェニックスを舐めるな!!貴様ごときマントが無ければどうとでも出来るわ!!」

ほう、フェニックスだったか。なるほど、どこかで見た事があると思えばルヴァル殿に似ていたのか。まあ中身はそうでもないようだがな。ルヴァル殿なら確実にオレの雷を禁止してきたはずだからな。

「では十分後に開始しようか」

そう言ってルシファー様は離れていき、オレを挑発したライザーも眷属を呼びに離れて行った。

「あの、大丈夫なの?確かそのマントって攻撃にも防御にも使ってるんでしょう?」

リアス嬢が心配そうな顔でオレの事を見てくる。

「ついでに言えば文字通り産まれた時から身に纏っている身体の一部みたいな物だな。だけどな、眷属も連れていないオレが最上級悪魔でいるのは他にも手札を握っていると言う事だ」

試合開始直前まで体内で魔力を循環させていつでも術を使える準備をしておく。そして転送される直前にマントを脱いでそのままリアス嬢に預ける。

「誰にも預けた事の無い物だ」

それを告げてレーティングゲーム会場へと転移する。





転移先は障害物が幾つかある闘技場の様な場所であり、大きさとしては直径2km程と思われる。

『皆様、ようこそおいでくださいました。私はこのたびグレモリー家開催のレーティングゲームの審判(アービター)を仰せつかりましたグレモリー家使用人、グレイフィアと申します。我が主、サーゼクス・ルシファー様の名の下に今回のゲームを見守らせて頂きます。早速ですが、ゲームのルールを説明いたします。今回のゲームの舞台は軍で使われる訓練場に障害物を配置した簡易的な物となっております。そして転移先が本陣となっております。兵士(ポーン)の方々はプロモーションする際には敵本陣周辺までお越し下さい。また、今回はハンデとしましてゼオン・ベル様のマントはお預かりしております。それではゲームスタート』

試合開始と同時に今まで抑えていた魔力を全開まで高め、ライザー・フェニックスの魔力を感知してその方向に右腕を差し向ける。

「ラージア・テオザケル」

オレのイメージを元に魔力が雷に変換され、訓練場の一角を雷が飲み込む。

『ラ、ライザー・フェニックス様の兵士8名、戦車2名、僧侶1名、騎士2名、女王1名、リタイア』

ほう、今の一撃で生き延びる者が居たか。雷が通り過ぎて障害物が粉々になり、煙が晴れた先にはボロボロの姿のライザー・フェニックスとリアス嬢よりも幼い少女が姿を現す。

「どうした、今のはオレの中では中級の上位程度の術だぞ。この程度で根を上げるなよ」

煙が晴れると同時に全力で走り、ライザーの後ろに回り込んで囁く。

「いつの間に!?」

「ザケル」

振り向く前にその背中にザケルを叩き込み吹き飛ばす。

「ジケルド」

「何だこれは!?」

続いてジケルドを撃ち込む。この訓練場の土には大量の砂鉄が含まれていたので短時間の拘束には十分だ。

「さて、これ以上痛い目を見たくなければ早々にギブアップするんだ。オレも君の様な少女をいたぶる趣味はない」

「は、はいいぃ、ギブアップ!!」

ギブアップ宣言を受けて少女が訓練場から転送される。

「この程度か?これならルヴァル殿の方が全然強いぞ」

「黙れええええ!!」

ライザーが全力の炎を出して砂鉄を融かしきり、その炎をオレにぶつけてくる。

「はぁ、やったぞ!!フェニックスの炎は龍の鱗をも焼き尽くす。魔道具に守られていない奴ならこれで」

「ふむ、オレも随分と安く見られたものだな。ラージア・ザケル」

地面に向けてラージア・ザケルを叩き込み、周囲の炎を吹き飛ばす。

「馬鹿な、無傷どころか服さえも燃えていないだと!?」

「残念だったな。この服は特注でな、魔力を込めればフェニックスの炎位なら十分に防げる。最も、マントの方が防御力があるから活躍する機会はほとんど無いがな。さて、そろそろ終わりにしようか。バルギルド・ザケルガ!!」

ライザーの頭上からザケル程度の規模の雷が落ち続ける。

「ぐあああ、ぎゃああああああああ、あああああああああああああ!!」

「この術は威力の割には激痛が走る術でな、肉体が滅びるより先に精神が壊れる物だ。貴様ごときには上級の術は勿体ないからな。オレ自身を非難するのは別に構わん、だが弟のガッシュを侮辱した貴様の罪は重い。十分に苦しめ」

少しずつバルギルド・ザケルガの威力を上げていき、精神が壊れるギリギリの所で術を止める。それと同時にライザーが訓練場から転移される。

『ライザー・フェニックス様のリタイアを確認。この試合、ゼオン・ベル様の勝利です』

オレの勝利のアナウンスと同時に元の会場に転移される。会場に戻ると静寂が訪れていた。

「……あの、これ」

そんな中、リアス嬢がやってきてマントを返してくれる。

「ああ、ありがとう。すまんな、戦いになるとどうもな。今日はこれで帰らせてもらおう」

マントを受け取ったオレはそれを羽織り直し、そのまま会場を後にする。会場から離れようとする間も、招待客達は何かを囁き合っているが聞く必要も無い悪口だろう。外に出て転移しようとした所にリアス嬢が駆け寄って来る。

「今日は、貴方の事が知れて良かったわ」

「そうか。アレだけがオレの全てとは言わんが、あまり知られたくはなかったな」

「いいえ、私は知れて良かった。少なくとも貴方は噂されている様な冷徹な人じゃないって分かったから」

「そうか。そう言われたのは初めてだ」

「今度は私の方から会いに行くから」

「ああ、いつでも歓迎しよう。基本は人間界の方に居るがな」

「ならその時は人間界を案内してくれるかしら?」

「構わんよ。これでも人間界での顔は広い方だからな」

「楽しみにしているわ」

リアス嬢の見送りを受けてオレは自分の屋敷へと転移する。
 
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