機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~
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第二十九話 天空のレクイエム
前書き
プラントが攻撃を受けた。
それを知ったミネルバは宇宙へ。
ジブラルタルからミネルバに戻ってきたアレックス達は、ミネルバクルーから質問責めを受けていたが、艦長の一言で終わった。
そしてこれからのことについて話していたのだが…。
ヴィーノ「大変だ!?」
ナオト「どうしたの?」
ヨウランとヴィーノが血相を変えて駆けて来た。
アレックス「どうしたって言うんだ?」
ヨウラン「プラントが、プラントが攻撃されたんだ!!」
シン「何だって!?」
シン達は急いで談話室のモニターに急いだ。
ヤヌアリウスが……そしてディセンベルが、被害を受けた状況が映っていた。
シン「何で……何でこんな……」
レイ「ジブリールだな」
情報端末で調べながらレイが言う。
レイ「月の裏側、ダイダロス基地から撃たれた。こっちがいつも通り表のアルザッヘルを警戒している隙に。ダイダロスにこんなものがあったとは……」
ルナマリア「何で!?裏側からってそんなの無理じゃない!!どうやって?」
レイ「奴等は廃棄コロニーに超大型のゲシュマイディヒパンツァーを搭載してビームを数回に屈曲させたんだ」
シン「そんな……」
レイ「このシステムならどこに砲があろうと屈曲点の数と位置次第でどこでも自在に狙える。悪魔の技だな」
シン「くっ、そんな、そんなことを……」
アレックス「俺達がジブリールを逃がしてしまったからか…」
ナオト「そんな…っ!!」
クレア「……」
タリア『みんな連戦で疲れてると思うけど、正念場よ。ここで頑張らなければ帰る家がなくなるわ。いいわね』
ミネルバはカーペンタリアから月艦隊と合流すべく発進した。
しかし司令部との連絡がついたアレックス達を待っていたのはとんでもない命令だった。
ナオト「砲の本体を私達だけでですか?」
タリア「だけかどうかは分からないけど。ともかくそれが本艦への命令よ」
レイ「確かに、ここからではダイダロス基地の方が近い。そういう判断でしょう」
タリア「ええ。あれのパワーチャージサイクルが分からない以上、問題は時間ということになるわ。駆け付けたところで間に合わなければ何の意味もないものね」
アレックス「敵が月艦隊に意識を向けているのなら上手くいけば陽動と奇襲になるということですね」
タリア「そういうことよ」
シン「奇襲……」
タリア「厳しい作戦になることは確かよ。でもやらなければならないわ。いい?」
クレア「はい。分かりました」
ハイネ「了解しました。またあれを撃たれるなどもう絶対あってはならないことですから」
タリア「頼むわね」
全員【はっ!!】
パイロットスーツを着ると、ブリーフィングルームでブリーフィングを始める。
アレックス「ブリーフィングを始める。第二射までに月艦隊が第一中継点を落とせれば辛うじてプラントは撃たれない。だが奴等のチャージの方が早ければ艦隊諸共薙ぎ払われるぞ。トリガーを握っているのがそういう奴だということは知っているだろう」
ステラ「うん」
クレア「全ての元凶はあいつだよ。ロゴスのロード・ジブリール!!」
シン「俺がもっと早くセイラン家に着いていれば…」
ナオト「シンのせいじゃないよ。シンもアレックスもあそこで出来る精一杯をやったんだから…」
ハイネ「とにかく続きを説明するぞ。ルナマリアとクレアが直接砲を狙う。もちろん相手の防御も厚いだろう。今までに出てきた陽電子リフレクターを備えた大型MAが出てくる事も考えられる。じゃあ作戦を話す……」
それは、アレックスのセイバー、ハイネのデスティニー、レイのレジェンド、そしてミネルバのタンホイザーまで囮に使った陽動に、更に時間差をつけてシンのデスティニー、ステラのガイア、ナオトのストライクノワールが攻撃に加わり、ルナマリアのインパルスとクレアのデスティニーインパルスがその混乱した隙に砲のコントロールルームを落とすという物だった。
メイリン『ブリッジ遮蔽。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機してください』
アレックス「ではいいなルナマリア、クレア。タイミングを誤るなよ」
ルナマリア「はい」
クレア「分かった。任せて」
レイ「俺達も可能な限り援護をする。だが基本的にはあてにするな。すれば余計な隙が出来る」
ルナマリア「分かってるわ。ご心配なく」
アレックス「では行こう…今度こそ失敗は許されない。これ以上、プラントを討たせはしない」
シン「行こう」
シン達がブリーフィングルームを後にした。
クレア「レイ、気をつけてね」
レイ「お前もな」
レイとクレアもブリーフィングルームを後にした。
ルナマリア「それじゃあお先に!!ルナマリア・ホーク、コアスプレンダー。行くわよ!!」
クレア「ジブリール、今度こそ!!クレア・トワイライト、コアスプレンダー。行くよ!!」
インパルスとデスティニーインパルスがクレーターの影に隠れるように大回りしていく。
アレックス「それでは俺達も行くぞ!!アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」
ハイネ「これだけの戦力で基地墜とせって、どう考えても無茶だけどな。やれるだけやってやるか!!ハイネ・ヴェステンフルス、デスティニー。行くぜ!!」
レイ「プラントもギルもやらせん!!レイ・ザ・バレル、レジェンド。発進する!!」
セイバー、デスティニー、レジェンドが出撃すると同時にタンホイザーが放たれた。
ザムザザーが陽電子リフレクターを張り、タンホイザーを弾く。
アレックス「行くぞハイネ、レイ!!」
ハイネ「おう!!」
レイ「了解!!」
お返しとばかりに、ダガーとウインダムの編隊がビームの雨を降らせる。
そこを突っ切る3機のMS。
セイバーとデスティニー、レジェンドはビームシールドを展開しつつ、接近する。
ハイネ「さあ、来やがれ!!俺がたっぷりと相手をしてやるぜ!!」
デスティニーがアロンダイトを構え、セイバーがビームサーベルを抜いた。
アレックス「頼むぞ…ルナマリア、クレア…!!」
デスティニーとセイバーが敵MS隊に突っ込む。
レイ「墜ちろ!!」
レジェンドはドラグーンを射出し、大型MA隊を撃墜する。
タリア『デスティニー、ガイア、ストライクノワール。発進!!』
ステラ「行ってくるね…ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」
ナオト「アレックス達に続く!!ナオト・フジワラ、ストライクノワール。出るよ!!」
シン「今の俺達に出来る精一杯をやるんだ!!シン・アスカ、デスティニー。行きます!!」
続いてガイア、ストライクノワール、デスティニーが発進する。
シン「これ以上、プラントを撃たせはしない!!」
ナオト「あそこは私達の故郷なんだから!!」
ステラ「守る…!!」
デスティニーとストライクノワール、ガイアが敵MS隊に奇襲をかけた。
クレア「あそこだ!!」
ルナマリア「クレア、後ろよ!!」
デスティニーインパルスの背後にザムザザーがクローを展開していた。
しかし、レジェンドのドラグーンのビームを受け、ザムザザーは爆散する。
クレア「あ…」
レイ「行け、クレア!!射出口はもうすぐそこだ。背後は任せろ!!」
クレア「…ありがとう!!」
アレックス「あれは!?」
ステラ「ミサイル…?」
ナオト「あのマーク…気をつけてミネルバ!!核ミサイルが来る!!」
タリア『何ですって!!?』
アーサー『ええええ!!?ミネルバ一隻に核ぅ!!?』
ハイネ「今のミネルバの戦力値は一国のそれに比肩します。自分も彼らと同じ立場でもそうするでしょう…あまり考えたくありませんが…」
ステラ「核は集めて楽しいコレクションじゃない強力な兵器って…ネオが言ってた。」
シン「レイ!!核ミサイルの撃墜、出来るか!!?」
レイ「…俺に出来るのか…?ラウのようなことが…だがやるしかない!!」
ミネルバに向かって来る数発の核ミサイル。
レジェンドはドラグーンを全基飛ばす。
緊張のためか汗が流れる。
ドラグーンが核ミサイルを1発、2発、3発と、核ミサイルを墜としていく。
レイ「駄目だ…2発撃ち漏らした!!」
ハイネ「充分だ!!」
シン「これで終わりだ!!」
2機のデスティニーが長射程ビーム砲を構え、放つ。
核ミサイルは全て迎撃した。
アーサー『核ミサイル、全弾迎撃しましたあ!!』
タリア『よくやったわ、シン、ハイネ、レイ。』
核ミサイルが撃墜されたことに艦長と副長は安堵した。
アレックス「そろそろルナマリアとクレアが辿り着いてもいい頃だが…」
試坑道を抜けたデスティニーインパルスとブラストインパルスがレクイエム内部に辿り着いた。
クレア「これだ…」
ルナマリア「ええーい!!」
クレア「たあああ!!」
デスティニーインパルスとブラストインパルスが全火力を放つ。
デスティニーインパルスとブラストインパルスの砲撃を受けたレクイエムは破壊される。
アレックス「うおおおおお!!!!」
ハイネ「はああああっ!!!!」
セイバーのプラズマ収束ビームとデスティニーの長射程ビームが司令部に直撃する。
同時にレクイエムが破壊されたことに気づいた。
ナオト「ルナとクレア…やったの!!?」
アレックス「気を抜くな!!ジブリールを探すんだ!!奴はまた脱出しようとするはずだ!!」
シン「…あそこだ!!」
脱出しようとする戦艦を捕捉したシンはデスティニーの光の翼を展開し、一気に接近する。
シン「ジブリール!!覚悟っ!!!!」
長射程ビーム砲を向け、戦艦に向けて放ち、撃墜した。
シン「ジブリールを討ったぞ!!」
クレア「ジブリールをやったの!?」
月面に帰還したデスティニーインパルスとブラストインパルス。
レイ「ああ、シンがやった」
ルナマリア「やったわね!!」
ナオト「これで終わるんだね!!」
アレックス「ああ、これでやっとだ……。父上、母上、ニコル、ミゲル、ラスティ…とうとうここまで来たぞ…」
ジブリールを討ったことにより戦闘は終了した。
アレックス達は束の間の休息を得るのであった。
~if~
これはもしも原作通りルナマリアがシャトル撃墜に向かっていたら…。
シンがセイラン家の場所を知らず、ユウナがパニックルームを思い出さなかったら…。
偶然セイラン家の近くにルナマリアがいたら…の話…の続きです。
アレックス「ブリーフィングを始める。第二射までに月艦隊が第一中継点を落とせれば辛うじてプラントは撃たれない。だが奴等のチャージの方が早ければ艦隊諸共薙ぎ払われるぞ。トリガーを握っているのがそういう奴だということは知っているだろう」
ミネルバ単体でダイダロス基地攻略戦。
アレックス達が前線で敵を陽動している隙に、ルナマリアとクレアが砲のコントロールを陥とす。
それも二射目のチャージが完了するまでの僅かな間でという、それぞれの活躍が不可欠な難しい任務。
ステラ「うん」
クレア「全ての元凶はあいつだよ。ロゴスのロード・ジブリール!!」
決戦を前に、ジブリールへの怒りに燃えるクレア。
プラントがこうなったのも、残り話数が少ないのにグダグダなのも、全ては奴のせいだ。
ルナマリア「私がオーブで討てていれば……」
クレアとは対照的に沈んだ表情のルナマリア。
このような事態になったのも、全ては自分の責任。
あの時のミスは悔やんでも悔やみきれない。
ルナマリア「ほんの僅かな紙一重が生んだ悲劇ね……」
こっちが射撃のプロ?なら、向こうはシャトル操縦のプロ。
プロ同士による際どい攻防戦は、どちらが勝っていても全く不思議ではなかった。
一部では、実は当たっていたという説もある…と思う。
全員【………………】
ルナマリア「な、何よぅ…」
何か言いたげな表情でルナマリアを睨みつけるシン達。
レイ「何であれ、時は戻らない。そう思うなら同じ轍は踏むなということだ」
ルナマリア「分かってるわ!!」
今度同じミスを犯せばプラントは終わってしまう。
辛辣な言葉でルナマリアに警告するレイ。
手厳しい彼から彼女を庇おうとするナオトだが、何も言葉が出てこない。
いや、確かにあれは彼女が悪いけども、彼女が射撃が下手ということを知っていながら向かわせた艦長にも非があるということで。
アレックス達がブリーフィングルームを後にするとシンがルナマリアに声をかける。
ルナマリア「シン、気をつけて」
シン「ああ…でも、やっぱり駄目だよ!!クレアと一緒とはいえルナが砲のコントロールを陥とすなんて、どうやっても無理……いや、危険すぎる!!」
それでもなお、シンの心配は尽きない。
ルナマリアが間に合わずにクレアを巻き込んでレクイエムを発射されて死亡。
ルナマリアが辿り着く前に敵に発見されてクレアを巻き込んであっさり撃墜される。
ルナマリアがレクイエムに辿り着いたものの、攻撃を外してクレアを巻き込んでそのまま生き埋めに。
いくつもの面白い死に方が容易に想像できるから恐ろしい。
シン「やっぱりここはクレアにはナオトと一緒に行ってもらって…」
ルナマリア「同じ事よ。陽動で基地を討つのだって、同じくらい危険だわ。みんな一緒よ!!」
役割を代わろうとするシンをルナマリアは慌てて制した。
危険度は同じぐらいでも、パイロットの能力が全然違うのだが…。
ルナマリア「大丈夫よ、私は。信じてよ……」
シンを安心させるように微笑むルナマリア。
そうは言っても、心情的に信じてあげたいのと、それが実現可能かどうかは別問題なのだ。
ニワトリやペンギンがどう頑張っても空を飛べないのと同じように。
カナヅチがどう頑張っても泳げないように。
アレルギーを持つが故にどんなに頑張っても青魚が食べられないアレックスのように。
どうにもならないことがこの世には存在するのである。
その後作戦は開始され、結果は別次元と同じである。
後書き
ジブリール討伐完了。
次回は…。
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