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ドリトル先生と京都の狐

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第五幕その五

「一体」
「茸じゃよ」
「茸ですか」
「そうじゃ、これは特別な茸でな」
「特別っていいますと」
「外には出ておらぬのじゃ」
 そうした茸だというのです。
「地面の中にあるのじゃよ、山芋の様にな」
「あっ、トリュウフですね」
 ガブガブは長老のお話を聞いてすぐにこの茸、世界的に有名な珍味のことだと思って明るい声で言いました。
「あれですね」
「そうじゃ、話が早いのう」
「だって僕豚ですから」
 だからだとです、ガブガブは飛び跳ねる様にして言うのでした。
「わかりますよ」
「豚がトリュフを探すからのう」
「ですからわかります」
「では茸は御前さんが探すか」
「それでどんな匂いですか?」
「匂いはそっくりじゃよ」
 それもだと言う長老でした。
「トリュフの匂いそのままじゃよ」
「それだったら」
 ガブガブはそのお話も聞いてまた言うのでした。
「見つけられます」
「では任せるぞ」
「お願いします」
 ガブガブは長老にとても明るい調子で応えてです、そうして。
 その酒呑童子の館の跡地に向かいました、今その跡地は他の場所と同じ木と草ばかりの場所です。そこに行ってです。
 ガブガブはすぐに下をくんくんと嗅ぎました、そしてすぐにです。
 ある木の下に来てです、こう先生に言いました。
「先生、ここだよ」
「ここにその茸があるんだね」
「うん、トリュフの匂いがするよ」
 まさにその匂いがだというのです。
「だから間違いないから」
「そうじゃあ今すぐに」
「掘るのは僕に任せて」
「私も手伝うわ」
 ジップとホワイティが掘る仕事を申し出ました。
「こうしたことならね」
「やっぱり僕達だからね」
「うん、じゃあ君達に任せるよ」 
 先生も応えます、そうしてでした。
 ジップとホワイティがガブガブは指し示したその場所を掘ります、すると赤い茸が出てきました。形は普通の茸と同じです。
 その茸を見てです、長老は皆に言いました。
「その茸がじゃよ」
「これがですね」
「霊薬の素ですね」
「これでよい、これで二つ目じゃ」
 霊薬の素が手に入ったというのです、そうしてです。
 その茸を手に入れてでした、一行が次に向かった場所は。
 金閣寺でした、金色のとても綺麗な本堂を見ながらです。長老は先生達に今度は何処にあるのかをお話しました。
「今度は池の中じゃ」
「このお池ですね」
「この中にあるんですね」
「うむ、この池の真ん中にあるあれじゃ」
 丁度お池の真ん中にです、蓮のお花が咲いています。白いとても綺麗なお花です。
「あの蓮の花がじゃよ」
「霊薬の素ですね」
「三つ目の」
「そうじゃ」 
 まさにです、あのお花がだというのです。
「あれなのじゃよ」
「じゃあお池に入ってですね」
「あのお花を取りに行かないと駄目ですね」
「そうの通りじゃ」
「じゃあ私の出番ね」
 ここで出て来たのはです、ダブダブでした。ダブダブは今こそといった感じで先生に対して大江山でのガブガブの様に言うのでした。 
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