VenusBlood-d×d-
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紅き魔導都市の大公
麗らかな午後のひととき研究や政務の合間のひとときを私はメイドが用意してくれた紅茶を飲みながら過ごす。
「「「「「母様~」」」」」
私が産んだ一番歳下の子達が私を呼びながら駆け寄って来る。普段は勉学や戦闘訓練に励んでいるけどみんな母親に甘えたい年頃なのよね。
そこへドスドス、スタスタ、と庭園の芝を踏みしめる足音が聞こえる方に視線を向ける、用事を頼んでいた2人が戻って来たのね。
1人は2mをゆうに超す長身に筋骨隆々な身体に刻まれた幾つもの傷跡、そして獅子を思わせるような鬣と顔つき。
もう1人は白い肌に青い髪に相似した青と白を基調とした鎧、悪魔の象徴である青色の角と白の翼、女性特有の豊満な身体に見つめる者を萎縮させる氷結の紅眼。
「「ただ今戻りました、リーネさま」」
「ええお帰りなさい、ティア、フィネガス、無事で何よりです。貴方達が戻って来たと言う事は」
「はい、西領土の害獣の抹殺を完了しました」
「そう誰も居ないとはいえ放置したままも問題だから、私もこの身体でなければ貴方達の手を煩わせずに済んだのだけれども」
そう言って私は大きく膨らんだお腹を撫でる。
「いえ、リーネ様は大切な身籠の身、それに我々にはそのお気持ちだけで十分です」
そう言って2人は頭を垂れる、その2人を見て母親として嬉しくも有りそして悲しくともある。
「難しいお話終わった~?」
「フィネガスお兄ちゃん~遊んで~」
「ティアお姉ちゃんも~」
私とティアとフィネガスの話が終わったのを見て周りで待って居た子供達が遊んでとせがんでくる。
「こらお前達、リーネさまの前で!!」
「構いませんよ、今はリーネ・グレモリーでも魔導都市の大公でもなく、この子達の母で貴方達の母であるただのリーネですよ」
「しかし」
「ねぇティア、フィネガス貴方達が産まれてもう5年が経つわ、最古参の貴方達は未熟な私をよく支えてくれたわ、でも偶には子供として母に甘えても良いと私は思うの」
我儘な願いなのは分かっている、この子達の戦士としての力を必要としているのにこの子達が忘れようとしている子供としての心を欲してしまっている、本当に酷い母親。
「母様」
そう言ってティアは私の胸に顔を埋める、私は優しく抱きしめフィネガスを見る、フィネガスはただ私とティアを優しそう表情を浮かべながら見ている。
「フィネガス、貴方は良いの?」
「私は構わない、母親に甘えるような歳ではないゆえ」
「いくらお酒を飲めるようになっても、どれだけ歳をとって母親と言うのは子に甘えて欲しいのですよ、それともこんな母は鬱としいですか?」
もし鬱しいと言われたら泣きます、本気で泣きます。まあフィネガスがそんな事を言うはずがありませんがね。
「それは卑怯ではないですか母上」
そう言うフィネガスは私の傍でしゃがむ、幼い時は今の私の腰の高さくらいの身長しかなかったのに今では抜かされてしまった、幼い頃の様にしゃがむフィネガスの頭や鬣を優しく撫でる。
「良いな~僕も撫でて~」
「私も私も」
「はいはい、順番にね」
順番に子供達の頭を撫でて行く、その時お腹の中が動いた気がした。
「どうしたの母様~」
「今動いたわ」
両手でお腹を押さえみる、するともう一度今度はドンと動いたのが確かに分かった、紅茶の入ったカップの側に置いてあるベルを鳴らす、するとすぐにシーツなどを持ったメイド達が駆けつけて来る。
産まれてくる子供の為に無理に動かずその場で出産の準備に入る、周りをシーツの壁で隠しメイドが用意してくれた床に横になる身体から力を抜きリラックスする、一際大きくお腹の中が動いてそして私の中からあらたな命が産まれる、新たな命が宿り産みだされた卵をメイド達が集め回収して運んでいく。
その中の1つの卵を手に取る、卵にヒビが入り中から赤い身体の龍の子が顔を出しそのまま卵を破り翼を広げる、今は手の平にのるサイズだけどじきに私を乗せて空を飛ぶ事が出来る様になるくらい大きくなる、その子は私の顔をペロペロと舐めはじめる少しくすぐったい。新たな命を産み終わった後の一時は何度経験しても幸せな時間本来なら子をなすことが出来ない身体の私が子を産む、私が作り出したグローエッグ技術、悪戯に命を産み出し弄ぶ禁忌と呼ばれた技術。
でもそんな事は関係無い例えどんな事があっても後悔しない、私は多くの子供達に囲まれて幸せなのだから。
後書き
初めまして、植物紳士です。
初めて書くため至らぬ部分などがありますが温かい目で見てくれるありがたいです。
今回出てきたフィネガスとティアですがVenusBloodシリーズのEMPIREのキャラです、フィネガスは名前が一緒なのですが、ティアは名前がディアドラと名前が被るので変えました。
私の書く話でもし出してほしいキャラ等がありましたら感想をお願いします。
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