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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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第二次総力戦はお一人様!

<ゾーマの城>

「はぁ~………何で僕がこんな事を………はぁ~…」
深く大きな溜息を吐きながら、トボトボとゾーマの下へ近付いて行くリュカ。
その姿はとても最終決戦を思わせない。

「やぁ、こんにちは。絶世のイケメン・リュカ君だよ」
「遂に来たか……しかも仲間に見捨てられるとは……哀れよのぅ…」
何時まで経ってもラスボス戦の雰囲気を醸し出さない口調のリュカに対し、哀れむ様子もなく同情を言葉にするゾーマ。

「ホント…酷いよね!『一緒に戦え!』って言われるのなら解るけど、『一人で戦え!』って意味解んないよ!」
「ふっふっふっ…しかし、どちらでも結果は同じであろう…キサマらは全員この場でワシの生贄になるのだから!」
ゾーマはここぞとばかりに強烈な邪気を辺りに放出する。
後方で待機しているアルル達は、その邪気にあてられ身体が震えだしている程だ!

だがリュカだけが全くゾーマの邪気に無反応だ。
まるでそんな物存在しないかの様に、何時もの様に緊張感の欠落した様子で対峙している。
「ねぇねぇ…もう一回聞くけど…本当に君は美少女じゃないの?その姿は仮初めで、真の姿は美少女大魔王ゾーマちゃん!って事にはならないの?」
「な、何なんだ先程から『美少女』『美少女』と…この姿がワシの真の姿で、変化などせんわ!大体どこからそんな話が出てきたんだ!?」

「どっからって………あれ、どこからだっけ?」
リュカは厳つい顔で激怒するゾーマには何も感じず、顔を後方のオルテガに向け視線で情報源を問いかける。
問われたオルテガも声を出すことなく、ウルフを何度も指差してリュカの質問に答える。

「あぁ!そうだよ………ウルフが最初に『ゾーマちゃんは美少女!』って言い出したんだ!何だよアイツ…ガセネタ掴ませやがって…」
視線をゾーマに戻すと、サッと近付き後方のウルフを指差して、
「アイツだよ、アイツ!アイツが僕に嘘情報を掴ませたんだ!いい迷惑だよなお互い…これは被害者友の会を創るべきじゃね?僕達でガセネタ掴ませたあのガキを訴えようよ!」

「ふ、ふざけるなキサマ!」
気安く触ってくるリュカに更に激怒するゾーマ…しかしリュカは、
「そうだ、ふざけるな!僕達は訴えを取り下げないゾ!覚悟しろよ」
と、ゾーマの怒りが自分に向かっている事に気付く素振りを見せない。

「こ…この馬鹿が………マヒャド!!」
「うわぁ、あぶねー!………何すんだよいきなり!?『美少女大魔王ゾーマちゃん』疑惑を創り出したのは僕の所為じゃないって言ったろ!僕達被害者同士じゃないか…なのにいきなりマヒャドって……何なのサ!」
かなりの近距離からのマヒャドだったのに、リュカには掠りもせず避けられる。

「こ、この距離で避けるとは………」
「そりゃ避けるよ。何なのお前!?」
どうにも会話が咬み合わない2人…
「キサマ…ここには何しに来たんだ!?」
「何って…………………………あぁ…そう言えば戦いに来たんだ…話が合いそうだったから忘れてた(笑)」

「……………」
流石に呆れたゾーマ…
ややあって我に返ったゾーマが、凍える吹雪で再度攻撃してくる。
「ちょ…危な…ヤメロって!」
だがそれも避けられドラゴンの杖で反撃を喰らう。
(ドゴッ!)

ゾーマはリュカの攻撃を腹部へ喰らい、身体をくの字に曲げて吹き飛ばされる。
「お前…いきなりは卑怯だろ!」
今尚闘志の感じない口調で喋るリュカ…
そんなリュカに吹き飛ばされたゾーマは、ゆっくりと立ち上がり先程の位置まで戻ってくる。

「やるではないか…ワシを吹き飛ばすとは…しかし如何に強かろうと、ワシの前では全てが無意味!」
そう言うと攻撃を受けた腹部を見せつけ、嘲笑うゾーマ…
そして誰もが自分の目を疑う…
リュカの強烈な一撃でえぐられた腹部が瞬く間に再生して行くのだ!

「クックックッ…ワシは不死身…この闇の衣がある限り、ワシに幾らダメージを与えても、即座に再生して行くのだ!さぁ、絶望せよ!それこそワシの喜び!」
暗い笑い声を上げながら、周囲を見渡し恍惚に浸る。
アルル達も流石に絶望感を感じ始めてきた。

しかしルビスが大声でリュカに伝える…
「リュカ…竜の女王から戴いた『光の玉』を使うのです!それでゾーマの闇の衣は無力化出来ます!」
このルビスの言葉に、後方で見学している誰もが明るい表情になる…が、リュカだけはキョトンと小首を傾げている。

「何…『光の玉』って?僕の股間の双玉(そうぎょく)とは違うの?」
「「「……………」」」
リュカの返答に皆が唖然とする…
「ち…ちげーよバーカ!アンタ、ラダトームでバコタを騙す為にアルルから受け取っただろ!アレだよ!『無くした』とか言うんじゃねーゾ!」
流石のティミーも語気を荒げてツッコんでしまう。

「あぁ…あの玉っころか!アレだったら重要なアイテムだと思ったから、リムルダールの宿屋に預けてきたよ。宿屋の主人に『ちょ~大事な物だから、大切にしまっておいてね♥』って…大事な物を無くす訳無いじゃん(笑)」
屈託のない笑顔でサムズアップするリュカ。
「「「あ…預けてきた~!?」」」
全員同じ表情で大声を上げる。
ルビスなど血の気が引いて倒れてしまった!

「テメーふざけんなー!」「バカヤロー、責任取れ!」「お前もう死ね!」
全員口々にリュカを罵る…
言われている本人は、腹を抱えて後方で怒り狂う仲間等を指差し笑う。

「リュ、リュカ…どうするの…一体どうすんのよ!」
倒れたルビスを抱き起こし、ビアンカが夫に厳しい口調で問いかける。
「あはははは…ビアンカの怒った顔も可愛くてステキー!」
だが悪びれもしないこの男は、妻に対して投げキッスで答える…

本当にどうするのか…?
何か考えはあるのだろうか…?



 
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