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ドリトル先生と京都の狐

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第四幕その二

 その先生にです、長老は言うのでした。
「狐の結核のペニシリンもあればな」
「いいですね」
「それの調合は出来るかのう」
「今すぐには」
 ペニシリンというものはすぐに出来るものではありません、ですから先生もこう長老にお答えするのでした。
「出来ないです」
「そうじゃな。まあそこは色々なつてを頼んでじゃ」
「これからのことですね」
「今思ったわ、とにかくな」
「はい、この方の結核ですが」
「京都のあちこちに薬の素が散らばっておるのじゃよ」
 そうだというのです。
「漢方薬の店がな」
「あっ、そうなのですか」
「高麗人参等がのう」
 こうお話する長老でした、まずはこの漢方薬でした。
「そして霊薬もな」
「霊薬もですか」
「それは鞍馬山にある」
「牛若丸の場所じゃないの、そこって」
 鞍馬山と聞いてです、王子がそのお顔をぱっと明るくさせて長老に問い返しました。
「そうだよね」
「おお、知っておるか」
「あそこにも霊薬があるんだ」
「そうじゃ、天狗のな」
 まさにそれがあるというのです。
「一応何がどれだけ必要かは書いておるぞ」
「どれにですか?」
「これにじゃ」
 一枚の和紙が出てきました、そこに墨でどういったものが何処にあるのか、そしてどれだけ必要かが書かれています。
 その紙を受け取ってです、先生は長老に尋ねました。
「これの通りですね」
「薬を作ればな」
「お母さん狐は助かるんですね」
「そうじゃ、確実にな」
「では今すぐに」
 先生は長老の言葉に応えました、そしてすぐに京都中にあるそのお薬の素を集めようとしますとです。ここでトミーが言ってきました。
「先生、今日はもう」
「あっ、もうすぐ夜だね」
「はい、ですから」
 それでだというのです。
「夜に山とか見回ることは」
「危ないよね」
「ああ、よくないぞ」
 長老もそれはとです、先生にお話します。
「それはのう」
「それでは明日ですね」
「何、鞍馬山はな」
 そこはです、どうかといいますと。
「わしが行って来て天狗の長と話をして素を貰って来るが」
「いや、蔵馬山だよね」
 王子がまた鞍馬山について言うのでした、ここで。
「だったらね」
「行きたいのじゃな」
「だって源義経ゆかりの場所じゃない」
 だからだというのです。
「行きたいんだけれど」
「鞍馬山にも何かあるのかな」
「うん、霊山なんだ」
「天狗がいるからだね」
 先生も天狗のことは勉強しています、日本の妖怪のことも勉強していって天狗のことも勉強したのです。
「そうなるんだね」
「それと牛若丸だけれど」
「源義経の幼名だったね」
「僕あの人のファンなんだ」
 王子は目を輝かせて牛若丸についてお話するのでした・
「凄く格好いいからね」
「だから鞍馬山に行きたいんだね」
「そうなんだ」
 まさにそうだというのです。 
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