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美しき異形達

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第四話 第二の怪人その一

                  美しき異形達 
               第四話  第二の怪人
 薊は裕香と共に智和の屋敷に来た、屋敷は八条学園の近くにあった。
 その屋敷は三階建ての左右対称の見事なものだった、赤い屋根にライトレッドの壁に多くの窓がある見事な屋敷だ。緑と様々な花々が見える庭も左右対称でかなり大きい。
 その屋敷を前にしてだ、薊は自分の横にいる裕香にこう言った。
「でかいな」
「そうよね」
 裕香も薊の言葉に同意で応える、二人共屋敷を見つつやや呆然とした顔になっている。
「噂は聞いてたけれど」
「宮殿だよな」
「ちょっとしたね」
 流石にベルサイユ宮殿やサンスーシー程ではない、だからちょっとした、となるのだ。だがそれでもだった。
 屋敷とも言えないその大きさと見事さにだ、二人は戸惑い話すのだった。
「あたしこんな家に住んでる人実際にはじめて見たよ」
「私も、こんな凄いお家はね」
 ないというのだ。
「先輩本当に大金持ちなんだな」
「そうよね、日本にもそういう人いるのね」
「祖父さんの特許でのお金だよな」
「そう仰ってたわよね」
「だとしてもな」
 それでも限度があるとだ、薊は言うのだった。
「これはないだろ」
「あまりにもよね」
「そうだよ、先輩どんな生活してるんだよ」
「それを今からね」 
 確かめるとだ、こう言った裕香だった。
 そうした話をしてだった、二人が屋敷に入る。西洋の趣の門を潜っても広い庭を通らねばならない。だがここで。
 門を潜ったところでだ、その広い庭から薄黄色の作業服の男が出て来てだ、こう二人に言ってきたのだった。
「あんた達坊ちゃんのお知り合いかね」
「あれっ、坊ちゃんって」
「ってことは」
「ああ、俺は仕事でこっちに来てる庭師だよ」
 男は自分のことも語った。
「この家をお得意様にしてるな」
「別のこの家の使用人さんとかじゃなくてか」
「契約で来てるんですね」
「そうさ、まあこの家の人達との付き合いは長いさ」
 笑ってこう二人に話すのだった。
「お陰様でな」
「そうかよ、じゃあ」
「このお屋敷のことは」
「よく知ってるよ、家の玄関はな」 
 そこは何処かとだ、庭師は屋敷の一階中央にある樫の木の門を指差した、ダークブラウンの重厚な門である。
「あそこだよ」
「あそこまで優に二百メートルあるよな」
「そうよね」
「ここは特別なんだよ」
 この屋敷はというのだ。
「だからあそこまで行くのもな」
「二百メートルもあるんだな」
「そうなんですね」
「そうだよ、お金持ちだからだよ」
 庭も広いというのだ。
「だから庭の手入れもな」
「おじさんと契約してか」
「そうだよ、契約している庭師は俺だけじゃないぜ」
「あまりにも広くて一人じゃ対応出来ないんだな」
「それでだよ」
 彼だけが契約していないというのだ。 
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