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ヘタリア大帝国

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TURN141 石の謎その十一

「長官の乗られる艦ですね」
「そうだ、その名前はだ」
 いよいよだった、東郷はその名を述べた。その名前はというと。
「大和だ」
「その名前ですか」
「そうだ、俺が乗っているその艦の名前をそのまま受け継ぐ名前だ」
 それが東郷の乗艦の名前だというのだ。
「これしか思い浮かばなかった」
「では」
「この名前でいく」
 東郷は確かな声で言い切った、こうしてだった。
 全ての乗艦の名前が決まった、人類の精鋭達はそれぞれの艦に乗り込み明日出撃することになった、そして。
 田中とエルミーは平賀の研究室でその研究室の主である平賀と会っていた、東郷達の最後の会議の時に。
 平賀は久重の口から二人にこう告げた。
「完成は三日後だ」
「明日には間に合わなかった」
「開発が遅れていたからですね」
「そうだ、しかしだ」
 開発は遅れた、だがそれでもだというのだ。
「性能は折り紙つきだ」
「そこまで凄い潜水艦か」
「まさに超潜水艦なのですね」
「そうだ、十一席の超戦艦に九隻の超空母」
「そして二隻の超潜水艦か」
「かなりのものですね」
「期待してもらって結構だ」
 平賀は言葉に確かな自信も見せて言う。
「ラムダス達にも勝てる、だが」
「だが?」
「だがといいますと」
「もう一隻出来そうなのだ」
「何だよ、まだ出来るのかよ」
「それだけ資源があるのですか」
「うむ、潜水艦ならな」
 製造が駆逐艦と対して変わらず資源を使わない潜水艦ならというのだ。
「出来る」
「一隻かよ」
「もう一隻の超潜水艦が出来ますか」
「そうだ、だが問題は誰が乗るかだ」
 平賀が懸念しているのはこのことだった。
「一体な」
「それならミーリャさんはどうでしょうか」
 ここでエルミーが名前を出したのは彼女だった。
「あの娘は」
「彼女か」
「はい、どうでしょうか」
「そうだな、カテーリン書記長と共にいると絶大な力を発揮するしな」
「潜水艦を指揮することも出来ますし」
 これは適性による、ミーリャはそのおっとりとした性格故に潜水艦に乗っていても不安にならないからである。
「ですから」
「そうだな」
 平賀も頷く、そしてだった。
 田中とエルミーにだ、こう言った。
「ではミーリャ首相をだ」
「ここにだな」
「お呼びしてですね」
「話したい、しかしだ」
 ここでだ、平賀は二人にこう釘を刺した。
「このことはだ」
「ああ、秘密だな」
「誰にも言ってはなりませんね」
「決してな」
 こう釘を刺すのだった。
「この話は秘密にしておきたい」
「そうだよな、俺達の参加は」
「サプライズですから」
「敵を欺くにはまず見方からだ」
 平賀はそこに悪戯っ娘めいたものも見せて言う。
「だからだ、いいな」
「ああ、わかったぜ」
「それでは」
 こうしてだった、三人で話を決めて。
 ミーリャも呼ぶことにした、人類の運命を賭けた戦いへの出撃を明日に控えた中で。
 その呼ばれたミーリャもだ、平賀の話を聞いて強い声で答えた。
「うん、それじゃあね」
「乗ってくれるか」
「乗組員の人達もいるのよね」
「ああ、任せとけよ」
 そのことは田中が答えた。
「潜水艦のクルーはこっちで用意出来るからな」
「それじゃあ」
「後は首相さんがどうするかだよ」
 ソビエト首相であるミーリャがだというのだ。
「後はな」
「カテーリンちゃんを助けられるのならね」
 ミーリャはこのことから答えた。
「私もね」
「行ってくれるか」
「うん、皆を助けに行くから」
 こう答えるのだった。
「田中さん達と一緒にね」
「では行きましょう」 
 エルミーはミーリャのその両手を己の両手で握って言った。
「私達で」
「うん、それじゃあね」
 ミーリャも行くことが決まった、最後の戦いに思わぬ助っ人が来ることも決まろうとしていた。


TURN141   完


                     2013・10・6 
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