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機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~

作者:setuna
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第十四話 ホテルでの一時

 
前書き
ホテルでの一時。
 

 
ミーアから爆弾を投下されたナオトは一瞬頭が真っ白になった。

ナオト「へ?え?なぁに?それは。」

頭が真っ白になったことで何を言われたのか理解出来なくなり、聞き返す。

ミーア「だから…アレックスのこと好きなんでしょ!?likeじゃなくてloveの方の!!」

ナオト「(らぶ?らぶってなんだっけ?あい?会い?合い?遭い?相?哀?れ、恋愛的な意味って…あ、ああああああ愛!?)」

ルナマリア「気づいてないんですか?」

狼狽え始めたナオトをルナマリアが呆れたように見つめる。

ナオト「えっ…あっ…す、好きってあの、そういう意味で…?」

ミーア「…やっぱり気づいてなかったのね…。アレックス以上の鈍感だわ…」

狼狽えているナオトの発言に、ルナマリアとミーアが生暖かい視線を寄越してくる。

ルナマリア「ナオトさんは気付いてなかったみたいですけどね。アレックスさん、結構ナオトさんのこと気にかけてますよ?色々フォローしたり、目で追っかけたりして、健気で一途ですよねアレックスさん」

ナオト「き、気にかけるくらい普通なんじゃない!?私達、殆ど家族同然なんだし!?」

ルナマリア「普通と言えば普通ですけど、でも私達てっきり2人は付き合ってるんだとばかり思ってました」

ナオト「私はルナがアレックスのこと好きだと思ってたんだけどね!!」

ルナマリア「確かにアレックスさんのことは好きですけど、憧れなんですよね~」

ナオト「へっ!?で、でも何でアレックスなの!!人違いでしょう?ミネルバにはメイリンとか可愛い女の子はたくさんいるよ?」

ルナマリア「大丈夫。その可能性は無いです。ヨウランやヴィーノが、レイから聞き出したらしいんです。アレックスさんはナオトさんが好きなのかって。そしたらあっさりレイは肯定したとか」

ナオト「ああ、ヨウランとヴィーノ、レイに何てことを聞いてくれたの……!!後でFAITHの権限で2人の仕事量を倍にしてやる…というか、レイにまでこんなことが知られてしまっていたの!?」

ミーア「気づかないっていうのは怖いわよねえ…」

ルナマリア「ナオトさん大丈夫ですか?顔が真っ赤になったり真っ青になったり…」

ナオト「(ちょっと待って。も、もしかして、そういう…れ、恋愛…なことにまで考えが至っていなかったのは私だけ?もしかして、みんな分かっていたの?知られていたの?レイやシンにまで!?)」

そしてナオトは今までのことをふと思い返す。

ナオト「(私は今まで何をしていたの?アレックスを自室に招き入れたり?いや普通でしょう。議長の屋敷にいた時はい、一緒のベッドで寝たり?いや、だって何か家族感覚だったし。手、繋いでみたり?膝枕したり?…今考えてみたら凄く思わせ振りなことをしてた。深く考えずにやっていたよ…!!)」

脳内にごちゃごちゃとした思考とセットでアレックスの姿が浮かんでは消える。

ルナマリア「ちょ、ちょっとナオトさん。どこ行くんですか!?」

ミーア「まるで壊れた人形みたいな歩き方ね…」

フラフラと立ち去っていくナオトにルナマリアとミーアは呆然となりながら見つめていた。








































ナオトが去る少し前、少し外の空気を吸おうとアレックスがロビーを出た時。

イザーク「………」

アレックスは機嫌絶不調のイザークと呆れ顔のディアッカと鉢合わせした。

アレックス「!?」

イザーク「貴様ああああ!!」

アレックスの姿を見るなりイザークは、アレックスの胸倉を掴んで詰め寄る。

イザーク「記憶喪失とはどういうことだ!?」

アレックス「ちょ、ちょっと待って下さい…」

イザーク「敬語など使うな!!普通に話せ!!」

胸倉を掴む手に更に力が入る。
いきなりのことに流石にアレックスも怒るわけで。

アレックス「何だっていうんだ、いきなり!!?」

イザーク「それはこちらの台詞だアスラン!!ユニウスセブンの破砕作業で久しぶりに会った時、いきなりナオトに記憶喪失だと聞かされたんだぞ!!?」

アレックス「ナオトに?」

イザーク「記憶喪失なのは別に構わん。だが、記憶喪失ごときでこの俺を忘れるとはどういうことだああああああ!!!!」

アレックス「え?あ、ああ…すまない」

ディアッカ「おいおい…よう、アスラン。お久し…いや、今のお前には初めましてかな?」

アレックス「あ…えっと…ジュール隊の…」

ディアッカ「ディアッカ・エルスマンだ。因みにこいつはイザーク・ジュール。記憶を失う前はお前のライバルだったんだぜ?」

アレックス「え?」

イザーク「ディアッカ!!余計なことを言うな!!」

ディアッカ「はいはい。お、ナオトじゃん」

アレックス「え?」

アレックスがディアッカの見ている方を見遣れば、確かにナオトがいた。

ディアッカ「ナオト!!」

ナオト「あ、ディアッカ…」

アレックス「ナオト?」

ナオト「ひ…っ」

びくり。
ナオトの喉の奥から反射的に悲鳴が上がった。

イザーク、ディアッカ「「?」」

アレックス「ナオト?どうしたんだ?」

いつもの優しげな声が遠慮なく思考を串刺しにする。
ナオトは思わず後退してしまう。

アレックス「ナオト?」

疑問符を浮かべながらも、アレックスがナオトの手に触れた瞬間。

ナオト「~っ!!…きゃああああああああ!!!!」

アレックス「っ!?」

ナオトの悲鳴と共にアレックスはまともにビンタを頬に喰らう。
ナオトはアレックスにビンタを喰らわせた後、猛スピードで逃げ出した。
呆然としながらそれを見つめるイザークとディアッカ。

アレックス「……い、一体…何があったんだ…?」

訳が分からず、アレックスは張られた頬を摩りながら呟いた。












































ハイネ「ぷ…くく……」

ナオト「笑わないでよお!!」

ホテルのバーで声を押し殺しながら笑うハイネにナオトは顔を真っ赤にしながら叫ぶ。

ハイネ「いや~悪い悪い。まさか、惚れたことに気づいた矢先にその相手を張り倒すなんてな!!」

とうとう堪えきれず爆笑してしまうハイネにナオトは頭を抱えた。

ナオト「うう…どうしよう、私完璧にアレックスに嫌われちゃったよ~!!それに今までも私は何も考えてなくて、アレックスに申し訳なくて…」

ハイネ「(結構重症だな…)お前はアレックスのことは嫌いか?」

ナオト「…………嫌いってことじゃないんだよ。アレックスの気持ちを知っても嫌いになるとか思わない」

ハイネ「じゃあ、お前さ。アレックスが他の女の子に優しくしてる時、無性に腹がたったりしなかったか?」

ナオト「え?な、何いきなり…?」

ハイネ「いいから答えろよ」

ナオト「…腹がたったよ。アレックスを取られたって感じで…でもそれは家族だからなんだって思ってた」

ハイネ「それだけで充分だろ。じゃあお前はあの金髪が他の女に優しくしてる時、腹がたったりするか?」

ナオト「………しない」

ハイネ「ほーら見ろ。お前にとってアレックスは特別なんだよ。」

ナオトの答えにハイネが悪戯っぽく笑いながら言う。

ナオト「一体どうすればいいのお…?こんなこと初めてで分からないよ…」

ハイネ「まずは謝れ。そしてアレックスに告れ」

ナオト「無理!!」

あっさりと言うハイネにナオトは顔を真っ赤にして言う。

ハイネ「じゃあお前…アレックスが他の女とくっついてもいいのか?」

ナオト「あ…うう」

ハイネ「告白してキスでもしてやれ。アレックス相手ならそうすりゃ完璧」

ナオト「キ、キス!?は、恥ずかしい…」

ハイネ「ふうん、じゃあ俺はアレックスに他の女を紹介してやろうかなあ?」

ハイネが意地悪そうに言うとナオトは食いついた。

ナオト「止めて!!こうなったら…当たって砕けてやる!!」

ナオトの叫びがバーに響き渡る。



































シン「大丈夫ですかアレックスさん?」

ステラ「アレックス…痛そう」

アレックス「…………」

腫れたアレックスの左頬にシンが湿布を貼ってやる。
アレックスはナオトに嫌われたと思い込み、凄く落ち込んでいた。

シン「(確か、ミーアさんとルナが残っていたよな。なら…間違いなく何か言ったな。何やってんだよ。馬鹿!馬鹿!!馬鹿!!!)」

シンは心の中でミーアとルナマリアを罵倒する。
するとノック音が聞こえる。

ステラ「誰…?」

ナオト「シ、シン…?」

シン「ナオトさん?」

こんな時間に何の用だろう。
シンは首を傾げた。

ナオト「ア、アレックス…知らないかな…?」

シン「…アレックスさんなら俺の部屋にいますけど……」

ナオト「そう…アレックス。ちょっと来てくれない?話があるの」

アレックス「ああ…」

ナオトとアレックスが部屋から去った。

シン「…大丈夫かな?」

ステラ「ナオト、アレックスのこと嫌いになった…?」

シン「う~ん…ナオトさんに限ってそれはないと思うよ?」

ステラ「どうして…?」

シン「ナオトさんは多分アレックスさんのこと好きなんだよ。無意識に。あ、likeじゃなくてloveの方ね?」

ステラ「らいく?らぶ…?」

シン「likeは…そうだな、友達や家族が好きだって意味で、loveは…誰よりも好きってことかな?スッゴくドキドキするような感じで…」

ステラ「ステラ…シンと一緒にいるとドキドキする……」

シン「え!?」

ステラ「ネオと違う……シン、大好き…」

シン「わ、わああ!!す、ステラ~~!!」

ステラに抱き着かれたシンは顔を真っ赤にして大慌てするのであった。








































アレックス「それで話って?」

ナオト「あ、あの…ね…た、叩いてごめん。あの時は少し考えごとしてて…アレックスのこと嫌いになったわけじゃないの。」

アレックス「そうか…よかった…嫌われてなくて……」

安堵したように言うアレックスにナオトは視線を泳がせながらも、口を開く。

ナオト「えっと…その…」

アレックス「…?」

ナオト「(ゔゔ…駄目だ。恥ずかしくて言えない…!!…このまま何も言わないわけには…でも、もう少しだけ…今のままでいいよね…?)アレックス…」

アレックス「何だ?」

口ごもるナオトの言葉を根気よく待つアレックス。

ナオト「いつかアレックスに伝えたいことがあるんだ」

アレックス「伝えたいこと?」

ナオト「今はまだ、伝える勇気がないから言えない…でもいつか絶対言うから…」

アレックス「分かった。待っているよ」

ハイネ「かあ~!!人が折角お膳立てしてやったのにそれかよ!!」

アレックス「ハイネ!?」

ナオト「見てたの!?いつから!!?」

ハイネ「おう、最初から最後までバッチリ」

ナオトが問い詰めるが、罪悪感ゼロの表情で宣うハイネ。

ナオト「最悪だよ…」

深い溜め息を吐きながらぼやくナオト。

ハイネ「そうそうお二人さん。俺、転属が決まったんだ。休暇明けからそっちに行くからよろしくな!!」

ナオト「はあ!?」

アレックス「ミネルバにか!?」

ハイネ「ああ、俺の部隊は解散。ゲイルとショーン達はジュール隊に行くことになった。」

アレックス「ああ、そうなのか…じゃあ、今まで部下達と…?」

ハイネ「…ん、ああ……」

ナオト「どうしたの?」

悲しげな表情をするハイネにナオトは尋ねる。

ハイネ「こないだの作戦で…部下が1人死んだんだ。」

アレックス「…そうか」

ハイネ「軍にとっちゃ、大した犠牲じゃない。けど…やりきれないな」

涙を流しながら笑うハイネにアレックスは何を言えばいいのか分からず閉口する。

ナオト「ハイネ…」

ハイネ「へっ…格好悪いぜ。俺達は軍人なんだ。軍の命令に従って敵を討つのが仕事だ。墜とされた奴がいても後ろを見ちゃいけない。終わるまでは前だけを見て進むしかない。けど、そんな感覚に慣れちまうのはごめんだな」

ナオト「………」

アレックス「…何か、ハイネが部下に慕われるのが分かる気がするな。」

ハイネ「あ?よく知りもしないのに何言ってんだお前?」

アレックス「いや、分かるさ。羨ましいよ」

ハイネ「んじゃあ、邪魔者は早々に去りますので、後は部屋でごゆっくり!!アレックス、ナオト。雰囲気に流されて頑張り過ぎるなよ~?いくら俺達コーディネーターの出生率が低いって言ってもな。」

ナオト「っ!!な、な…っ!!?」

アレックス「え?」

意味を理解したナオトは顔を真っ赤にするが、アレックスは意味を理解仕切れなかったのか、疑問符を浮かべる。

ハイネ「お前も鈍いね~。頑張り過ぎるとナオトに…ガキが出来ちまうぞ?」

アレックス「!?!?!?」

それで理解したアレックスも赤面する。

ナオト「よ、余計なお世話だよ馬鹿!!」

アレックス「さっさと帰れ!!」

赤面したアレックスとナオトがハイネに向かって叫ぶ。

アレックス、ナオト「「(まだ告白してすらいないのに!!)」」

ハイネ「はいはい。ナオト、アレックス…程々にな?」

次の瞬間、ハイネに向かって罵声と部屋に置かれている物が投げられる。
ハイネはそれをかわしながら自分の部屋に戻っていくのだった。 
 

 
後書き
アレックスとナオトが両片思いにまで進展。
そろそろAA介入してきますからある程度進展させときます。 
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