久遠の神話

「そのことは。ですが」
「想いが強くてか」
「何としてもと」
「神話の頃から決意してか」
「その決意を変えていません」
　今も尚、そうだと言い切った声だった。
「ですからまだ」
「俺達を戦わせるのか」
「例え。何を思おうとも」
　声自身の剣士達への感情、それを押し殺してというのだ。
「私は貴方達を戦わせ」
「想い人と一緒になるんだな」
「そのつもりです」
「よくわかったぜ」
「何をでしょうか」
「あんたは俺達と同じなんだな」
　そのことがわかったというのだ。
「よくな」
「そうですか」
「そうだよ、俺達も願いを適える為に殺し合ってるな」
「その貴方達と私がですか」
「ああ、同じだよ」
　そのことから言うことだった。
「他人を犠牲にして願いを適えようっていうんだからな」
「それでなのですね」
「俺達とあんたは同じだよ」
「違うと思いますが」
「ああ、理解してくれとは言わないさ」
　そのことは言わないというのだ。
「別にさ」
「そうですか」
「ああ、それはいいさ」
　別にというのだ、中田は声に対して自分の言葉への理解は求めなかった。それでこうあっさりと言ったのである。
「別にさ」
「それでもですね」
「あんたも誰かを犠牲にして願いを適えたいよな」
「貴方達を」
「それだよ、俺達もそうだしな」
「そうですね、言われてみれば」
「同じだからな」
　それでだというのだ。
「わかる気がするさ」
「そうですか」
「それでな」
「それではですね」
「あんたは多分この戦いでな」
　ここでだ、こうも言った中田だった。
「願いを適えられるよな」
「おそらくは」
「そうなれば俺達はどうなるんだ」
「解放されます」
　戦いからだ、そうなるというのだ。
「無事に」
「そうなんだな」
「そうです、後は貴方達に興味はありません」
　それでそうなるというのだ。
「ご自由にとなります」
「じゃあ若し力が集まらなかったな」
「まだ戦ってもらいます」
　剣士の戦いをだ、続けてもらうというのだ。
「そうしてもらいます」
「そうか、けれどな」
「それはですね」
「悪いが遠慮するな」　
　中田は笑って声に告げた。
「俺はこの戦いで終わらせたいな」
「生まれ変わってもですね」
「そうだよ、戦いはどうでもいいんだよ」
　全くだというのだ。