ハイスクールD×D~進化する勇気~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十五話
「さて、これからお前らに修行の内容を通達するんだが……この修行においてはすぐにでも効果が出る奴とそうじゃない奴がいる。そのことは十分理解しておけよ?」
「待ってアザゼル……兵藤一誠、なんで貴方がここにいるの?」
まあ、そうだろうな。
俺がいるのはグレモリーの家。昨日の電話はアザゼルにしたもので内容というのが
「俺がある奴を育てたくてな。それでアザゼルに頼んだ」
「貴方がそうするとなにか裏があるとしか思えないのだけれど……」
「俺は何もしねぇよ」
そう、俺はな。
「まあまあ、じゃあ修行の内容を発表する」
アザゼルはそう言うと、早速という風に一枚目の紙を部長に向けた。
「まずはこの眷属の『王』であるリアス。まずは俺の意見を言おうか。お前の潜在的な魔力の才能、頭脳、どれをとっても一級品だ。これは間違いない。このまま何もせずとも成人を迎えるころには才能は開花し、近い未来最上級悪魔の候補にも挙げられるだろう……が、今すぐにでも強くなりたい。それがお前の意気込みだな」
「……あんな無様な恰好、それに……足手まといは嫌よ」
足手まといね……まあ確かにそうだろうな。
「それならお前はその紙に書かれた内容をみっちり体に叩き込め」
アザゼルは先ほどリアス先輩に渡した紙を指すと、リアス先輩は黙々と読み始める。
そして読み終わると少し不思議そうな顔をしていた…どうしたんだろう。
「これ、ほとんど基本のトレーニングなんだけど…」
「お前はそれでいいんだ。いいか?お前の才能と力はすでに上級悪魔でも結構高位のもんだ。ただお前の相対してきた敵はコカビエルやら不死鳥とかの奴らだ。お前は自分の肉体を酷使するタイプの戦士じゃない上に『王』だ。『王』は時にして力よりも知恵、眷属を導く統率力が必要となる。それをするためには基礎あるのみ、基礎がねえ奴がどれだけ応用やっても効果なんてねえんだ」
アザゼルの説得力のある言葉でリアス先輩は納得したのか、何も言わなかった。
確かにリアス先輩の修行内容、相当の効率でなおかつ理想的な内容だ。
まあ、後は自分だけでも逃げきれるようなスタミナ……後は誰かがやられたからってすぐに諦める腐った性根かな。
まあ、これに関してはもうどうにもならないと思うけど。
「さて、次は朱乃」
「はい」
おうおう、どんだけ冷たい瞳で見てるんだよ。アザゼルさんがお前に何かしたのか?……アザゼルさんならやりかねんな。
「おいイッセー。何やら不穏な気配をお前から感じたんだが……」
「気のせいじゃないか?さっさとやってくれ」
「おう、わかったさ……」
アザゼルさん、まさか俺の心を読めるようになったのか?怖いねぇ……堕天使様。
「自分に流れる血、堕天使の血を受け入れろ」
「………」
アザゼルの言葉に朱乃先輩は少し顔をしかめた。
なるほど、人間と堕天使のハーフって事か。
って事は過去に迫害にでもあったのかね?ヴァーリと同じで。
「フェニックス家とのレーティング・ゲームは見させて貰った。全体にいろいろと言いたいことはあるが、朱乃。あの時、お前は堕天使の力を行使すれば容易に相手の『女王』を倒せたはずだ。たとえそれが涙という回復アイテムがあった場合でもだ」
「…わかっていますわ。そんなこと……」
まあ、堕天使は光力を使うからな。確かに悪魔にとっては光って毒にしかならないんだし。
「さて、次は木場。お前は現段階でどれだけ神器の禁手化を持続させられる?」
「…約5日間。ですが力を全力で使えば1日も満たないと思います」
「なるほどな……まあ、それだけでも十分か……お前の特別コーチをイッセーに一任している。頼むぞ、イッセー」
「ああ、こいつなら俺のあの技を使えるだろうし」
「なるほどな。確かにあの技を使えばこいつの騎士としての最大の特徴である速さを活かせるだろうしな」
まあ、あの技も伝授するんだが……そこに祐斗の頑張りが関係しているな。
「そういう事だ、祐斗。お前には俺が特別にコーチしてやる。しっかりついてこいよ」
「でもイッセー君、僕は」
あ、こいつ自分の剣筋が変わらないか心配してんな。
「心配すんな、俺が教えるのは一つの技と技術だ……お前にはこれから常に全力を出してもらうようにするからな」
「?あ、ああ……」
まあ、意味はわからないだろうな。しかし祐斗、お前なら絶対にたどり着けると信じてるよ。雷切と一刀修羅に。
「さて、次はギャスパーだが…」
「は、はいぃぃぃぃぃ!!?」
アザゼルに目線を送られたギャスパーは視線が怖いのか、近くにあったダンボ―ルに隠れる。
なるほど、あの女装っ子がギャスパーか。
「ギャスパー……お前は現状、論外だ」
「ろ、論外!?」
「そりゃそうだろ?停止世界の邪眼は非常に危険な神器だ。しかも宿主のお前が引き籠りに加え対人恐怖症とかあり得ない。お前はその人に対する恐怖心を克服、さらには神器の更なる操作を可能にしてもらうぜ。そのための専用プログラムは組んでやった。それで少しはマシになれ」
「は、はいぃぃぃぃ!!」
対人恐怖症なんだな。まああんな事するんだから恐怖症だろうな。
「最後に小猫だ」
「…はい」
いつもの何倍も気合の入っている声だな……多分この眷属の中では自分が一番弱いとか思ってんだろうな。今の所はなにを言っても今のは無理をするんだろうな。
ったく……黒歌もなにを考えてるんだか。
「お前は『戦車』としての才能は申し分ない。駒の性質にも同調しているだろう……だけど、この眷属の中にはお前よりオフェンスが強い奴がいる」
「ッ!分かっています…」
「ああ、わかっているからこそ、そこまで焦ってんだろう。木場は聖魔剣によって大幅に力が上がった。他にも神名もお前よりかは破壊力はある……別にお前が弱いとは言っていない。しかしだ……その攻撃力は目立たない」
「…小猫、お前はなぜ力を使わない?お前だって本当の力を」
「やめてくださいッ!!!」
力……?黒歌は塔城を心配してる……そして力……なるほどね、そういう事か。
「そこでだ。お前にも特別コーチを呼んである……黒歌」
「わかったにゃ」
「っ!アザゼル先生、何を考えてるんですか!?」
黒歌を見た瞬間、塔城が声を張り上げて叫んだ。
「さっき言っただろう?お前の特別コーチだ……少しは話を聞いてやれ……姉、なんだろう?」
なるほど。姉ゆえに妹が心配だったってわけか。
「私が嫌ならそれでも私は構わない。でも……側では見させて」
「……私一人で修行はします。ついてくるなら勝手にしてください」
塔城はそう言って強く突っぱねるが……正直言ってこの姉妹、なんだかやっぱり姉妹なんだなって思う所があるな。
姉は妹が心配だし……妹は姉に心肺をかけないために修行に走る……似た者同士だな。
さすがは姉妹。
神名に関しては知らん。どうやらタンニーンを修行相手に選んだらしいが……タンニーンも哀れだな、あんな弱い奴の修行相手になったんだから。
そして俺はまあ……用意してもらったコロシアムみたいな場所に祐斗と一緒に来ている。
「それで、どんな特訓をするんだい?」
「簡単な事さ、俺と全力で打ち合う……ただそれだけだ」
「え?でもそれだけじゃ……」
「いいんだよ。今から俺が教えるヒントから正解を導き出せ……お前の今の全力の概念を捨てろ、本当にすべての力を出し切る感じで俺と戦え、ただそれだけだ」
「?う、うん、わかった……」
「それじゃ……いくぞっ!」
俺はソルブレイブを二刀流にして祐斗に斬りかかる。
祐斗も聖魔剣を二本作りだし俺と斬り結ぶ。
そしてちょうど1分が経った頃……
「よし、それまで」
「はぁ、はぁ……え?もう?」
「ああ、もうだ……お前は全力で俺にぶつかってきたか?」
「え?そ、そりゃもちろんだよ。全力で戦わないと君と斬り合うのも難しいって」
ま、そんな簡単にされても俺の面目がないしな。
「じゃあ、もう一つヒントだ……全力ってのは全ての力って事だ。出し切るって事は全部出すって事だ……じゃあ、問題。なんでお前はそうやって立っていられる?」
「え?えぇと……」
「時間切れ。答えは……お前の体が本能的にリミッターを掛けて全ての力を出し切るのを抑えてるんだ」
「っ!た、確かにそんな話は聞いた事はあるけど……」
そう、人間も悪魔も同じで体が本能的にリミッターを掛ける。それによって自分の体力を極微量だが体力などを残すのだ。
「じゃあ、そのリミッターを意図的に外して全力を出しきれば……どうなる?」
「そうか……全力を出すって事はその時に出来る限界を常に引き出す事が出来る」
「その通り……たった1分間だけだが周りの奴等を凌駕する戦闘力を発揮する事が出来る……それが俺の編み出した戦闘技術。一刀修羅だ」
ちなみに世界終末の日の時には時々これを使って九死に一生を得ていた。
「ただこれは使いどころが重要だ。これを使えばすごい戦闘力を発揮するが……使用した後は文字通り何も出来なくなる。全てを出し切るんだからな。多分レーティングゲームならこれを使った後は転送される可能性もある」
そう、この技術は使いこなせれば余力を残すことも出来る。しかしまだやってみて初めての奴は本当に使い切ってぶっ倒れるのである。
それでレーティングゲームでは転送される可能性もあるのだ。
まあ使った後は本当に動けなくなるから恰好の的なんだけどね。
「一刀修羅は本当に最後の手段……お前に教えるのはもう一つの技だ」
「技?」
「ああ、これも俺が使う剣技でな……雷切ってんだ」
その後は祐斗に修行を課していって……なんとか雷切は形にはなった。
しかしやはり一刀修羅は難しかったらしい。
まあ、後はレーティングゲームで頑張ってもらうしかないな。
問題は……
「塔城、だよな……」
修行を初めて少しした後……塔城は無理な修行をして倒れたらしい。
「はぁ……まあ、黒歌に任せるしかないよな……」
俺は塔城の寝ている部屋まで向かった……。
後書き
次回は黒歌SIDE!
ページ上へ戻る