稲荷の祟り
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第七章
「食べている料理はそのままで」
「お酒もそのままだったそうです」
「凄い顔で死んでいたみたいですよ」
「凍りついたって」
「ああ、そんなこと言ってるな」
事務所のテレビは点いていた、そのテレビの朝のニュースでも岳田の急死のニュースで持ちきりで丁度今彼のことが話されていた。
「恐怖で凍りついたか」
「そんな顔だったとか」
「それで二人共死んでいたなんて」
「不思議な話ですよね」
「二人共心臓麻痺だなんて」
「祟りだな」
直感的にだ、社長はそれだと察した。
「これは」
「祟りってお稲荷さんのですか」
「それですか」
「公園で抗議活動していた活動家も死んでるだろ」
神社のかなりの部分を壊した後の公園においてだ、岳田が自衛隊への嫌がらせの為に作らせた公園で。
「それで公園を作らせた知事さんもな」
「その腹心の秘書さんもですね」
「死んでいますからね」
「祟りだよ」
それに他ならないというのだ。
「間違いなくな」
「じゃあ俺達もですか」
「若しお稲荷さんに謝ってお布施をしなかったらですか」
「死んでたんですね」
「祟りで」
「危なかったな、そういえばお稲荷さんはな」
ここで社長は思い出した、稲荷のあることを。
「あの神様祟るんだよ」
「お稲荷さんって祟り神だったんですか」
「そうだったんですか」
「そうだよ、あの神様の祟りは怖いんだよ」
普段は優しく親しまれている神様だ、だがその祟りはというのだ。
「物凄くてな」
「だからですか」
「お稲荷さんを粗末にしたらですか」
「ああなるんですか」
「祟りを受けて」
「そうだよ、あの知事さん神も仏も全く信じていなかったしな」
しかもだ、国家と国民を守っている自衛隊と自衛官への嫌がらせの為という自身のイデオロギーめいた考えの為に神社のかなりの部分を壊してそこに仲間を引き込む様なことをしては最早祟りを受けるのも道理だというのだ。
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