ふざけた呪い
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第七章
「歴史が終わりましたなあ」
その呪いの歴史が、という意味であろうか。
何はともあれだ、ケンタッキーの像は見つかった。そして今はというと。
甲子園球場に行く、するとそこに彼がいるのだ。
「よし、試合前にケンタッキー行こうか」
「そこで腹ごしらえや」
「ついでにカーネル=サンダースのおっさんに挨拶しよか」
「それで一緒に応援や」
「そうしよか」
今では完全に仲間扱いだ、だが。
彼等はそれでもだ、深く反省して言うのだった。
「もうこのおっさんに悪いことしたらあかんな」
「そやな、また呪われたらかなわんわ」
「暗黒時代再来とかいらんわ」
「ほんまや、もうな」
「あんな時代は沢山や」
こう言って彼等はもうあんなことはしてはならないと心から誓うのだった。そのうえで阪神の試合を応援するのだが。
「打たへんなあ、今日も」
「チャンスに凡打の嵐や」
「何で夏になるとこうなんや」
「地獄のロードもましになったっちゅうのに」
移動が楽になりしかも京セラドームが使える様になったからだ。
「それで何でここまで打たへんねん」
「貧打線やねん」
「呪いはまだ続いてるんか?」
まさかとだ、誰かが言った。
だがそれはだ、高齢のそれこそ九十歳はいっているファンに否定された。
「安心せい、こんなの大昔からや」
「それって別当さんが毎日に行った時からですか」
「主力ごそっと抜かれた時からですか」
「そや、これはケンタッキーのおっさんの呪いやない」
老ファンは言う。
「二リーグ制からや」
「そんな強烈な呪いですか」
「ケンタッキーのおっさん以上の」
「そや、阪神のもう一つの呪いや」
まさにそれだというのだ。
「そやからな」
「こっちの呪いはですか」
「そう簡単には」
「解けへんわ」
この呪いばかりは、というのだ。阪神にかかっている呪いは一つではなかったのかも知れない。今日も阪神は僅差で負ける。打てないが為に。
ふざけた呪い 完
2013・12・22
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