セカンド=ラブ
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第一章
セカンド=ラブ
「で、あんたその時はなの」
「そう、それで終わりよ」
私は親友の愛菜に素っ気なくその時のことを話した。今私達は喫茶店で話している。
「彼が転校してね」
「それで終わりなのね」
「時々会いに行こうって言えば続いてたかしら」
「そもそも言うことも考えつかなかったでしょ」
愛菜は私にこう言って来た。
「そうでしょ」
「それはね」
その通りだった、その時は転校で全てが終わると思っていた。
そして実際に終わった、私は彼と駅で手を振り合って終わった。その時は悲しかったけれど三日経てばもう何ともなかった。
その彼とのことを思い出して、私は言った。
「はじめての彼氏だったけれどね」
「本当に素っ気無かったのね」
「何かおかしいかしら」
「まあ人それぞれだからね」
それはだとだ、愛菜はこう私に言ってきた。
「私も今付き合ってるけれどね」
「それでもなのね」
「浮気はしてないわよ」
愛菜はこのことは断ってきた。
「それはね、けれどね」
「それでもなのね」
「ええ、特にね」
何処かさばさばとした感じで向かい側に座る私に言って来る。
「深くないから」
「好きよね、やっぱり好きでもね」
それでもだとだ、愛菜は言うのだった。
「死ぬ程じゃないから」
「私もそうだったのよ」
「そうよね、最初だっていってもね」
「そんな熱くならないわよね」
「人それぞれね。けれどね」
「けれど?」
「次はどうするの?」
私の目を見てそのうえでの問いだった。
「一体」
「どうするかって言われてもね」
「わからないのね」
「実際にその相手が出ないと」
どうしてもわからないとだ、私は答えた。
「何とも言えないわ」
「そうなのね」
「まあ次にそうした人が来たら」
「また付き合うのね」
「そうするわ、今からね」
こう言ってそしてだった、私は今はただ紅茶を飲むだけだった。
けれどすぐに別の友達からの紹介で新しい彼氏と付き合うことになった、今度の彼は完全に私の好みでしかもだった。
優しくて頼りになった、私はその彼に夢中になった。
彼のことばかり話す様になった、その私に愛菜は少し呆れてこう言ってきた。
「随分違うわね」
「前と?」
「そう、全然ね」
こう私に言って来るのだった。
「前とはね」
「そうかもね」
私も彼女の言葉を否定しなかった。
「慣れているから?」
「そうね、二度目だから」
「最初よりも勝手がわかっているから」
「まして前の相手はね」
本当に浅い交際だった、だから。
「あっさりと入られたし」
「気が楽なのね」
「引き摺っていないわ」
それも全くだ、そんなことは何一つなかった。
私は彼女にだ、こう言った。
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