| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

万華鏡

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十九話 ハロウィンの衣装その十

「盛大にな」
「よし、それじゃあね」
「部活の前に」
「しっかし、本当に見事にな」
 どうなったかとだ、美優は笑いつつ言った。
「皆動物になったな」
「変化ね」
 それになったとだ、里香は美優に言い加えた。
「それになったわね」
「だよな、狐とかな」
「天狗も変化になるの?」
 烏天狗になる景子がそのことを問うた。
「そっちに」
「ううん、本当は妖怪だけれど」
「そうよね、天狗はね」
「けれどね」
「烏天狗だからなのね」
「烏天狗は大天狗の部下で地位の低い天狗と考えられてるけれど」
「そうそう、そうなのよね」
 天狗は山伏の服を着ている、修験道の服だ。このことから神道とも縁のある妖怪なので。それで景子も天狗についての知識があるのだ。
「それで烏天狗はどうも」
「烏がなったっていう見方も出来るわね」
「だからなのね」
「そう、私は烏天狗は変化だと思うの」
 里香の見方ではだ。
「皆ね」
「それになるのね」
「そう、烏天狗もね」
「だから私達全員は変化なのね」
「妖怪変化はね」
 それはなのだった、里香は今度は彼等の話になった。
「実際一緒に言われて近いのよね」
「けれど違うのね」
「厳密に言うとね」
 そうなるとだ、里香は彩夏に話した。
「だからのよ」
「九尾の狐って変化か」
 美優も言う。
「妖怪かも知れないけれどな」
「その辺りは近いから」
 曖昧だともだ、里香は美優に優しい感じの笑顔で話した。
「まあ私もこだわってる様に見えるかも知れないけれど」
「実際はか」
「そんなにこだわってるつもりはないから」
 妖怪や変化もだというのだ。
「一緒って思えばね」
「いいのね」
「そう、まあ流石に幽霊と妖怪は違うと思うけれど」
「幽霊は魂だからね」
 景子はこのことははっきりと言い切った。
「魂が身体から出たものが幽霊よ」
「それだけ?」
「そう、それだけよ」
 景子はそのはっきりとした口調で琴乃にも言い切った。
「このことは知り合いのお坊さんに教えてもらったけれど」
「仏教のなのね」
「そう、そっちのね」
 そちらの宗教の考えだというのだ、尚神道と仏教は違う宗教だ。日本ではかなり同一化しているふしもあるが。
「だから生霊も死霊もね」
「人間なのね」
「それで妖怪より怖いから」
 このことは真顔で話した景子だった、強張った顔で。
「普通身体から魂が出るって相当なことでしょ」
「生霊のことね」
「そう、死霊も死んでもこの世に残ってるってことだから」
「だからなのね」
「そう、どっちにしてもね」
 生霊も死霊もどちらもだというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧