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万華鏡

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第五十九話 ハロウィンの衣装その八

「九尾の狐の演目のだからね」
「だからだよな」
「そう、尻尾は九本よ」
「何か凄いな」
「九尾の狐は狐の中でも最強よ」
 妖狐の中ではという意味の言葉だ。
「まさにね」
「確か千年生きてなるんだよな」
「千年生きている間に尻尾が増えていくみたいよ」
「だから尻尾が九本あるとか」
「それだけ生きて魔力を蓄えているってことだから」
 魔力は妖力にしてもいい。
「それでなのよ」
「滅茶苦茶強いか」
「だから三国で暴れたのよ」
 中国、インド、そして日本である。
「封神演義にも出てたでしょ」
「ああ、妲己な」
 この妲己の正体が九尾の狐だったのだ。尚この話は封神演義だけでなく他の逸話でも採用されていることである。
「あいつだよな」
「そう、そこからインドにも行ってね」
 そこの王子を惑わしたのである。
「中国に戻ってまた悪事を働いたから」
「何か凄いな」
 今度は周の幽王だ、その王を惑わして国を混乱に陥れたのだ。
「それで日本に逃げてか」
「鳥羽法皇を惑わしたのよ」
「凄く悪い奴なんだな」
「その九尾の狐はね」
 日本では玉藻前と呼ばれている九尾の狐である。
「他にも九尾の狐はいるから」
「妲己になった奴だけじゃないんだな」
「他にもいるのよ」
「悪い奴だけじゃなくてか」
「狐って日本じゃそんなに悪くないから」
 他の国の怪談話や童話に出て来る狐と比べるとだ。日本の狐は小柄なせいかその辺りはどうも大人しい様だ。
「精々お地蔵さんに化けてお饅頭とかくすねる位でしょ」
「それでばれて村人にどつかれるんだよな」
「そう、お坊さんに懲らしめられたり」
 他には大名行列の前に出て殴られる、日本の狐にはこうした話が多い。
「そういうのじゃない」
「可愛いよな、正直言って」
「演劇部の題目の九尾の狐は悪い狐だけれどね」
 その玉藻前だ、鳥羽法皇を惑わせた。
「大抵の九尾の狐はそうだから」
「いい狐なんだな」
「そう、尻尾が九本あってもね」
「安心していいんだな」
「そうよ」
 こう話すのだった、そしてだった。
 琴乃もだ、美優に狐について説明した里香に尋ねた。
「猫又も尻尾二本あるけれど」
「それよね」
「そう、長生きしてるとやっぱり」
「九尾猫とかもあるみたいよ」
「そうなのね」
「魔女が変身する猫は魔女の変身の回数だけ尻尾が増えるそうだし」
 西洋ではそう言われている、魔女は動物にも変身することが出来るが猫についてはそうなっていくとされているのだ。
「九本にもね」
「なるのね」
「そうなの。ただ尻尾が九本になったらね」
 それでだというのだ。
「それ以上は猫には変身出来ないっても聞いたわ」
「そうなの」
「それでも魔女じゃない普通の猫だと」
 つまり猫又だ、猫が五十年生きてなるものは。
「生きていって多分千年生きたら」
「九尾猫ね」
「そうなるみたいよ」
「そういえば里香ちゃんも」
 里香は送り犬だ、こちらもだった。 
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