天使舞う、この世界
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NO.3 冥界に来ちまったぜ
前書き
こんな私の物語も少しずつ書いています。
どうも、漫画の名台詞に痺れるレイナーレです。決して鳶一折紙と言ってはいけない。
現在地はねー。冥界。悪魔の本拠地だよん。なんでこんなところに来ているか。それにはこんなことがあった。
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「もっと色々なものが食べたい」
実は、都道府県巡りで食に目覚めた、ええ、それはもう、テイ○ズ・オブ・エク○リアの腹ペコ精霊のように目覚めたのさ。涎を垂れ流しているオーフィスを見たときはビビったよ。
外見が幼女なせいか、オーフィスは甘党だった。以前のジジイの姿だったら、渋い抹茶とかを好んでいた。金子?そんなもん、温泉堀当てて稼いだ。オーフィスの勘が当たったんだよ。
そんなわけで、その温泉を提供する代わりに、売り上げの三割を俺たちの懐に入るようのした。そしたら、繁盛するわ繁盛するわ。あっという間に路銀に困らなくなったんだよ。
「まあ、わからないでもないのだけれど、どうするの?」
「・・・・・・人間界以外の食べ物を食べたい。冥界の食べ物とか」
「・・・・・・は?」
いやいやいやいやいやいやいやいや!
「私は天使よ!?悪魔の巣窟に行ったら絶対に狙われるわよ!」
「大丈夫」
まさか、もう対策を?
「今のレイナーレなら、上級悪魔ぐらいなら楽に倒せる」
いや確かに強くなったけどさ!さすがにそれは過大評価過ぎるぞ?俺は元踏み台のレイナーレだからな?
「それに、我がいる」
あー。そうだった。無限の龍神《ウロボロス・ドラゴン》オーフィス。自分が負けることを考えちゃいねぇ。
「あのね、オーフィスが負けるなんて思ってないわよ。面倒事が起きるのが嫌なのよ」
「だったら、力を隠していく」
ああ、ここまで言われたらダメだな。俺が折れるしかない。
「わかったわ。ただ、絶対に正体を悟られないこと、いいわね?」
「ん。わかった」
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なんでこんなことになっちまったんだよ。十二の弾《ユッド・ベート》が欲しいぜ。
俺たちは今、ケルベロスに追いかけられていた。正確には、俺が、だ。
オーフィスは目にも止まらない早さで離脱した。面倒を俺に擦り付けるな!
「ここで『天使』使ったら目立つから問題起こさないでって言ったのに・・・!」
あんないかにも私天使ですって言っているような霊装、『神威霊装・一番《エヘイエー》』を冥界で顕現できるわけないじゃん。『天使』の『絶滅天使』も同様だ。反転すれば、『魔王』になれば、まあまだ大丈夫だろうけど、反転できないし。
あーもう!なんで面倒事が起きるかねぇ!
「どーどうどうどう。落ち着け!ケルちゃん!」
と、帽子を被った男の人が現れた。
「イヤーすまなかったな。ケルちゃんが暴れちまってな」
は、はぁ。こいつケルちゃんって呼ばれてるんだ。どうどうって。
「俺の名前はマザラタウンのザトゥージだ!よろしくな!」
・・・・・・意外な人に出会ったー!
「君も使い魔を探しに来たのか?」
「いえ、観光ですね」
「そうか。では、また会う日まで、さらば!」
と、ザトゥージは去っていった。全く、なんてパクリキャラなんだ。
「オーフィス、面倒を起こさないでって言ったわよね?」
「でも、ばれなかった」
「そうじゃなくて・・・。はぁ、まあいいわ」
結果オーライならいいか。・・・・・・ん?
「・・・・・・オーフィス、あっちから声が聞こえないかしら?」
「ん。数人の悪魔の声」
会話から察するに。一人の悪魔を数人が追っかけている状況だ。
「一応、見てくる?見るだけならタダだし」
「あとでお菓子」
「はいはい」
と、他愛のない会話をして、先程の悪魔のあとを気づかれないように追う。ん?あの悪魔遅くね?
「そ・・・・ったぞ!・・・逃がすな」
「そっちにいったぞ、絶対に逃がすな。だって」
聴力すごすぎない?あ、美味しい匂いをたどる嗅覚は犬を超えてたな。
「はぐれ悪魔かしらね?」
「ん。多分そう」
はぐれ悪魔。簡単に言えば主を裏切った悪魔。にしても、一人相手に大人数とはね。
「逃げてる方、多分猫又」
・・・・・・ビンゴ!運がいいな。黒歌がいる!
「ペット枠が埋まったわね」
「ペット?」
「愛玩動物のことよ」
俺たちはあくまで静かに気づかれず、あとを追った。
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暫く走ったあと、とうとう黒歌らしき気配が動きを止めた。
が、周りには大量のトラップがあった。どうやら誘い込んだらしい。
「覚悟しろ!SS級はぐれ悪魔、黒歌!」
あいつら、完全に罠に気づいてないな。さて、どうなるかな?と、傍観しようと思ったら、オーフィスに突き飛ばされた。つまりは、茂みから飛び出す形になったわけだ。なにしてんの!?
「(レイナーレ、自分の実力、把握する)」
はあ、俺のためですか。愛の鞭ですか?
「誰だ!貴様は!はぐれ悪魔の仲間か!?」
あ、いえ、ただの元踏み台天使です。
「ただの通りすがりです。何やらお取り込み中のようですね。私はこの場を離れさせていただきます」
そう言ってそそくさとこの場を離れようとしたのだが、
「やっと援軍が来たにゃ!さあ、反撃にゃ!」
と、黒歌が誤解を招くことを言う。いや、俺を仲間と認識させて、俺を囮にして、自分は颯爽と逃げる気だろう。何やらかしてんだよ!
「やはり仲間か!お前も死んでもらう!」
っち。面倒なことになった。こうなったら致し方ないな。
「『神威霊装・一番《エヘイエー》』!」
自身の霊装の名を言う。瞬間、天使とウェディングドレスを組み合わせたような服を着る俺。死にたい。でも、霊装顕現しないと全力出せない。
「なっ!天使!?」
「『絶滅天使』」
驚いている悪魔をよそに『天使』も顕現させる。そして、翼の先から、光の光線を放つ。
「『光剣』」
イメージとしては小型のピットを縦横無尽に動かしてレーザーを放つ感じだ。
ただ、それだけじゃ近くに来る悪魔を倒すことはできない。近くに来た悪魔は、俺本来の光の槍で対処する。いざとなれば、『天翼』で距離をとればいい。
だが、大剣を持った悪魔に対しては分が悪い。そのデカイ体躯に似合わない俊敏さで俺の『光剣』を避け、的確に肉薄してくる。やっぱり俺は接近戦が不得意だ。
「天使!お前はここで殺す」
畜生。死にたくねぇ。絶対に!
「私は!絶対に死なない!」
『絶滅天使』の羽と自身の光の力を右手に集める。それを固め、形作る。そして完成した一本の剣。『鏖殺公』を幅を狭くして刃渡りを長くしたような光輝くシルエットの剣。
「・・・名付けるのなら、『滅光刃』と言ったところかしら」
圧倒的エネルギー密度のせいか、時たま電気が走る。
俺に向かって振られる剣を『滅光刃』で受け止める。強度に問題はないな。
体勢が崩れたところで、俺が攻めに転じる。光の刃が悪魔の脇腹を掠める。傷口を見てみると、傷口は消滅していた。
おいおい、聖剣なみの破壊力かよ!確かに俺の天使の力、本来の天使の力と『絶滅天使』の力を集めたが、ここまで強いのか?
「ぐおぉぉぉ!貴様!それは聖剣か!」
悪魔も流石に予想外だったらしい。俺もだよ。
「うるさいわ。消えてなさい。『砲冠』」
エネルギーを極力集束して、無駄な破壊を無くし、威力を高めた『砲冠』で、悪魔を消し飛ばす。
終わった。一応周りを確認する。周りには俺の他に生きている存在はいなかった。黒歌は逃げたらしい。ガッデム。
一先ず安心だな。ふぅ。全くオーフィスめ。
「ん。レイナーレ、ちゃんと勝った」
・・・・・・この駄蛇?駄龍か?全く、死にかけたじゃないか。
ふと、オーフィスを見てみると、右手に黒歌を掴んでいた。・・・・・・、
「グッジョブ」
親指を立てたグッドのサインを出す。オーフィスもグッドのサインで返す。いい仕事しやがるぜ。
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悪魔の領域で派手に暴れてしまったので、一旦人間界に戻ってきて、人目につかない山奥の森に身を潜めた。
勿論、黒歌を逃がさないように連れてきた。
俺は休憩ついでに『絶滅天使』の光の制御をしている。制御だけならあんまり消耗しない。
「・・・・・・で、私をどうする気にゃ?」
各々が休んでいる時に、黒歌が切り出した。
「・・・・・・ペット?」
「ちょっと待つにゃ!今の一言で激しく身の危険を感じたにゃ!」
「語尾のにゃって萌えるよね」
一番最初のはオーフィスだ。
「それよりも、私を囮にしたことにたいしてなにかないのかしら?」
「ん~?知らないにゃ」
「あらそう。『絶滅天ーー」
「ごめんなさい。まことに申し訳ありませんでした」
よろしい。お姉さんは素直な子が好きですよ。脅迫?いえいえ、教育的指導ですよ。
「まずは自己紹介を始めましょう。お互いに知らないのだから」
「はあ、わかったにゃ。私は黒歌。猫又にゃ」
「黒歌、猫又ね」
「なんか今読み方違わなかったかにゃ?」
はっはっは。まさか。
「次は私ね。私はレイナーレ。ただの下級天使よ」
「嘘にゃ!」
えぇぇぇぇ~。言ったそばから否定されちゃったよ。
「下級天使が上級悪魔を倒せるわけないにゃ!」
「・・・・・・あれって上級悪魔だったの?」
ほとんど『光剣』で消滅してたけど?結構弱かったよ?
「そうにゃ。最近上級ににゃったばかりだったけど、上級悪魔にゃ」
「世の中はわからないことが多いわね・・・・・・」
周りが強すぎるとこうなるのか?
「じゃあ次にそっちのロリッ娘にゃ」
「我?」
「そうにゃ」
呼んでますよ、オーフィスさん。
「我、オーフィス」
「・・・・・・・・・にゃ?・・・疲れてるのかにゃ?今あり得ない名前が聞こえた気がしたにゃ」
「現実を受け止めなさい」
現実逃避したいのはわかるけどさ。
「・・・・・・『無限の龍神《ウロボロス・ドラゴン》』?」
「ええ。正真正銘『無限の龍神《ウロボロス・ドラゴン》』よ」
「・・・・・・はふぅ」
あ、気絶しやがった!軟弱なやつだな!俺は気絶しなかったぞ!
「レイナーレ、黒歌、なんで気絶した?」
「ショックが強かっただけよ。現実を受け止めれば大丈夫よ」
「そうなの?」
「ええ。起きるまでに本でも読む?」
「(コク)ん」
俺は数少ない荷物の中から広辞苑を取り出す。オーフィスにはこれを読ませるのがいい。
俺は『絶滅天使』と『滅光刃』のトレーニングでもしますか。
俺は霊装を顕現させた。
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「う・・・うぅん・・・」
お、黒歌が起きた。俺は霊装を解除する。流石にいつまでも着れるほど俺の精神力は強くない。
ウェディングドレス+天使だぜ?心が折れそうだぜ。まあ、八舞姉妹の拘束具よりかはましだけど。
「う?うあ・・・・・・にゃあぁぁぁぁ!!」
起きていきなり悲鳴をあげないで。
「あら、起きたわね。現実を受け止める覚悟はできたかしら?」
「にゃあぁぁぁぁ!龍神がいるぅぅぅ!絶対死んじゃうにゃあぁぁぁぁ!」
・・・・・・混乱するにもほどがあるやろ。
「あのね、黒歌」
「ごめんね、白音、お姉ちゃん、ここまでみたいにゃ」
なに生存フラグ立ててるんだよ。そういうこと言うやつに限って生きるんだよな。
「ビンタされて現実を受け止めるか『滅光刃』の錆になるか選びなさい」
「現実逃避はやめるからどっちもやらないでほしいにゃ」
よろしい。現実を見れば前に進めるぜ。
「さて、自己紹介が終わったところで、これからの目的を考えましょうか」
都道府県巡りも終わったし、そろそろ駒王町に行こうかな?
「・・・・・・具体的な目的もなく旅しているのかにゃ?」
「あえて言うなら人間を見守ろう?」
「保護団体!?」
「我は美味しいものが食べたい」
「グルメ!?」
「あなたは?」
「私は・・・ッ!」
突然口を閉ざした黒歌。コイツはまあ、シスコンでええやろ。
てなわけで、駒王町にいくことにします。
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