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天使舞う、この世界

作者:金猫
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NO.1 出来損ない

 
前書き
こんな私の物語が行き詰まったので、気分転換に書こうと思ってかきました。 

 
轟音。

俺の体にトラックがぶつかった音だ。俺は死ぬのだろう。
今まで生きてきた記録が走馬灯として流れる。ああ、黒歴史おおいなぁ・・・・・・。
死ぬというのにどこか客観的に見ている俺がいた。一周して冷静になってんのかな?
はぁ、まあ、後悔しても仕方がない。なんせ、引かれそうな蛇がいたんだからさ。爬虫類は苦手だけど、蛇が死ぬところを見たら祟られると思うので、必死で助けたら案の定これだぜ☆
ミシャグジ様に染まってんのかな?まあいいや。開き直る。
さてと、俺は二次小説の知識では輪廻転生して、記憶もなくゼロになって別人として人生を歩むのだろう。
それが普通だ。そう信じたい。
俺は来世に思いをはせながら、息を引き取った。


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ふと、目が覚めた。俺は死んだんだけどな・・・・・・。
意識があることに違和感を感じながら、俺は眼を開いた。
目の前は、天国のような場所だった。きらびやかな光に包まれ、見るものに安らぎを与える。
えぇぇぇー。死後の世界ってあんのかい!まさか天国に来るとはね。
と、向こうから、長い髭生やした爺が近づいてきた。なんでファーストコンタクトが天使じゃないんだよ。ジジイなんざだれとくなんだよ。

「ほう、これはまた不思議なものが生まれたな」

生まれた?俺って生き返りでもしたのか?それとも、改造されて生まれたのか?

「随分と弱々しいが・・・。天使にはかわりない」

はぁ?俺に向かって言っているのか?俺が天使?

「お主、ワシの声が聞こえるか?聞こえるなら、返事をせよ」

「あ・・・う・・・」

上手く喋れない。赤ん坊のようなもどかしさを感じる。

「フム、珍しいな。普通の天使は生まれてすぐに喋れるのだが・・・。ワシへの忠誠心も少ない」

そりゃ得体の知れないジジイなんざ忠誠する理由がない。

「お主には、ワシが直々に名を与えよう。感謝しろ」

なんちゅう上から目線。まあ、忠誠はしないが、俺の生みの親みたいなものらしいから、礼はするよ。

「ありがとう・・・ございます・・・」

「フム、まともに喋れるようになったか。お主の名は・・・レイナーレじゃ」

・・・・・・ホワイ?レイナーレ?煩悩のみで突き進むあのラノベのレイナーレ?

「今は堕天使、悪魔との戦争のさなかじゃ。天使に勝利をもたらすため、我らの手足となって戦うがよい」

それだけ言って、頭のネジがなん本かぶっとんだジジイは去っていた。
そのあと、あまり表情が芳しくない、背中に白色の羽を生やした女性が、簡素な白いシャツと下着と半ズボンを置いていった。それまではいい。なんで下着が女物やねん!舐めとんのかワレェ!
偶々近くに鏡があったから、そこで自分の姿を確認する。
そこには、髪の毛の色が違うものの、ハイスクールD×D一巻、主人公を激怒させ、力を覚醒させた踏み台、
後の堕天使、レイナーレがいた。
俺は思った。恥じらいを捨てて服を着るべきだ、と。人生初の女の子の全裸が自分って・・・・・・。


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初めて生まれてから、数年がたった。この世界を調べていたら、天使、堕天使、悪魔の三竦みができていて、バカに強い龍がこの間神やら魔王に喧嘩を売って魂を神器(セイクリッドギア)に封印されたらしい。
完璧にハイスクールD×Dだ。何てこった。俺は遅かれ速かれ死ぬ運命なのか?いや、俺がレイナーレになっちゃったのなら、そこを回避することはできるだろう。だが、それよりも目先のことだ。
ご存じの通り、今は戦争中である。俺は兵隊である。どれだけ弱かろうと兵隊だ。ハア、気が重いな。
つまりは、戦死する可能性が限りなく高いのである。俺が生きる術はあるのか?

「ねえ、あなた邪魔なのよ。どうせ使えないのだから、壁にならないのならいないでくれる?」

こんなことを言われるのもしょっちゅうだ。だが、これは『システム』から見たら合理的な判断として、その天使が『堕ちる』ことはなかった。力がないって罪なんだな。俺は強くなりたい。
今日も戦争だ。俺は逃げて、逃げて、逃げて、逃げて逃げて逃げて逃げて、下級の悪魔や堕天使が一人になって油断した瞬間に光の槍を投げて逃げる。仕方がないだろ?俺は弱いんだからさ。この光の槍も、他の同期の天使に比べたら弱々しいく、頼りないものだった。
自分の性別については、自分の中にボーダーラインを引くことで割り切った。心は男、体は女。オナベと言いたいのなら言えばいいよ。実際そうなんだし。

「あら、レイナーレ。まだ下級以下なの?さっさと強くなったらどう?」

嫌みだが、『システム』は叱咤激励と見なしているらしい。ここで『システム』を腐っていると思ってはいけない。ただ単に、他の天使がギリギリの境界線を見極めているだけだ。俺という出来損ないを排他することによって、「ああはなりたくない」と思わせ、自身を向上させられるのなら、いいだろう。
だが、そうではなく、俺を単純に気に食わないという天使もいる。理由は、あの髭ジジイ、つまりは神に名付けられたからだ。誰もが神を崇拝し、崇め、奉る。そんな絶対の存在に名付けられた出来損ない。苛めの的にならないわけがない。とはいえ、あからさまな苛めは『堕ちる』ので、俺が出世しないようにしたり、ミカエルや、後の『熾天使(セラフ)』のイケメン、美女に近付かせないようにするとか。地味な嫌がらせ。まあ、俺は出世する気も『熾天使(セラフ)』の連中に近づく気もないので、寧ろありがたいんだがな。

「今日も戦争か・・・・・・」

俺は戦争反対派だが、末端に発言権も拒否権もないらしい。全くもって、末端は辛いねぇ。フリードじゃないんだけど。

「早くいきなさいよ、後がつっかえるのよ」

その実、早く逝きなさいよ何て思ってたりしてね。

「わかっています」

敬語じゃないといちゃもんをつけてくる可能性があるので、常に敬語でいる。
白いローブのような服を着て、俺は羽を拡げ、空へ飛び立つ。向こう側からは、黒いカラスのような羽を生やし、天使の証である輪が無くなった堕天使。コウモリのような羽を生やす悪魔がやって来る。ハア、憂鬱だ。

「皆のもの!これは聖戦だ!我らが神に勝利を!」

『『『『『『我らが神に勝利を!』』』』』』

再び、争いが始まった。


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今日も俺はこそこそと逃げ、こっそりと悪魔や堕天使に光の槍を撃ち込む。
自分の中にある、聖なるオーラを手に集め、棒状にし、先を鋭利にする。それを、同じ光の力で創った簡素な弓で、なるべく早く撃ち込む。こうでもしないと、俺は相手を殺せない。
最初は、殺すことに拒否感があったが、ありきたりな理由だが、殺らねば殺られるのだ。もう、迷う暇はなかった。
俺は、数えきれない槍を撃った。頭に、心臓に、四肢に、敵対する全ての存在に、俺は槍を放った。
いつ終わるかもわからない戦争。
俺は、自分が生き残ること以外、何も考えていなかった。
槍を創り、それを、同胞が戦っている悪魔の腕を撃ち抜き、体勢を崩させ、その隙を捉えた同胞が止めを刺す。

「・・・・・・ふん」

礼も言わずに次の戦いに身を投じる同胞。俺は別の下級の敵を探して、その足を貫く。それだけでも、悪魔にはダメージがある。それで苦しんでいる悪魔の心臓に槍を突き立てる。
次の敵は・・・・・・幼い外見をした、悪魔だった。こんな子供まで・・・・・・。

「天使!悪魔の敵!私があなたを殺してやる!」

「悪いけれど、私は死にたくない。だから、あなたを消滅させる」

悪魔の少女は、その悪魔ゆえの身体能力を発揮して、俺に殴りかかってくる。それを右に避ける。すぐさま、蹴りが跳んできたので、聖なるオーラを右腕に纏い、盾のようにして防ぐ。聖なるオーラを纏えば、悪魔にダメージを与えられる。これがなければ、俺は悪魔とまともに戦えない。唯一の武器だ。

「死ね!天使!」

少し焼けた足裏を気にすることなく、俺にインファイトを仕掛けようとする悪魔の少女。
そのラッシュを、俺は空へ大きく飛んで避け、バランスを崩したところで四肢に槍を撃ち込み動きを封殺し、止めを刺す。

「し、死にたくない・・・・・・」

死に際に、悪魔の少女が呟いた一言。

「誰もがそう思うわ」

それだけ言って、心臓と脳天に光の槍を突き立てる。瞬間、悪魔は塵となって消えていった。

「死にたくない・・・・・・か・・・・・・・」

俺もだよ。死にたくない。絶対に生き残るんだ。
そう思った瞬間、俺から、聖なるオーラ以外の力が溢れでた。そして、その力の使い方と名前が頭の中に浮かび上がった。神器(セイクリッドギア)?いや、違う。俺は天使なんだから、人間の部分がない俺は神器(セイクリッドギア)を身に宿すことはできない。それに、俺はこの力を知っている。天使だからかな?

『神威霊装・一番《エヘイエー》』

光を編み込んだような白いヴェールに身を包む。あ~あ。俺とうとうコスプレしちゃったよ。天使のコスプレ。あらやだ黒歴史。

絶滅天使(メタトロン)

この力作品ちゃうやん。頭の上に天使の輪とは違うヴェールのついた輪が装着された。
だから作品ちゃうやん。なんで鳶一折紙の天使を使ってるんだよ俺は!

セフィロトの木、数字は一、色は白、宝石はダイヤモンド、惑星は海王星、神名はエヘイエー、守護天使はメタトロン。それが俺の力らしい。
まんま髪の毛長い鳶一折紙やんけ。レイナーレだけど。ま、軍事利用されたくないから隠すけどね!

兎も角、今いる場所は主戦場から遠く離れた場所だから、派手にやらなければ見つかることはないだろう。
絶滅天使(メタトロン)の光の翼を操り、回りにいる下級悪魔を薙ぐ。それだけで、悪魔は消滅した。
あっけなさ過ぎる。それとも、俺が強くなりすぎたのか?

まあいい。俺は生き残る力をてに入れたのだから、俺は生き残る。
とりあえず、二十世紀にはいたいね。ゲームしたいしさ。

そして数日後、神は死んだ。

 
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