ドリトル先生と京都の狐
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第一幕その一
ドリトル先生と京都の狐
第一幕 王子の誘い
王子は日曜に先生のお家で先生達と一緒に午後の紅茶とティーセットを楽しみながらこんなことを言いました。
「ねえ、皆次の日曜は暇かな」
「日曜だけでなく土曜日もだよ」
お家の中の居間のちゃぶ台を囲みながら皆で楽しんでいる中で、です。先生はにこりと笑って一緒にいる王子に答えました。
「その日もね」
「じゃあ余計に都合がいいね」
「都合がいいっていうと」
「先生京都にも興味があったよね」
王子はここでこの街の名前を出してきたのでした。
「そうだよね」
「うん、何時かは行ってみたいと思ってるけれど」
「その何時かは今度の土曜と日曜でいいかな」
「それはまた急だね」
「急じゃないよ、この神戸から京都はね」
王子は紅茶を飲みつつ先生にお話します。
「すぐ近くじゃない」
「あっ、そうだったね」
「そういえば」
ここで先生と一緒にちゃぶ台を囲んでいる動物達も気付きました、実は先生達が今住んでいる神戸と京都はすぐ近くの間柄なのです。
それで、です。王子もこう言うのです。
「電車ですぐだから」
「京都に行くのはすぐだからだね」
「行ってみたらどうかな、僕も一緒にね」
「そういえばね」
「そうだよね」
ここでダブダブとガブガブがお互いにお話をします。
「トミーももうすぐ来るし」
「来週の月曜にね」
「だったらね」
「次の土曜と日曜には」
トミーとも一緒に行けるというのです、王子は二匹のお話も聞いてでした。あらためてこう先生達に言いました。
「よし、じゃあトミーとも一緒にね」
「京都だね」
「旅館も用意しておくよ」
王子はそこも手配するというのです。
「向こうのね」
「あれっ、神戸と京都は近くじゃないの?」
ジップは王子の今の言葉にこう問い返しました。
「だから行くのに旅館は」
「すぐに戻れるのよね、京都に」
ポリネシアも王子に尋ねます。
「そうよね」
「うん、そうだよ」
「それでどうして旅館に泊まるの?」
「必要ないんじゃないの?」
「いやいや、日帰りで二日行くと疲れるからね」
だからだとです、王子は紅茶を飲みつつ彼等にも答えるのでした。
「だから向こうで宿をとってね」
「それでなんだ」
「京都をじっくりと」
「一度や二度来て回りきれる場所じゃないけれど」
「それでもだね」
「泊まってじっくりと」
「うん、そうしようよ」
こう皆に言うのでした。
「そうして京都を楽しもう」
「そうだね。今はお金にも困っていないしね」
先生は大学教授として決まった、しかも多くのお給料を貰える様になっています。ですから今ではお金にも困っていないのです。
だからです、王子のお誘いに乗ってこう言えたのです。
「旅館に泊まってね」
「それでだね」
「皆で」
「ただ。動物達は泊まれるかな」
先生はこのことが気になりました。
「それはどうかな」
「旅館の方には僕が話しておくよ」
動物達のこともだというのです、王子は気さくな笑顔で言うのでした。
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