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ヘタリア大帝国

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TURN135 ワープトラブルその五

「いいわね、セーラちゃんの負担にならない為にもね」
「はい、すぐにですね」
「今すぐに」
「そうよ、撤退するわよ」
 撤退の時間が短ければ短いだけセーラ達の負担が減る、それでだった。
 彼等にだ、こう言ったのである。
「すぐにね」
「急ぎましょう」
 イギリス妹も彼等に言う。
「一刻も早く戦場を離脱して」
「女王陛下をお助けするのです」
 最後にロレンスも言ってだ、そしてだった。
 エイリス軍は素早く撤退していく、セーラとイギリスはその間も枢軸軍の前に立ちはだかり何とか防いでいた。
 その戦いぶりを観てだ、ランファがリンファに感嘆する顔で話した。
「前も凄かったけれど」
「セーラ=ブリテン女王の戦いぶりね」
「ええ、まさに自ら剣を手に戦う」
「それも見事に」
「あんな人滅多にいないわよ」
 こうまで言うランファだった。
「本当にね」
「そうね、まさに敵ながら」
「見事よ」
 この言葉がそのまま当てはまる、それがセーラだった。
「偉大な女王って言うべきね」
「この状況で後詰になるところもね」
「凄いわ、あたしには無理よ」
 名乗り出られてもあそこまでは戦えないというのだ。
「とてもね」
「私も。戦死すると思うわ」
「正直敵でなかったらって思うわ」
 そこまで思うランファだった。
「名将よ」
「本当にね」
「けれどここが正念場だから」
「攻めましょう」
「それで何とかあの女王様を捕虜に出来れば」
「外交カードとしては大きいわ」
 国家元首を捕虜にしてそのうえで外交材料に使うというのだ、それで枢軸軍はセーラを攻めもするのだった。
 しかしエイリス軍の主力は撤退を終えイギリスがセーラにそのことを言った。
「おい、皆帰ったぜ」
「そうですね、それでは」
「俺達もロンドンに逃げるか」
「是非」
 こう話してそしてだった。
 セーラとイギリスも撤退に移った、だがその彼等に。 
 枢軸軍はセオリー通り彼等を追撃した、その先頭には。
 東郷がいる、彼の乗艦である大和が軍の先頭にいるのだ。
 そしてその横には日本が乗る文字通り戦艦日本帝国があった、東郷はその日本に対して確かな顔で言った。
「まだもう少しな」
「追撃してですね」
「敵にダメージを与えておくか」
「そうですね、そして出来れば」
「セーラ女王を捕虜に出来ればな」
「大きいですね」
「貴重な外交カードだ」
 このことは東郷もわかっていた、それで言うのだ。
「あくまで出来ればだが」
「無理はされないのですね」
「エイリス軍に損害を与えている、こちらの損害を回復させればだ」
「ロンドンに侵攻出来る様になったからですね」
「ああ、無理はしないでおこう」
 次がある、それでだというのだ。
「そうしよう」
「わかりました、それでは」
「ではだ」
 東郷はあらためて言った。
「追撃にかかろう」
「それでは」 
 こうして戦いは最後の追撃戦に入った、東郷と日本は軍の先頭に立ったままその追撃戦を指揮する、その彼等を観て。
 イギリスはセーラにだ、こう言った。
「おい、何かな」
「クイーン=エリザベスがですね」
「遅くないか?」
「どうもエンジンの調子が悪くなりまして」
「そうか、実はな」
「祖国さんの乗艦もですか」
「何かまずいな」
 イギリスの乗艦であるエイリスもだというのだ。 
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