ヘタリア大帝国
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TURN134 ジブラルタル会戦その九
「右翼は最新鋭の艦隊で整然と布陣していますが」
「左翼は、か」
「数は多いですが旧式艦艇ばかりでしかも各艦を雑然と配しているだけです」
「その布陣を見せてくれるか」
「はい」
すぐにだった、トロンメルは応えて大和にその布陣を映したものを送った、すると。
その布陣はロンメルの言う通りだった、右翼は綺麗な兵法に適った布陣だったが左翼は全く違っていた。まさに雑軍だ。
その雑軍を観てだ、東郷は言った。
「まさに烏合の衆だな」
「どうということはありませんね」
こうだ、こう言うロンメルだった。
「左翼は」
「まずはそこから攻めるか」
東郷はすぐに作戦も決めた。
「ここはな」
「敵の弱点から攻める、ですね」
「ああ、まずは左翼を崩し」
そしてだというのだ。
「そこからさらに右翼を攻めるか」
「では」
「全軍まずは敵の右翼に向かう」
最初はそこにだというのだ。
「そこからはまた言う」
「了解です」
「それでは」
ロンメル以外の将兵達も応える、そうしてだった。
枢軸軍はエイリス軍と対した、その数はというと。
やはりエイリス軍というか貴族の軍の数が多い。彼等の数を入れると。
「こっちの三倍ね」
「そうだな」
レーティアはグレシアのその言葉に頷いて返した。
「数だけはな」
「正規軍の数は互角だけれどね」
「敵の左翼の数が多い」
「こちらの二倍よ」
グレシアはその数を言った。
「二倍、けれどね」
「質は悪いな」
レーティアも言う、彼等のことを。
「あれはエイリス貴族達の艦隊だ」
「ええ、そうよ」
「旧式艦艇だけの艦隊を素人達が率いている」
「どうということはない相手ね」
「一蹴出来る」
今の枢軸軍ならというのだ。
「容易にな」
「相手はそれがわかっているかしら」
「わかっている筈がない」
全くだというのだ。
「あの者達だけはな」
「まさに敗因の塊ね」
「だから長官もだ」
「まずは彼等を叩くつもりね」
「では見せてもらう」
堂々とした物腰でだ、レーティアは言った。
「この戦いでもな」
「長官の戦い方をね」
「長官の戦術指揮は私のそれに匹敵する」
戦術においても天才であるレーティアのだ。
「だからだ」
「楽しませてもらうのね」
「見せてもらってな」
実際にレーティアの今の顔には微笑みさえ浮かんでいる、その顔でグレシアに対して語っているのである。
「そうさせてもらおう」
「ではね」
グレシアも応える、そうしてだった。
枢軸軍はまずはエイリス軍正規軍の前に来た、セーラはその彼等を前にして冷静な顔でこう全軍に命じた。
「今は動かずに」
「そうしてですね」
「相手の出方を見ましょう」
守りの陣は整えている、だからだというのだ。
「そうしましょう」
「そうですね、それがいいですね」
ロレンスもそれがいいと見ていた、それでセーラの言葉に頷いたのだ。
正規軍は敵の出方を待っていた、相手が動けばそこから攻めるつもりだった。この場でも動いた方が負ける、そうした状況だった。
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