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緋弾のアリア0/D  No.0 & DollMaster

作者:白崎黒絵
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絶望の宴編
首斬り人形
  序幕 プロローグ

 名古屋武偵女子高校。

 ここは武力を行使する探偵――――通称『武偵』を育成する女子高だ。

 大切なことだからもう一度言っておこう。ここは女子高だ。

 そしてここで俺の自己紹介をしよう。
 俺の名前は天樫(あまがし)ゼロ。ごく普通――――とは流石に言えないものの、常識の範囲内に収まろうと努力している男子。しかも、15歳なので今年から高校生になる。

 大切なことだからもう一度言う。俺は男子だ。

 さてここで問題だ。なぜ俺は今、こんな何の関係もなさそうな2つの話をしたと思う?

 それはな――――

「今まさに俺がいる場所が、名古屋武偵女子高校(ナゴジョ)だからだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!」



 どうしてこうなった。

 つい1週間前まで、俺はちょっと、いやかなり危ない世界に片脚突っ込んで生きていた。だが、俺は決心したのだ。こんな危ない世間の裏側みたいな世界からは足を洗おうって。だから俺は今までいた場所を、そこで共に過ごしてきた仲間も捨てて、一般的な高校に入ろうと思ったのに。

 が、しかし。いかんせん、決心する時期が遅すぎた。俺が元の居場所を捨ててきた頃には、どこの高校の入試もだいたい終わっていた。当たり前だ。なんせ決心したのは3月の30日なんだから。しかし1年浪人して高校入試を受けようにもそこまで財力的な余裕は無く、かといって元の居場所に帰る訳にもいかず、俺は途方に暮れていた。

 そんな俺宛てに1通のメールが届いた。

『行く場所が無いならウチの高校に来な。あんたレベルの強者なら、ウチはいつだって歓迎する』

 俺はその話を受けた。

 そして今の俺の現状がその結果である。

 言いたいことはわかる。どうしてこんな怪しいメールに引っかかったんだ。そう言いたい気持ちはよくわかる。『強者』なんて単語が入ってる時点で、なんかヤバいなとは俺も思ったさ。だがな、よく聞いてくれ。入試も無し。住居は学校が責任を持って用意する。挙句の果てには授業に出席せずとも良いくらいの単位を最初から付けておく。

 こんな好条件を出されたら、この話を受けるバカは大勢いるはずだ。

 そして迎えた入学式当日。俺は自分が仮住まいとしているホテルに届いた制服を着て、意気揚々と教えられた住所を頼りに、高校へ向かった。

 今日から学校かあ、とか。大丈夫かなあ、とか。友達とかちゃんとできるかなあ、とか。じ、自己紹介ミスらないようにしないと、とか。

 まあ割と普通な、一般的な入学前の男子高校生のようなことを考えていた。

 まだ、考えていられる余裕があった。

 俺が高校の前に着くと、そこにあったのは校門とそこに刻まれた『名古屋武偵女子高校』の文字。
俺はたっぷり30秒間フリーズしてから叫んだ。

「なんでだよっ!」

 叫んだあとは即座にスマホを操作し、俺をここに呼んだ張本人にメールを送った。

『意気揚々と高校生男子の俺が登校してきたら、目の前にあったのは女子高だった。な、何を言ってるかわからねーと思うが、俺にもよくわからない。ただ、幻覚とか、場所間違ったとか、そんなチャチなもんじゃ決してねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を垣間見たぜ……』

 こんな感じのメールを。

 すると、

『とりあえず中に入ってきて職員室に来い。以上』

 という返信が速攻で返って来た。まるで、俺がメールを送るのがわかっていたかのように。というかわかってたんだろうな、ほぼ確実に。

 まあいいや。とりあえず言われた通り(書かれた通り?)職員室に行こう。

 そんなこんなで俺はナゴジョへと足を踏み入れたのだった。

 そして冒頭に戻る。



「とりあえず、職員室を探そう」

 俺はここに来るのは初めてだから、まったくと言っていいほどここの地理に弱い。

 こういう時はまず案内図を探せばいいと昔の仲間が教えてくれたのを思い出した俺は、まず案内図を探すことにした。

「えっと案内図、案内図……と」

 幸い、案内図はすぐに見つかった。これで職員室の場所も分かるし、当面の問題は解決したと思ったが、そこでまた新しい問題が浮上した。

「職員室って、校舎の中を通らなきゃ行けないじゃん……」

 そう、ナゴジョの職員室――――教務科(マスターズ)は現在、道が封鎖中のため校舎の中の通路を使わないと行けないようになっている。

「なんでこんな時に限って道が封鎖中なんだよ……!」

 校舎の中を通らねばならない、ということはつまり、ここの生徒たちに見つかる可能性が極めて高くなるということだ。流石に新入生はまだ来ていないだろうが(俺は諸々の手続きやらなんやらのために少し早めに来ている)2、3年生はもう来ている時間帯だろう。入学式の準備もあるだろうし。

 どうする。いくら俺でも何百人単位の武偵を相手に見つからない自信は無いぞ……

 そんなことを考えながら俺が案内図の前で唸っていると、

「……何やってるの?あなた」

 突如、後ろから声をかけられた。

「うおッッッ!」
 驚いた俺は慌てて後ろに振り向く。

 そこいたのは、黒というよりは夜色と呼ぶべき色の髪を腰に届くまで伸ばした少女だった。

「あなた……男?なんでここに男が……?」

 ――――マズい。もしここでこの子が『きゃー!変質者が女子高を覗きにきたー!』とか言い出すと、俺はおそらく物理的にも社会的にも死ぬ。

 それだけはなんとしても阻止せねば。

 こうなったら――――

「悪い。少しだけ眠っててくれ」

 俺は瞬時に少女の背後に回り込み、その首元に手刀をくらわせる。

 マンガとかでよく見るあれ、物理的にムリだろ、と思ってる人も多いだろうし、実際普通はできない。

 だが、俺にはできる。

 これで少女は気絶し、俺はその間に安全に教務科に行くルートを考えられる――――はずだった。

 はずだった、ということはつまり、そうはならなかったということだ。

 俺の手刀は少女の首元にあたる直前に、何かに防がれていた。

「……とりあえず、攻撃されたってことはあなたは私の敵だって判断していいのかしら?」

 彼女は振り向きざまに俺を思い切り蹴り飛ばした。

「がはッ!」

 俺はろくに受け身を取ることもできずに吹っ飛ばされる。

 少女はそんな俺を見つめながら、歌うように呟いた。

「さて、それでは皆様。『夕劇団』の臨時公演『惨殺』。これより開演でございます」 
 

 
後書き
初めましてorお久しぶり!白崎黒絵です!
この度は『緋弾のアリア0/D   NO.0&DollMaster』を読んでいただき本当にありがとうございます!
この作品は緋弾のアリアの二次創作です。そして私が書いてるもう一つの二次創作『緋弾のアリアGS  Genius Scientist』と世界軸をリンクさせております。
原作キャラはほとんどあっちで出てるので、こっちでは逆にほとんど出ません。
それでも努力して書いていきますので、どうか応援よろしくお願いします。
疑問、質問、感想、誤字脱字の指摘など、何かありましたらコメント送ってください。 
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