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万華鏡

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第五十七話 全てが終わってその六

「はしゃぐのよ」
「はしゃぐの」
「音楽はそうでしょ」
 音楽、それの根幹にあるものはというのだ。
「元々儀礼の為にあるものなのよ」
「あっ、クラシックとか教会とか」
「そうそう」
 そういうのを見ればわかるというのだ。
「だからね、そうした時はね」
「はしゃぐといいのね」
「そうよ」
 まさにだと言う母だった。
「そうしてね、気持ちを切り替えて」
「ええ、それじゃあね」
「後ね」
「後って?」
「今回のティーセットはどうかしら」
 上段は大きめのスコーンとクッキー、中段はフルーツサンド、そして下段はエクレアとシュークリームとケーキのそのセットはというのだ。
「いいかしら」
「ええ、かなりね」
「だといいわ。ティーセットもね」
「いつも同じじゃあれよね」
「飽きるわ」
 そうなってしまうというのだ。
「だからいつも同じじゃなくて」
「こうして変えていくのね」
「茶道だってそうでしょ」
 日本文化のそれの話にもなった。
「和菓子もいつも同じだと飽きるのよ」
「だから和菓子もなのね」
「いつも違うから」 
 そうなっているというのだ。
「ティーセットもよ」
「それも変わるのね」
「変えてるの。とはいってもね」
「とはいってもって?」
「イギリスのお料理はね」
 母はイギリス料理自体には少し残念な顔になって話した。
「これ位しかないのよね」
「何かそれいつも聞くわね」
「有名なイギリスの朝食もね」
 それもだというのだ、イギリスは朝食位しか食べられるものがないというがそれですら、というのである。思えば無慈悲な言葉だ。
「日本人が作る方がいいから」
「そういえばハギスって」
「スコットランドのお料理ね」
「あれ美味しいのかしら、日本人が作ると」
「どうかしらね」
 母はハギスについては首を傾げさせて返した。
「お母さんもハギスは食べたことがないし」
「そうなの」
「あまり美味しくないらしいから」
「日本人が作ったら違うとかは」
「どうかしらね。あとスコットランドもお料理はね」
 どうかというのだ、そちらも。
「あまりよくないっていうし」
「そうなのね」
「あとアイルランドもね」
 今では北部以外は独立国であるこの国もだというのだ。
「ビールは一杯あるけれど」
「パブよね」
「そう、アイリッシュパブね」
 アイルランド名物の一つだ、アイルランド人は何かあるとビールを大量に飲むのでこうした店もあるのだ。
「あそこで一杯飲めるけれど」
「お料理はなの」
「イギリスと同じよ、イングランドとね」
「ううん、じゃあアイルランドを旅行に行っても」
「スコットランドでネッシーを観に行ってもよ」
 言わずと知れたネス湖だ、謎のUMAがおらずともネス湖の辺りは風光明媚で行く価値はあると言っていい。
「食べものは期待出来ないわよ」
「ウェールズも?」
 イギリスを構成する四国の最後の一国だ、一説にはこの四国は四兄弟でイングランドはその末っ子の様なものらしい。 
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