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ヘタリア大帝国

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TURN133 隠された航路その十一

「どちらでも構いませんが」
「じゃあ映画館行かない?」
 イタリアがその小澤に言う。
「そうする?」
「はい、それでは」
「それで映画の後はパスタかピザを食べてね」
「ワインと一緒にですね」
「うん、デザートはジェラートでね」
 この組み合わせは欠かせない、イタリン料理では。
「勿論メインディッシュも入れてね」
「ではご一緒に」
「うん、ただ俺喧嘩とかは大嫌いだから」
 デートを盛り上げる為に付きものの悪役が出てもだというのだ。
「そういうのが出たら一緒に逃げようね」
「ご安心下さい、その時が私がいますから」
「南雲さんが?」
「これでも武道の心得があります」
 伊達に軍人ではない、それでだというのだ。
「極限流空手免許皆伝です」
「えっ、空手やってるんだ」
「はい、覇王至高拳と龍虎乱舞も使えます」
 免許皆伝だから使えるというのだ。
「暴漢の十人位は」
「うわ、そんなに強いんだ」
「勿論気も出せます」
 そしてそれを投げたり拳や足に込められるというのだ。
「普通に戦えますので」
「というか日本軍の提督強過ぎるだろ」
 フランスはこのことに唖然とさえしている。
「化物かよ」
「鍛えてますから」
 小澤は何処かの音擊戦士の様なことも言った。
「流石に鬼そのものにはなれませんが」
「いや、その鈴か何かあればなれるだろ」
「なれないです」
 流石にそれは、というのだ。
「勿論魔化魅も倒せません」
「そこは普通なんだな」
「何はともあれイタリアさんとデートですね」
 小澤の顔に黒いものは宿った、表情自体はそのままだがその黒いものを出してそのうえでこうも言うのだった。
「色々と楽しみです、うふふ」
「待って、そこでどうして笑うの?」
「イタリアさんに禁断の世界を教えて差し上げましょう」
「禁断の世界って何!?」
「攻めと受け、まさに禁断の桃源郷」
 小澤の好きな世界だった、その桃源郷とは。
「男同士の真の愛、女同士もいいですね」
「ちょっと、小澤さん大丈夫!?」
 イタリアは小澤の趣味に気付いてぞっとした感じの顔で突っ込みを入れた。
「ちゃんとしたデートで済むよね!」
「はい、同人誌のお店に行くだけで」
「いや、だからどういった同人誌!」
「理想郷がそこに映し出された」
 まさにそうした世界だと話す小澤だった、こうした話の中で今は時を過ごす彼等だった。しかし戦いはまだ続きエイリス軍の思わぬ攻撃の中でもそのことは変わらないのだった。


TURN133   完


                    2013・8・18 
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