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八条学園怪異譚

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最終話 最後の宴会その八

「周りが見てるから」
「いじめをする場面をですね」
「それをですね」
「自分がいじめられるかも知れないって思うから」
 そのいじめっ子にだ、人は周りが自分を見ていることを常に意識していなければならないというのはこうしたことなのだ。
「だからね」
「周りの目もですね」
「意識しないと駄目ですね」
「実際周りの目ってあるじゃない」
 いささか柔軟な感じになってだ、茉莉也は飲みつつこうも言った。
「男の子の視線とかあるでしょ」
「はい、体育の時間とか」
「特に水泳の時間とか」
「水着もそうだけれどブルマだと強烈でしょうね」
 デザインがどう見てもショーツだからである、この体操服が二昔前までは日本中に溢れていたのだから考えてみれば凄いことだ。
「もう何時でもね」
「男の子の視線がですね」
「いつも」
「男の先生とかね」
 只でさえ教師の性犯罪が問題になっているというのにだ。尚これが公になることはその多くの犯罪の中でのごく一部かも知れない。教師の犯罪は中々公にはならないのだ。
「スケベ教師っているからね」
「ううん、そういう周りの目は」
「同年代ならまだ許せますけれど」
 この辺りはクラスメイトのよしみというものだろうか。
「先生の視線は」
「嫌ですね」
「私もよ。とにかく周りの目はね」
「何時でもですね」
「あるんですね」
「そうよ、今だってね」
 こうしてだ、すき焼きを囲んで飲んでいる今もだというのだ。
「皆の視線ちらちらとでも感じるでしょ」
「ですね、本当に」
「何かと」
「そうでしょ、博士だって見てるしね」
 見ればその通りだった、三人の話を聞いている博士は彼女達を交互に見てもいる。妖怪達もそれぞれ賑やかにしながら時折今回の主賓である二人を見てきている。
「そういうものよ」
「まあのう。話を聞いておるとな」
 どうなるかとだ、博士も言って来る。
「その相手は無意識のうちに見るな」
「その通りだな」
 牧村も言ってきた、黙々とすき焼きを食べてサイダーを飲んでいる彼も。牧村は酒が飲めないのでサイダーを飲んでいるのだ。
「俺も見ている」
「ほらね、ただ牧村さんは彼女いるから」
 茉莉也はこのことも確認した。
「あんた達は狙わないからね」
「いや、そういうことはまあ」
「意識していないですけれど」
「それはなのね。まあとにかくこれからもね」
「はい、人生ですね」
「人生のことは色々と考えて」
「楽しんでいってね」
 こう二人に言ってまた飲むのだった、そうしてだった。
 茉莉也は真っ赤になった顔でだ、こうも言うのだった。
「お酒も飲んで」
「そういえば先輩今日も飲んでますね」
「一升空けましたね」
 瞬く間にだ、茉莉也はそこまで飲んでいた。そして今二升目の蓋を開けたところだ。 
 そして自分で酒を入れる茉莉也にだ、二人は言った。
「それで、ですか」
「もう一本ですね」
「三升飲むわよ」
 茉莉也は二人に笑いながら応える。
「今日はね」
「三升ですか」
「今日もそれだけですか」
「あんた達も飲みなさい、何たってこの宴の主賓でしかもハッピーエンドよ」
 泉を見付けてだ、そうなったからだというのだ。 
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