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Element Magic Trinity

作者:緋色の空
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六魔壊滅!?


ナツとココロのドラゴンの咆哮ような叫び声により、耳の良いコブラは耳から攻撃され倒れた。
残る六魔将軍(オラシオンセイス)はブレインとミッドナイトの2人。
その戦いを王の間から見ていたブレインは呟いた。

「な・・・何者なのだ・・・あの2人は・・・」

まさか、ギルドの中でも実力者であるコブラがやられるとは―――の意味を込めて。






『!』
「うあっ!」
「くっ」

がくっと高度が下がった。
コブラの毒のブレスを喰らった4人は現在全身に毒が回った状態であり、まともに動く事すら難しいのだ。

「何か・・・オイラ、体の調子が・・・」
「ハッピー!」
「すまん、ココロ・・・俺も、体が・・・」
「ヴィーテルシアさん!」

空中戦の飛行源であるハッピーとヴィーテルシアは力なくフラフラと落ちていく。
ハッピーに抱えられ、ヴィーテルシアに跨るナツとココロもつられる様にフラフラと。

「アイツの毒か・・・オレも体が・・・」
「キ・・・キツイ・・・です・・・」

フラフラと徐々に落下していく4人。
そして――――――

「ぐあっ!」
「わっ!」
「きゃあっ!」
「ぐっ!」

墜落した。
幸いにも地面に近い状態で落下した為、目立った外傷もダメージもなく地面にうつ伏せに倒れる。
が、それで毒が消えたわけではない。
変わらず、体の自由は奪われたままだった。

「う、しかも・・・乗り物の上・・・」

そして運の悪い事に、墜落したのは動くニルヴァーナの上。
毒と乗り物酔いの最悪のコンボでナツは更に苦しむ。
―――――すると、そんなナツの前にユラッと1人の人影が現れた。

「六魔の誇りにかけて・・・テメェを倒す・・・」

ハァハァと息を荒げたコブラだ。
やはりこちらはこちらで苦しいのか汗が浮かび、体は小刻みに震えている。

「死ねェ・・・」
「く・・・くそ・・・体が・・・」
「ナツさん!・・・うぅ・・・」

毒と乗り物酔いでナツは全く動けない。
ココロがナツを助けようと体に力を込めるが、彼女も毒に苦しむ身である為起き上がれない。

「旧世代の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)がァあ!」

コブラの右手に毒が纏われる。
全く動けないナツに、コブラの腕が容赦なく振り下ろされ―――――――

『!』

コブラの左肩から、血が舞った。
それを見たナツとココロは目を見開く。
コブラの左肩には撃ち抜かれた跡。
そしてその後ろには――――

「もういい、コブラ」

杖を銃のように構えたブレインがいた。

「ブ・・・ブレイン・・・何を・・・」
「うぬはよくやった。ゆっくり休め」

コブラの目に自然と涙が浮かぶ。
ブレインはコブラに優しい労いの言葉をかける。
が・・・心の声が聴こえるコブラには、聴こえていた。

(正規ギルドに敗れる六魔などいらぬわ、クズが!)

ブレインの本音が。

「くそォ・・・くそォ・・・!」

涙が零れる。
その目に、相棒であるキュベリオスが映った。

(オレの祈り・・・オレは・・・たった1人の友の声を聴きたいだけだった・・・キュベリオス・・・)

ドサッと、ナツやココロのようにうつ伏せに倒れるコブラ。
そんな彼にはキュベリオスが寄り添っていた。
ナツは睨みつけるようにブレインを見上げる。

「お前・・・仲間じゃねーのかよ」
「仲間などこの先いくらでも増やせる。ニルヴァーナの力でな」
「酷い・・・あなた、酷すぎます!」

いくら敵とはいえ、こんな倒れ方をココロは認めない。
ぎゅっと唇を噛みしめ、匍匐前進をしてコブラに向かう。

「ごめんなさい、コブラさん・・・私はウェンディちゃんみたいに治癒の魔法は使えないから、傷を治してあげられません・・・だけど、心配くらいは、させてください・・・」

気を失っているコブラにその言葉は届かない。
だが、ココロは呟いた。
そして怒りの表情を浮かべるナツは、はっきりと言い放つ。

「そんなのは仲間って言わねえだろ、操り人形だ」

ナツの鋭い睨みにも、ブレインは表情を崩さない。

「そう噛みつくな、私はうぬらの力を気に入ったのだよ。言ってる意味が解るかね?」
「うぐ・・・うう・・・」
「あぅ・・・くぅ・・・」

ブレインを睨みつける。
が、毒によって体は自由に動かず、ナツに至っては乗り物酔いまで発動中だ。

「うぬらを私の最初の操り人形にしてやろう」










ニルヴァーナによって善へと変わり、連合軍に協力する元六魔将軍(オラシオンセイス)のホットアイ・・・否、リチャード。
彼は六魔将軍(オラシオンセイス)最後の1人であるミッドナイトと戦う為に残った。
そして―――リチャードの前には、倒れるミッドナイトがいる。

「このボクが・・・ま・・・負ける・・・?」
「強い信念を持つ者が勝つ。ジュラはそう言ってましたデス」

倒れるミッドナイトを見下ろす様にしてリチャードは言い放つ。

「いやだ・・・負けたくない。負けたら父上に捨てられる・・・負けたくないっ!」
「逃げても無駄デスヨ」

叫び、逃げるようにミッドナイトは姿を消す。
が、ホットアイは全く慌てない。

「私の『天眼』は全てを見通せマス!」

リチャードは辺りを見回す。
その目に古代都市の建物が映り―――――

「観えタ!リキッドグラウンド!」

右手人差し指と中指を向け、リチャードは地面を柔らかくする魔法を放つ。
その指の先にある建物が一瞬にして倒壊した。

「うわあああぁあぁっ!」

そしてその建物の陰に身を潜めていたミッドナイトは倒壊に巻き込まれる。
打ち上がり、落下するミッドナイトにリチャードは呟く。

六魔将軍(オラシオンセイス)は今日で終わるのデス」











「いたぞ!」
「!」

ニルヴァーナ本体へと潜入し、ジュラとアルカの2人と合流したルーシィ、グレイ、ルー、ティアの4人。
その目に映ったのは、ブレインに引き摺られどこかに連れて行かれそうになっているナツだった。

「ナツ!どーしちゃったの!?」
「これ・・・乗り物だから・・・」
「皆さん・・・ナツさんが・・・ナツさんが・・・」
「ハッピー!ココロ!ヴィーテルシア!」
「ネコ殿とココロ殿、狼殿も無事か」
「ネコ殿?」
「何じゃそりゃ・・・」
「狼殿って・・・」

ぐったりとするナツを見たルーシィが目を見開き、ハッピーとココロが呟き、ルーが叫び、ジュラの言葉にグレイとアルカがツッコみ、ティアが呆れたように肩を竦める。

「みんなぁ・・・ナツを助けて・・・連れて行かれちゃう」
「俺達は・・・コブラの毒で動けん・・・頼む・・・」

涙を浮かべたハッピーが頼み込み、ヴィーテルシアが苦しそうに呟く。

「六魔も半数を失い、地に落ちた。これより新たな六魔を作る為、この男を頂く。そこの小娘もだ」

ブレインはルーシィ達に目を向け、続けてくいっと顎でココロを指す。

「いつか来ると思ってたけど、本当に闇ギルドにスカウトされっとはな」
「ココロまで・・・」
「ティアじゃねーんだな」
「それ、どういう意味よ」

呆れたようにグレイが呟き、ルーが心配そうにココロを見つめ、アルカが心底驚いたようにあっけらかんと言い、ティアはじろりとアルカを睨みつける。

「ナツもココロもアンタ達の思い通りにはならないんだからね!」
「ニルヴァーナがこやつらの心を闇に染め、私の手足となるのだ」

ルーシィの言葉に薄い笑みを浮かべてブレインが言い放つ。

「なるか」
「なりません」
「くっ!」

が、ナツが抵抗としてブレインの腕にガブッと噛みついた。
ココロは近くの石を掴んで、自由の利かない身体に鞭を打ち投げ付ける。
石はブレインの左足に直撃した。

「まだそんな力が!」
「ぐほっ!」
「ナツさんっ!」

ドガン、と音を立ててナツが地面に叩きつけられる。

「う・・・うぼ・・・うぼぼ・・・」
「体調が悪そうだな」
「アイツ・・・見てるこっちが驚くくらいに乗り物に弱いのよ」

おおお・・・と苦しそうに呻くナツを見たジュラの言葉にティアが呆れたように呟く。

「早く・・・コイツ・・・倒し・・・て・・・これ・・・止めてくれ・・・うぷ」
「まっかせて!」
「お前の為じゃねーけど止めてやんよ」
「うん!」
「くくっ・・・面白くなってきたじゃねーか」
「全く・・・呆れるくらいに世話が焼けるわね」

ナツの言葉にそれぞれが戦闘態勢を取る。
それに対し、ブレインは余裕の笑みを浮かべて口を開いた。

「止める?ニルヴァーナを?出来るものか」

そして・・・告げた。





「この都市は間もなく第一の目的地、化猫の宿(ケット・シェルター)に到着する」





化猫の宿(ケット・シェルター)
それは連合軍に参加しているギルドの名。
言い放たれた言葉に、その場にいた全員の目が見開かれ、驚愕する。
―――否、ティアだけは眉をピクリと上げ、腕を組んだ。

化猫の宿(ケット・シェルター)・・・私達の、ギルド・・・どうして・・・?」

自分の所属しているギルドが狙われていると知ったココロは誰よりも衝撃を受けている。
その声は震え、瞳は不安そうに揺れていた。

「目的を言え。なぜココロ殿達のギルドを狙う」

薄い笑みを浮かべるブレインにジュラが問う。
が、ブレインはそれを無視して続けた。

「超反転魔法は一瞬にして光のギルドを闇に染める。楽しみだ・・・地獄が見れるぞ」

その言葉に、妖精メンバーの表情に怒りが浮かぶ。

「エグイな、コノヤロウ」
「こいつ、許せない」
「むうぅ・・・僕もう怒ったよ!」
「地獄ねェ・・・生憎だが、オレぁ人工的に作られた地獄にゃ興味ねぇな。面白くねェ」
「こういうのは根本的に叩き潰すべきね。それこそ・・・再起不能レベルで」

空気が冷える。寒気が走る。
全てはティアから発せられる殺気が原因だ。
毎度毎度の事ながら相変わらず慣れない妖精メンバー。
が、その時―――――――――




「聞こえなかったか?目的を言え」





低い声が響いた。

『!』

背後から聞こえた低い声にグレイとアルカはぞわっと背筋を震わせ、軽く青ざめ、小刻みに震えながら後ろに目を向ける。

「オ、オイオイ・・・ジュラが怖ェんだけど・・・なぁ、ティア・・・ティア?」

声の主であるジュラを見たアルカはティアに声を掛ける。
が、反応はない。
疑問に思ったアルカはヒョイッとティアの顔を覗き込む。

「!」

そして、目を見開いた。
何故なら―――

「・・・」

ティアの顔が、青ざめていた。
ゴクリと唾を飲み込んだティアの顔は軽く青く、淡い恐怖に染まっている。
その体は小刻みに震え、ぎゅっと己の身を抱いた。

(何だ・・・?ティアがこんな反応するなんざ初めて見るぞ!?)

ギルドに入って9年。所属当初からの付き合いだが、彼女の顔が青くなる所など見た事がない。
アルカは少し目を見開きながら、身を引いた。

「うぬのようなザコに語る言葉はない!我は光と闇の審判なり、ひれ伏せぇっ!」
「困った男だ。まともに会話も出来んとはな」
「消え失せろ、うじどもが」

ブレインは笑みを浮かべ、そう言った瞬間―――――――――




『!』




バッと、ジュラが右手人差し指と中指をブレインに向けた。
その瞬間、ジュラの魔法によって周囲の岩と地面がブレインに襲い掛かる。
ブレインは吹き飛ばされ、近くの壁へと激突した。

『・・・』

一瞬の出来事にナツ、ルーシィ、グレイ、ルー、アルカ、ココロはあんぐりと口を開けて呆然とし、目を見開いて驚愕する。
ティアはカタカタと震え、その震えを抑えるように強く身を抱いた。

「・・・な・・・何だ、この魔力は・・・」

一瞬にして壁へと叩きつけられたブレインの声が震える。

「立て。化猫の宿(ケット・シェルター)を狙う理由を吐くまでは寝かさんぞ」

額に血管を浮かべ、怒りを露わにするジュラ。

「も・・・もしかして、このオッサン・・・」
「めちゃくちゃ強い・・・!?」
「オイオイ・・・マジかよ!?」
「ほぇー・・・」

六魔将軍(オラシオンセイス)の司令塔を一瞬で壁へと叩きつけたジュラ。
それを見たグレイとルーシィは目を見開いて呟き、アルカは目を見開いて驚愕し、ルーはただ呆然と声を上げた。 
 

 
後書き
こんにちは、緋色の空です。
ナツとティアが集ったー!ナツ酔ってるけどーっ!
いやー・・・ここはティアが殺気放出でブレイン倒す、ってのもいいかな?と思ったんですけど、マンガ読んでやっぱりジュラさんだな、と。
聖十カッケー!って感じですね。

感想・批評、お待ちしてます。
最近「ログ・ホライズン」にハマりかけです(何の情報だ)。 
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