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八条学園怪異譚

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第五十七話 成長その十四

「現実でもネットでも品性が変わらないのよ」
「絶対によね」
「そう、だからね」
「ネットでもそうした人間にならない様によね」
「注意してね」
 こう釘を刺すのだった。
「愛実ちゃんも聖花ちゃんもね」
「そうですよね、ネットでも下品になったら」
「やっぱり駄目ですよね」
「私も気をつけてるし」
 他ならぬ愛子自身もだというのだ。
「そうならない様にね。後はね」
「後は?」
「後はっていいますと」
「ネットでもいい人がいるから」
 下品な書き込みをする輩とは正反対にだというのだ。
「普通にね」
「現実世界と同じ様に品性のある人がよね」
「ちゃんといますよね」
「そう、2ちゃんねるにしてもね」
 ネットと言えば、と言ってもいい掲示板群だ。悪名も高いことで知られている。
「いいスレと悪いスレがあるから」
「そうそう、いいスレがあるけれど」
「悪いスレもあって」
「いいスレにはいい人が集まってね」
「悪いスレには悪い人が集まる」
「そういうことなんですね」
「そうよ、汚物には蠅が集まtgてね」
 そしてだというのだ。
「花には蝶が寄るでしょ」
「人も同じなのね」
「それぞれに相応しい場所に寄って集まるんですね」
「差別主義者は差別的なスレに集まるものよ」
 2ちゃんねるはとかく差別的なスレ、差別主義的な書き込みが目立つがそうした輩も集まるのだ、そうしたスレに。
「そうしたスレには行かないの」
「自分達も引き込まれるから」
「だからですね」
「そう、そうしたスレを見ているとね」
 するとだというのだ。
「相手も見ているのよ」
「ニーチェですね」
 愛子の今の言葉にすぐに反応したのは聖花の方だった、やはりこうした知識については彼女の方が秀でている。
「そうですよね」
「そう、深淵を覗いているとね」
 愛子もまたこう返す、ニーチェの言葉を正式に述べて。
「その深淵もこっちを見ているのよ」
「そしてですね」
「引き込まれるからね」
 だからだというのだ。
「そうした場所はあまり深く覗かないに限るわ」
「そうですね、それじゃあ」
「覗かない様にするわね」
 聖花に続いて愛実も言って来た。
「さもないと私達も」
「差別主義者になるから」
「そうした人は反面教師にすべきであってね」
「染まるべきじゃないですね」
「同類になったらいけないですね」
「そういうことよ、それじゃあね」
 こう話してだ、そのうえで。
 愛子はまた饅頭を手に取った、そのうえでその饅頭を食べて二人に笑顔で言った。
「やっぱりお饅頭とね」
「お茶よね」
「この組み合わせですね」
「これがいいのよね」 
 まんじゅうの次はお茶も飲んで言うのだった。
「掛け替えがないわね」
「そうよね、それでちよっとお話変えるけれど」
 愛実もまた姉の様に饅頭とお茶を楽しみながら姉に言ってきた。 
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