MS Operative Theory
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MS戦術解説
白兵戦①
——旧世紀とは異なる定義を持つ、宇宙世紀の「白兵戦」——
旧世紀における白兵戦とは、刀槍など—————こうした兵器は「白兵」と呼ばれる—————を用いた接近戦闘を意味した。対して、鉄砲などの火器のことを「火兵」といい、火兵による射撃戦を主体とする考え方を「火兵主義」と呼んでいた。
このように本来は、接近戦を行う白兵と遠距離専用の火兵は相対する概念であった。しかし、宇宙世紀に入ると白兵の中に火兵の概念が取り込まれ、そして、一年戦争期には「遠距離で、刀槍類や銃器を使用して行う戦闘全般」を白兵戦と呼ぶようになった。
つまり使用する兵器の種類ではなく、交戦距離が重要な要素となったのだ。どの程度の距離での戦闘を白兵戦と呼ぶかは明確な定義が無い—————軍や兵器によって異なる—————が、人間の場合300mがその上限と思おわれる。
また、MSの出現も白兵戦の定義が変わった理由の一つである。MSの兵器の種別として「白兵戦用」という言葉がよく用いられる。
近代的な兵士と異なり(人間の用いる「白兵」用の武器は、塹壕掘り用、さらには銃剣としても使用された携帯用スコップ程度で、刀剣や槍などは旧世紀後期には大半の軍隊から消滅した)、MSはビーム・サーベルやヒート・ホークなどの大型「刀槍類」を標準的に装備しているが、旧来の意味の白兵戦ばかりではなく、ビーム・ライフルやメガ粒子砲などを用いた砲撃を行うこともよく知られている。
つまり、MSにおける「白兵戦」の定義も人間のそれと同じように、ショートレンジでの戦闘を意味する「宇宙世紀の白兵戦」なのである。
近距離での戦闘が「白兵戦」と呼ばれるようになった経緯ははっきりしないが、長大な射程を誇るレーダー同調式の艦砲射撃やミサイルと比較して、MSの交戦距離はあまりにも短く、対艦攻撃時にはゼロ距離射撃も短くなかったことから、比喩として「白兵戦」という言葉が選ばれたことからも考えられる。
さて、肝心の人間同士の「白兵戦」だが、こちらも銃剣突撃や格闘戦に発展することは少なく、小銃や拳銃、手榴弾などを用いた銃撃戦が行われることが普通である。また、機動性の向上やく宇宙・高高度の目標に接近するために、ランドムーバーやパーソナル・ジェットを装備することも珍しくない。
しかし、ランドムーバーの様な機動ユニットやボディ・アーマーを使用したとしても、人間の「脆弱さ」を補うには限界があるため、どうしても白兵戦はリスクが大きくなってしまう(無数に飛び交う小銃弾や砲弾片は、人間を一撃で絶命させる威力があるため、白兵戦を戦い抜くには並はずれた技術と胆力、そして運が必要となる)。
このため白兵戦を行うのは、生身での侵入が必要な特殊任務用や、緊急時における人対人の白兵戦は、極めて例外的な最後の手段なのである。
補足事項
——宇宙世紀100年までに行われた主な白兵戦——
■サイド6・U.N.メディカル・センター—————サイクロプス隊VS連邦軍警備部隊
公国軍特殊部隊「サイクロプス隊」が、連邦軍機密兵器の鹵獲、もしくは破壊のため、サイド6のリボー・コロニーに潜入。
隊員たちは連邦兵に変装し、機密兵器が隠されているU.N.メディカル・センターへの潜入に成功するが、小隊が露見したため連邦軍の警備部隊と交戦状態になった。銃撃戦の結果センターに潜入していた隊員3名のうち二人が死亡した。
■宇宙要塞ア・バオア・クー—————アムロとシャア、初の白兵戦
一年戦争の最終戦となったア・バオア・クー攻防戦に置いて、自らの乗機を失ったシャア・アズナブル大佐は要塞内にアムロ・レイ少尉をおびき寄せ、フェンシングによる一騎打ちを行った。
ニュータイプといえど肉体を使った戦いには訓練が必要だとシャアは考えていたが、アムロの捨て身の攻撃により両者は負傷。一年戦争中にアムロとシャアの決着がつくことはなかった。
■宇宙要塞ア・バオア・クー—————スペース・ポート内での第13独立部隊の防戦
ア・バオア・クー攻防戦において、WBはポート内で座礁し離脱不能となった。そこにポート周辺に配置されていた要塞防衛隊(MS含む)が殺到した。
そのため、MS部隊による迎撃だけでなく、クルーも白兵戦を行わざるを得なかった。WBの全MSが失われる壮絶な戦闘となったが、クルーは公国軍防衛隊の撤退まで戦い抜き、直後に内火艇でア・バオア・クーを脱出した。
■月面都市グラナダ—————巡洋艦を巡るエゥーゴとティターンズの戦闘
巡洋艦を失ったエゥーゴは、月面都市グラナダに入港していた連邦軍の巡洋艦を掌握する作戦を実行した。
この作戦にはグラナダ近郊のアンマン市からMS部隊が投入されたほか、グラナダのエゥーゴ陸戦隊が参加しており、ティターンズ陸戦隊や連邦軍将兵との間で白兵戦が行われた。陸戦隊はサブ・マシンガンやライフルのほか、専用のスーツやヘルメットを装備していた。
■アクシズ旗艦グワダン内—————グワダン艦内での銃撃戦
アクシズとの協力態勢を確立するため、アクシズの旗艦グワダンへと交渉に向かったエゥーゴ使節団だったが、交渉は決裂し、使節団は拘束されてしまった。
高速を逃れた使節団は装備を奪い後退したが、脱出直後にドック内で火災に愛身動きが取れなくなった。そこにハマーンを追って別行動を取っていたシャアが合流したことで、使節団はグワダンを脱出した。
■小惑星アクシズ—————アムロとシャア、13年振りの白兵戦対決
一年戦争時、ア・バオア・クーで一騎打ちを演じたアムロとシャア。彼らは13年の時を経て、アクシズ内で2度目の対決を行った。
これは一年戦争時の様な格闘戦ではなく、お互いに直接対峙しないトラップの仕掛け合いであった(グレネード・ランチャーやロケット・ランチャーを使用)。この戦いでは両者共に致命傷を負わなかったため、MS戦に移行した。
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