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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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七章
  お出迎え×鬼の出現ポイント

「お姉様!」

「お姉ちゃーん!」

「うむ。二人とも出迎え苦労」

ほう、背の高い方が浅井氏で小さな方が久遠の妹か。目の色で分かるけど。

「こちらがお兄様ですよね!」

「うわー!お姉ちゃんの手紙に書かれてた通りの人だ!すごーい!」

「久遠、何書いたんだよ?」

「見た感じからして、天人だと書いておいたが」

まあ、見た目というより服装か。服の素材も違うからな、見た目で違うと言うけど。

「久しいな、市。元気にしていたか?」

「うん♪お姉ちゃんも元気そうで何よりだよ!」

「うむ。お陰様でな」

「お頭ぁーーーーー!」

「いらっしゃいませー!」

「おう!二人とも先触れご苦労さん」

何かいつもよりご機嫌だからどうした?と聞くと、市と話ができて嬉しいのだと。あと闘具も渡せたかと聞くと渡せて気に入った様子であったと言っていた。家族水入らずだと思った俺は、久遠と離れていた。

「一真!こちらに来てくれ。正式に紹介しよう」

姉妹の話が終わったようなので行ってみた。

「織斑一真。我の愛妾だ。正室と言うより本妻は別にいるという事でな。二人とも見知っておけ」

「久遠から紹介されたけど、織斑一真だ。よろしく頼む」

「うん!市は市だよ!お姉ちゃんの妹で浅井家当主、長政様の奥さんなの!」

「あ、僕がその・・・・長政です。兄様、よろしくお願いします・・・・」

「はいまこっちゃん、もっと元気出してー!大きな声で挨拶だよー!」

「ぼ、僕、長政って言います。!通称は眞琴!兄様、どうぞよろしくお願いします!」

テイク2だったけど、さっきよりかはマシだった。でも、少し大声出し過ぎなのでは?と思ってしまった。これが通信機の時だったら絶対注意する。立ち話も何だからと、眞琴が部屋に案内してくれるようだった。

「それでは僕がお部屋にご案内します。・・・・ようこそ、浅井家が誇る堅城、小谷城へ」

こいつが、浅井長政。通称は眞琴。そう名乗る少女に導かれて、俺たちは小谷城へと招き入れられた。

「それでは宴の準備が整うまでは、僕がお相手をさせて頂きますね」

「うむ。苦労を掛ける」

眞琴の先導で部屋に案内された俺達は、思い思いの場所に腰を降ろした。

「それにしても此度の来訪、お姉様にしては珍しいご同行者ですね」

「奇縁があってな。・・・・皆を紹介しよう」

「お初にお目に掛かります。私はルイス・エーリカ・フロイス。とある目的のため、この日の本にまかり越しました」

「わっ!?・・・・い、異人さんの割には言葉がお上手なんですね~」

「エーリカさんのお母様は、美濃土岐氏が末流、明智庄の住人・明智家の娘なのだそうです」

「ほお。明智の。・・・・先代の光安様は、武略に優れ、お人柄も良く、領民に慕われていたとか。その明智の流れを汲む方なのですね」

「はっ。日の本の名は明智十兵衛と申します。浅井様、以後、お見知りおき下さいませ」

エーリカは頭を下げながら言った。眞琴も、通称で呼んでいいとの事。次は詩乃の自己紹介か。

「我が名は竹中半兵衛重治と申します」

「竹中と言うと・・・・ああ、あなたが稲葉山城乗っ取りで有名な竹中殿何ですね!」

「どの程度有名なのかは分かりませんが、その竹中と思って頂ければ。今は織田家中にて、一真様に忠誠を尽くす身。・・・・以後、お見知りおきを」

「うん、こちらこそ。・・・・で、兄様があの噂の方、なのですね。うわー、感動だなぁ!」

「どういう噂を流れてるかは知らないけれど、名は織斑一真。久遠に拾ってもらって、今は恋人って事になっている。愛妾の方が分かりやすいか。まあよろしく」

と言って、どう呼んだらいい?と聞くと兄様ですから呼び捨てで良いとの事。で、あとはひよところの事になった後、何やら考え事をし始めた。どうやら、なぜ久遠がここに来た意味を考えてたようだ。久遠は意味のない事をされないらしく、今回の来訪はどういう意味があるのかと。

「そういえば、エーリカ殿とは一体、どこでお知り合いになったのです?」

「ああ、それは俺が答えよう。エーリカとは堺で会った。南蛮商人と繋ぎを持ちたかった久遠達と共に教会へ行ったら、そこにエーリカがいた。エーリカに商人を紹介してもらう代わりに、俺達はエーリカを公方に会わせるという取引をした。それから行動を共にしている」

「え!?公方様に会ったんですか!・・・・それはまた・・・・その・・・・ええと・・・・良いなぁ」

「??貴様も行けば良いではないか。小谷からなら京は近い。いつでも行けるだろう?」

「うーん、今の状況だとなかなかそうも行かなくて」

久遠は六角氏が五月蠅いのかと聞くが、別の理由だった。最近領内で、不穏な空気があるのだと。

「不穏とは、もしかして鬼か?」

「はい。兄様のその通りなのですが、賤ヶ岳付近なんですけど、ここ最近、民に被害が出ていまして。・・・・尾張や美濃には、鬼が現れてないのですか?」

賤ヶ岳・・・・近江国伊香郡にある琵琶湖と余呉湖を隔てる山の事。

「時折、夜に姿を現すという報告は受けている。その都度壬月や麦穂、一真にも出張って成敗しているのだが・・・・どういう訳か、死体が残らんのでな。検分もできんのだ」

「なるほど。我らの領内も全く同じですね。夜、農民達を襲い、人肉を喰らう、そして何処かへ消えていく。うちでも、赤尾や磯野の二人が領内を警備中に、何匹か成敗したのですが、一向に減る様子がないんです」

「ふむ?尾張では一度成敗した後、一月ほど出なくなると聞くが・・・・」

「そうなんですか?うーん・・・・じゃあ、江北に湧いてる奴らは何なんだろう?」

俺は質問をしてみた。鬼が良く出現する場所はどこなんだ?ここ最近は北と南だそうだ。北は賤ヶ岳付近、南は佐和山辺りに頻繁に出現している。たぶん観音寺辺りから来ているのかと。

佐和山・・・・近江国坂田郡にある佐和山に存在した山城の事。またはその周囲の地域を指す。

「当たりだな。もしかしたら京方面から流れてきている可能性がある」

「どういう事です?」

「・・・・眞琴。小谷近辺に鬼は出るのか?」

「出現頻度はそれほどでもありませんが、時々、出てきますね。最近は群れとなって出現する事も多くて、正直、対処に困ってるんです」

群れか。すると尾張で出てきたのは単独で行動する事が多い。最近では、群れで来る時があると、トレミーからの報告にあったな。群れを形成したという事は、知恵を付けて来たという事か。厄介だな。 
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