久遠の神話
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八十九話 六人目への介入その七
「その時はね」
「戦われる、ですね」
「お姉様らしく」
「その時は槍を持ち鎧と兜を身に着け」
そしてだった。
「盾を持つわ」
「エイギスの盾をですね」
「あの盾を」
あらゆるものを防ぐ女神の盾だ、二人も智子を象徴すると言っていいその盾のことはよく知っている。だからこそここで応えられたのだ。
「それをですね」
「出されるからですね」
「今もね。若し姉様が実力を使われるなら」
その時はというのだ。
「私もね」
「戦われますか」
「セレネー姉様と」
二人は智子の覚悟を確かに聞いた、するとだった。
その聡美と豊香もだ、こう言った。
「なら私達もです」
「その時は」
「武器を手にします」
「そして戦います」
セレネーとだ、そうするというのだ。
「そうしますので」
「三人で戦いましょう」
「有り難う、それならね」
智子は二人のその心を受けた、そしてこう言った。
「私達三人でね」
「戦いましょう、セレネー姉様と」
「そうしてでもお止めしましょう」
「戦いは避けられるのなら避けなければならないけれど」
ここでも己の考えを言う智子だった、戦いの女神であってもあくまで無駄な血は避けようとする彼女らしく。
「それでもね」
「そうしなければならない時は」
「断固として」
「戦うわ」
ここでも断固とした口調だった。
「そうするわ」
「そうですね、では」
「私達もそうさせてもらいます」
「三人いれば勝てるわ」
智子はこの予測は冷静な戦力分析から述べたのだった。
「確かにセレネー姉様は強いわ」
「そうですね、確かに」
聡美もセレネーの強さはよく知っている、だからこそ智子にも言葉を返したのだ。
「私よりも遥かに」
「そして私よりもね」
アテナである智子もこう言う。
「そしてね」
「はい、私よりも」
豊香もだった。智子の言葉に真剣な面持ちで頷いて返した。
「冥界の王妃でもある私よりも」
「あの方は強いわ」
「元々私は月の女神ではありませんでした」
聡美はここで言った。
「本来は」
「そうだったわね、貴女は」
「狩猟、産出の女神でしたが」
「月はね」
「お兄様もそうでしたが」
彼女の双子の兄であるアポロンの名前も出す、彼女とアポロンはオリンポスの神々の中でもとりわけ強い絆で結ばれているのだ。
「あの方が月を司っておられました」
「そうでしたね」
「はい、しかし」
それでだというのだった、智子に。
「あの方が譲って頂きました」
「月の女神の座もね」
「ですが私は全てを受けず」
「共に月の女神になったわね」
「お兄様もそうでした」
アポロンもまた太陽の神だ、しかし彼だけが太陽の神ではなくヘリオスというティターン神に属する、セレネーと同じ種族の神と共に太陽神の座にあるのだ。
だからだ、聡美もこう言うのだ。
ページ上へ戻る