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オズの五人の子供達

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第四幕その四

「価値があるものはね」
「そういう世界なんですね」
「うん、わかったよね」
「わかりました、そうですか」
 カルロスも他の皆も頷きました、持って行けないというのなら仕方のないことでした。
 それでそのことも頭に入れてそのうえで花園を越えました、するともうそこには様々な果物の木がありました。
 パンの木もあります、恵梨香はそのパンの木を見て言いました。
「ううん、本当にね」
「御飯を食べたいんだよね、恵梨香ちゃんは」
「特にお握りを」
「私はどうしてもね」
 お握りだとです、恵梨香は自分に言ってきたジョージと神宝に答えます。
「そっちなのよ」
「日本人はパンよりもお握りだよね」
「そっちの方が好きだね」
「殆どの人がそうなのよ」
 お握りが好きだというのです、パンよりも。
「パンも嫌いじゃないけれど」
「お握りなんだね」
「御飯を握ったものがなんだ」
「どうも日本人だけらしいけれどね」
「僕それがわからないんだよね」
 カルロスもこう言ってきました。
「日本人があれだけお握りを好きな理由がね」
「何か自然と食べたくなるものなのよ」
「パンみたいに?僕達にとっての」
「そうなの。けれど御飯なら皆食べると思うけれど」
「中国じゃ冷えた御飯は食べないjからね」
 神宝はこう答えました。
「だから御飯は食べても絶対に温かいものなんだ」
「お握りは冷えてるから」
「そう、食べないんだ」
 このことは前にお話した通りです。
「僕もお父さんとお母さんに言われてきたよ」
「冷えた御飯は食べるなって」
「そうなんだ」
「僕も御飯は好きだけれど」
 アメリカ人のジョージも言います、もうその手にはパンをどんどん手に取ってみんなにも手渡していっています。
「海草、海苔は駄目だから」
「皆食べないのよね、本当に」
 恵梨香はこのことがどうしてもわかりません、それで首を傾げさせます。そう応えながらジョージからパンを受け取ってお礼を言います。
「ナターシャちゃんも」
「ロシアでは御飯自体殆ど食べないから」
 だからだというのです、ナターシャは無花果の実を取っています。
「それでなのよ」
「ブラジルも御飯も食べるけれど」
「お握りにはしないわよね」
「うん、そうしないからね」
 ブラジルもだというのです。
「けれどエメラルドの都に着いたらね」
「ええ、自分で作ってね」
 そうしてだとです、恵梨香はその目を強くさせて言いました。
「食べます」
「そうするんですね」
「うん、そうするの」
 こう言ってなのでした。恵梨香はパンを食べます。そうして。
 果物を食べて泉から出ているジューースも飲んででした。お昼を食べて。
 それからでした、もう一度黄色い道に入って歩きはじめます。
 皆が見ている都はどんどん大きくなってです、遂に。
 それまで青かった世界が一変しました、青い草原が線もなく緑の草原になっていてです。
 そこにある草木も花々も緑になりました、まさに全く別の色に一変しました。ナターシャはその青から緑の世界に入り言いました。 
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