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不老不死の暴君

作者:kuraisu
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第三十二話 ヘネ魔石鉱

バンクール地方オズモーネ平原南東にて。
全員が驚きの表情を浮かべた。
ヘネ魔石鉱の入り口にたくさんの帝国兵が倒れていたのだ。
そして研究者のような装いをしたものたちも倒れている。

「ドラクロアの研究員です。どうしてこんな場所に・・・」
「どうせろくでもない研究さ」

ラーサーの疑問にバルフレアはそんな言葉を返した。

「なんか面倒なことがおきてるみたいだな」
「それってまずいよな?」
「まぁな。が、悪い事だけじゃねぇさ」
「なんかいいことあるのか?」
「例えば見張りの帝国兵が気絶してるんだから堂々と魔石鉱に入れるぞ」

セアの言葉を聞いて全員が魔石鉱の穴へと入っていった。



ヘネ魔石鉱に入ると所々で帝国兵が気絶していた。
進んでいくと通路で扉が閉まっていた。
説明書を読む限り隣のボタンを押すと開くらしい。

「なに・・をし・って・・いる・そこを・あげ・・だら・・・デ・・リー・げ!」

重症で横になっている帝国兵がそう言った。
だが意味が分からなかったのでヴァンがボタンを押した・・・
因みに帝国兵の怪我で内容が分かりにくい言葉を補完すると次の通りである。
「なにをしてる!そこを開けたらゼリーがっ!!」
つまり不用意に扉を開けてしまったため液状の魔物ゼリーの大群が溢れてきたわけである。
ゼリーの大群はヴァンに忠告した帝国兵に留めを刺すとヴァン達に襲い掛かってきた。

「俺のせいじゃないぞ!!」

ヴァンはゼリーの一体に向けて剣を振りながらそう叫んでいた。
文句を言いながらもゼリーに遅れをとっていないあたりセアの特訓の凄さを物語っている。
バッシュはゼリーの大群に全く動じずゼリー片っ端から切り飛ばしていく。
バルフレアとフランも空賊だからこのようなことは慣れっこみたいで冷静に対処していた。
アーシェやパンネロは他の4人に比べるとややぎこちないもののちゃんと戦えていた。
セアも近くにいたゼリーを剣で真っ二つに切った。
が、開いた扉から次々とゼリーが溢れてきてきりがない。
ゼリーに限らずスライム系の魔物は増えやすいことで有名なのである。
何故ならスライム系の魔物は自分の命が尽きかけると分裂していくのである。
因みにこの特性を利用して頭部からカラメルがとれるスライム系の魔物プリンを痛めつけ、大量のプリンを養殖されている。
更にそのカラメルを使った魔物プリンを模したデザート【プリン】がイヴァリース中で大流行している。
ゼリーのあまりの多さにイラッとしたセアは{ファイガ}の詠唱をし、ヴァンの方に向けて放った。
ヴァンは{ファイガ}を紙一重で避け、{ファイガ}はゼリーの大群へと襲い掛かった。
ゼリーは火に弱いためあっという間に全滅した。

「危ないじゃないかセア!」
「ちゃんと避けられるように加減したから別にいいだろ?」
「だからってもっと余裕を・・・」
「まぁ今回は無事だったんだからいいじゃないか!」

ヴァンの文句をセアは華麗にあしらっていた。
暫くヴァンは機嫌を悪かったが今度【プリン】を奢ってやるとセアに言われヴァンは機嫌がよくなった。


かなり進んでと魔石鉱の奥の採掘部についた。
あちこちに魔石が埋まっている。
そしてルース魔石鉱と同じように埋まっている魔石が光を放ち、なんだか神秘的である。

「ここの魔石、ルース魔石鉱のものとよく似ています。ドラクロアは新たな魔石鉱を探しているんでしょうね。解放軍が動けばビュエルバ産の上質な魔石を輸入できなくなりますから」
「確かにな・・・。それでビュエルバが駄目なら植民地からってか?」
「そういうことになりますね」
「まぁ、俺がこの光を見て思い出すのはお前が緑のバンガに人造破魔石を投げて走って逃げたことだな」
「セアさん・・・」
「もうそのことはラーサーが謝ったじゃないかセア」
「あのな馬鹿弟子・・・・・・俺はなラーサーをからかって楽しんでるだけなんだよ」
「ひでぇ!」
「「酷いですよ。セアさん!!!」」
「あーーなんだ、そのー、とりあえず三人とも落ち着け」

ヴァン・パンネロ・ラーサー相手に反論できずにセアは最終的に土下座した。
その光景を見ていたバルフレアは

「ガキの相手は大変だな」

と小さく呟いていた。
ふと横をみると相棒の様子がおかしい。

「どうした?」
「あの子なの? でも、このミストは・・・」

フランはなにか認めたくないという風にしていたが、【あの子】がフランの視界に入った。
そしてフランは【あの子】の名前を叫んだ。

「ミュリン!」

フランの目線の先には一人のヴィエラがいた。
足取りがおかしく、目の焦点があっていない。

人間(ヒュム)のにおい。力のにおい」

そんなことを呟きながらミュリンは歩いていた。

「どうしたの?」

アーシェはフランに聞いた。
だがフランから返事は無く、代わりにミュリンがアーシェを睨みつけ、指をさし・・・

「寄るな!力に飢えた人間(ヒュム)が!」

そう叫ぶとミュリンはフラフラに走りながら魔石鉱の奥へと入っていった。 
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