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朝顔だけれど

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第八章

「咲いている方が楽よ」
「しぼむよりも」
「こっちだって朝顔はね」
 見ている方もだというのだ、周りも。
「咲いているのを見たいでしょ」
「朝顔もしぼんでいたら」
「そう、だからね」
「しぼんでいる朝顔は」
「見ていて残念に思うから」
 それでだというのだ。
「明るくいてね」
「ええ、それじゃあ」
「そういうことでね。じゃあ今日はね」
「ええ、明るくなったわ」
「明日もそうしていてね」
「お母さんと仲直りしてくるわ」
 沙緒里は前向きな顔と声で真琴に答えた。、
「そうしてくるから」
「それがいいわ」
 真琴もこう返す、そしてだった。
 沙緒里は次の日明るい顔で登校してきた、そのうえで皆にこう言うのだった。
「皆昨日は御免ね」
「暗かったからよね」
「それでよね」
「うん、いつものことだけれど」
 それでもだというのだ。
「暗くなってね、ちょっとしたことで」
「けれど急に明るくなったわね」
「何日か引きずることもあるのに」
「一日で復活したけれど」
「どうしてなの?」
「真琴ちゃんのお陰なの」
 沙緒里はここで今皆の中にいる真琴を見て笑顔で言った。
「それでなのよ」
「真琴ちゃんのお陰?」
「そうなの?」
「そうなの」
 やはり真琴を見つつ笑顔で言う。
「真琴ちゃんがお料理に誘ってくれてね」
「昨日真琴ちゃんそんなこと私達と話してたけれど」
「それでなの」
「そうなの、よかったわ」
 満面の笑顔で言う沙緒里だった。
「また暗くなった時の解決方法も教えてもらったから」
「よかったわ」
 真琴も笑顔でこう言うのだった。
「沙緒里ちゃんが戻ってくれて」
「うん、有り難う」
「これからはね」
「うん、そうよね」
「何かあって暗くなってもね」
 沙緒里はとにかくすぐにそうなる、だがそれでもだというのだ。
「その時でもね」
「うん、お料理をしたりお裁縫をしたりしてね」
 気分転換をして、熱中をして心を切り替えてだというのだ。
「明るくなるから」
「そういえば沙緒里ちゃん暗くなったらすぐに部活休むけれど」
「それもなの」
「これからは出るわ」
 そうなってしまった時もだというのだ。
「部活の先輩も皆もいい人達ばかりだから」
「そうした方がいいわね」
「それで明るさを取り戻せるならね」
「人間暗くなったままじゃ駄目よね」
 沙緒里はここでこうも言った。
「明るくないと」
「いつも明るいままなんて無理だけれど」
 真琴が笑顔のまま再び言う
「その都度明るくなればね」
「いいのね」
「そうしていこうね」
「うん、これからはね」
 今は明るい笑顔で言える沙緒里だった、そうして。
 この日は明るく過ごすことが出来た、何かあっても明るさを取り戻せる方法を見付けて遥かに前向きになれたのだった。


朝顔だけれど   完


                2013・10・27 
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