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朝顔だけれど

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第六章

「動くのよ」
「お料理になったら」
「そうなの、どうやらね」
「ふうん、そうなのね」
「不思議よね、これって」
「多分それってね」
 真琴は真琴で玉葱を切っている、そうしつつ沙緒里に言う。
「好きだからよ」
「それでなの」
「そう、それにね」
 それに加えてだというのだ。
「多分それお裁縫の時もね」
「あの時もなのね」
「沙緒里ちゃんって熱中するタイプみたいね」
 真琴もこのことに気付いた、沙緒里とは長い付き合いだが今気付いたことだった。
「どうやらね」
「そうかしら」
「ええ、そう思うわ」
 こう言うのだ、スーパーに行くまでは至って暗かった沙緒里を見て。
「いいことだと思うわ」
「そうなの」
「とにかくね」
 また言う真琴だった。
「晩御飯作っていきましょう」
「ええ、このままね」
 こうして二人で料理をしていった、そして。
 沙緒里は真琴の家族と共に晩御飯を食べた、その後でだった。
 食後のお茶の時間にだ、真琴は沙緒里と紅茶を飲みつつデザートのクッキーを食べつつこのことを言った。
「ねえ、沙緒里ちゃん今日学校にいる間は」
「暗かったっていうのね」
「何があったの?」
 問うのはこのことについてだった。
「それで」
「実は」
 沙緒里は俯いて真琴に答えた、落ち込んでいる理由に対して。
「朝お母さんと喧嘩したの」
「それでなの」
「そうなの。朝ちょっとしたことで」
 そのちょっとしたことがどういったことかまでは話さない、しかし自分の母親と喧嘩をしてそのせいでだったというのだ。
「それでだったの」
「そうだったのね」
「うん、今日は落ち込んでいたの」
「沙緒里ちゃんにはよくあることね」
「私すぐに落ち込むから」
 自分でもわかっているのだ、そうした性格であることは。
「だから」
「そうなのね」
「けれど今は」
「明るくなったでしょ」
「不思議と」
「誰だって落ち込むのよ」
 真琴は沙緒里と共に紅茶を飲みつつ笑顔で彼女に話す。
「私だってね」
「真琴ちゃんもなの?」
「だから人間だから」
 感情がある人間だからだというのだ。
「私も落ち込むわよ」
「そうなのね」
「そうよ。けれどね」
 落ち込むことは確かだ、しかしそれでもだというのだ。
「気持ちの切り替えは出来るから」
「今みたいに」
「今沙緒里ちゃん明るいじゃない」
 普通の状態である彼女の様にだというのだ。 
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