久遠の神話
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第八十七話 スフィンクスの問い掛けその十
「その姿は巨大なものです」
「つまりその直系であるゼウス神も」
「そうです、巨人神の子ですから」
しかも母もティターン神族だ、それではだ。
「巨人になります」
「そうですよね、ゼウス神は」
「実は私達の身体は本来は人間よりも遥かに巨大なのです」
聡美も二人にこのことについて話した。
「このことは北欧の神々も同じですが」
「あっ、そういえば」
ここで上城も気付いた、神々の身体について。
「オーディンも巨人から生まれているしトールやロキは巨人の血を引いていて」
「そもそも神々と巨人は親戚の様なものですね」
「北欧神話では」
「そうです、ギリシアでも北欧でも」
そのどちらの神話でもだというのだ。
「神々は巨人でもあるのです」
「そうなりますよね」
このことは中国やインドでもだ、神話をよく読んでいけば神々の身体は実は巨人のものと変わらないことがわかる。
「仏様もそうですし」
「本来は。ですから」
「その身体の強さもですか」
「巨人の強さです」
身体の強さだけで世界を支配しかねない彼等のだというのだ。
「だからこそティターン神族、ギガンテス達とも戦えたのです」
「元々の大きさがそうであるから」
「はい、しかし」
それでもだとだ、聡美はあらためて言った。
「今は違います」
「僕達と同じ大きさですね」
「背は高いですけれど」
「神々は身体の大きさも自由に変えられます」
ここでこのことが話された。
「姿形も変えられますし」
「ゼウス神なんかよく変身してますしね」
樹里は今度はこのことを思い出した。
「そういえば」
「ゼウス神様はよくそうされます」
その力で美女に近付く、牡牛座然り。
「他の神々も。そして私達も」
「だからですか」
「この大きさがあらゆることに丁度いいこともわかりました」
「人間の大きさがですか」
「そうです、それで基本としてこの大きさに決めたのです」
人間の大きさにだというのだ。
「私達も北欧の神々も」
「そうだったんですか」
「それでその大きさになったんですね」
「しかしその強さは巨人のままです」
身体の強さは変わらないというのだ、大きさを変えても。
「ですから私達はアンブロジアもネクタルも口に出来るのです」
「巨人には劇薬は効かないんですね」
「だからなんですね」
「そうです、鼠一匹に対する毒は人間には意味がありません」
聡美はこうした例えも話に出した。
「それと同じです」
「ううん、じゃあ僕の髪の毛は」
「私の髪の毛も」
「人間の力で」
聡美は二人に申し訳なさそうに答えた。
「そうして下さい」
「そうですか、それじゃあ」
「私達でしてみます」
「よく育毛剤や民間療法、植毛の技術がありますので」
そうしたものがあるからだというのだ。
「そちらを試されて下さい」
「蜜柑の皮がいいかな」
「そうよね」
二人は聡美の言葉を受けて二人で顔を見合わせて話した。
「それじゃあね」
「試しにね」
こう話すのだった、そしてだった。
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