このクラスに《比企谷八幡》は居ない。
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だから『鐡彩夏』は走り出す。
俺は教室に戻り、席についた。
「俺と一緒にいるとぼっちになるぞ?」
「でも私がいるから二人ぼっちでしょ?」
「opか。」
俺はそんなことを言いながら足を組んだ。
その時、教室の外から手を振る女の子が見えた。俺の好みだわ。え?聞いてない?ごめんね。
「あ、鐡くんだ。」
「男!?」
どこで俺の青春ラブコメ間違った!?
「えーっと、初めまして。鐡彩夏です。」
「さ、彩夏・・・」
(おい、こいつ本当に男か!?)
(そうだよ?戸塚みたいだから友達になった。)
そんな理由で選ばれた鐡も可哀想だが。
「あ、えーっと、その、神崎奏です。」
俺は軽く頭を下げた。
「それで暦ちゃん、相談なんだけど・・・」
「うん。どうしたの?」
「二階堂先生を紹介してくれないかな?」
「なんで?」
俺はあの教師か、と頭をかく。
「あの人テニス部の顧問の先生だから。」
「マジか!」
俺は我ながら大声を上げた。
「う、うん・・だからテニス部の入部届け持ってかないと。」
(お前が指図したのか?)
(断じて私じゃない!)
「?」
「ま、まぁ放課後一緒に行こう。」
「うんっ!」
鐡彩夏は綺麗な笑顔を作った。
やべぇ惚れそう。男だけど。
「それじゃあね。」
「ああ。」
「じゃあね。」
俺は話を終えると席に座った。
「神崎君、次の授業調理実習だよ?」
「サボる。」
「なぜに!?」
「俺は誰かと組むのは嫌いなんだ。しかも複数となると他の人がめっちゃ話して俺は角に追いやられるからな。」
俺はふひと笑った。
「うわぁ・・・キモ」
「今、素でいったろ」
「そ、そんなことないよ?ヒッキーキモい!」
「そんなんなら俺んとこ居なければいいのに。」
あ、涙なんか出てないよ?マジで。
「むぅ・・・だって私の事を助けてくれたのは神崎君でしょ?」
いや、葉y・・箱根もいたろ。
「俺よりもっといいやつに会うよ。」
俺は手を振って屋上でサボろうとする。
「でも神崎君がいいの。」
雪姫は俺の腕を掴んで引っ張り、エプロンを持つ。
「ちょ、おい!」
「授業をサボるのを止めてまーす。」
「連行だろ!?これ!」
俺は雪姫の手を振り払えず連行された。
ーーーーーーー家庭科室。
「それじゃあ二人一組になれ。」
俺は誰にも気付かれないように雪姫とペアを組んだ。
「クッキー?由比ヶ浜結衣は下手だがスペックはいかにっ!」
「はぁ、クッキーくらい楽勝だよ・・」
「おお、任せる。」
「ダーメ。一緒にやろう。」
雪姫はヒラヒラの胸にリボンのついたエプロンをつけた。
八幡じゃないが制服エプロンはサイコーだ。
「お、おう。」
俺は妹に選んでもらったエプロンをつけ、作業に取りかかった。
ーーーーーー職員室。
「神崎。」
「ひゃい!」
「お前・・・なんでサボらなかった?」
「それおかしいでしょ!?」
お菓子だけに。
「顔がにやついてるぞ。」
「おっと」
俺は緩んだ顔を引き締める。
「それで、先生、俺は鐡をつれてきました!」
俺は敬礼をする。
「えーっと。鐡彩夏です。」
「彩夏っ!?」
先生は身を乗り出す。
「ひっ!」
鐡は俺に影に小動物のように隠れる。
「す、すまん。」
先生は萎縮して鐡の言葉を待つ。
「えーっと、テニス部に入部したいので受け取ってください。」
鐡はポケットから紙をだす。
「確かに受け取った。来週火曜からな。」
「はいっ!」
「そして神崎、お前は補修だ。」
「なんでですかっ!?」
俺たちが職員室をでると雪姫が待っていた。
「おう。」
「雪姫さん!」
「やっハロー。」
まの抜けたビッチな返事だな。
「雪姫帰るか?」
「うんっ、鍵忘れないでね。」
俺達が教室に戻り、鐡は。
「それじゃあ、神崎君、雪姫さん!」
バックを持って教室の前に立った。
「おう、また明日。」
「じゃあね♪」
そして、『鐡彩夏』は走り出す。
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