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【IS】例えばこんな生活は。

作者:海戦型
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例えばこんなオマケって
  パラレル外伝 例えばこんなISはISじゃなくてOFだろ

 
前書き
外伝を書きだすのは失踪の前触れだと思っている。
だが俺は大丈夫!俺は他の奴らとは違う!(フラグ) 

 
「むーん・・・」

長距離移動船舶の積み荷をチェックしていた俺は、その中に存在していたあからさまに気になるコンテナの前で唸っていた。そりゃもう露骨に気になるコンテナだったから気ににせずにはいられなかったのだ。コンテナを作った奴が「気にしろ!」って叫んでるレベル。のぞき穴だか監視カメラだか表面についているそのコンテナは異彩を放っている。
具体的にはコンテナの色が全部ピンク色。他が緑とか茶色とか青なのに、一つだけピンク色なのである。すでに荷物チェックを終えて暇とはいえ、どーしてもこのコンテナは気になるので、現在これのログを調べているのだ。


俺の名前は真田悟朗左衛門(さなだごろうざえもん)。略してゴエモンである。本当なら今頃高校に行く準備でもしているべき15歳という年齢で俺が何故船のコンテナチェックなどという仕事をやっているかというと、俺が中卒で既に運送会社に就職しているからである。普通なら中卒の採用などあり得ないのだが、この会社は俺の死んだ父親の親友が経営している会社だったため贔屓で入れてもらった。・・・何か悪いことしたみたいな気分になるね。

そう、親父が死んでるのである。3年前の話だ。一応親父の残した財産を切り崩してあと5,6年は大持つって分かったけど、その時母さんは子供を授かっててとてもじゃないけど働けなかった。よって俺はその頃から親父の会社で特別にバイトをやらせてもらい、先月晴れて正社員になったのだ。割とでかい会社なので給料は分相応。後は体調に気をつけてりゃ家庭は何とか支えられるってスンポーさ。

・・・俺の自由?母さんと弟ほっぽり出して得た自由なんて願い下げです。

うちの会社は基本的に海輸専門なので海外に足を運ぶ機会がやたら多いのだが、今回俺は超珍しくたった一人で海を渡って日本に戻っている。向こうでいろいろ手違いがあって、渡った数人がそれぞれ別々に動かざるを得なくなったのだ。ま、既に日本の排他的経済水域に入ってるし、許可証とかあるし、うちの社の船はほとんど全部自動操縦の優れものだから一人でも困らないんだよね。

「ぺぺぺぺぺっと。・・・IS用部品ねぇ?おっかしいなー・・・ワイハーならともかくミクロネシアにIS関連施設なんかあったかぁ?余所から経由してんの?・・・あ、スゲェ回数経由してる。変な航路ー」

経由ルートが意味不明過ぎる。調べてみたらエクアドルからメキシコへ、メキシコからパナマ運河を越えてモロッコへ、モロッコからエジプト、エジプトからスエズ運河を越えてベンガル湾辺りをたらいまわしのように右往左往した挙句一度日本に辿り着き、その後さらにインドネシア付近を右往左往・・・そして地上での運送ルートは意図的に消されている。今までよく海賊や現地民にパクられなかったな、というのが素直な感想だ。

壮大な金の無駄遣いであることは間違いない。マジでこれの輸送を頼んだ奴は何考えてんだろうか?
しかし、もし積み荷がヤバいものならもっとましなルートを通っているはずである。というかコレ計算すると最初の発注から1年以上経ってるんだが中身大丈夫なんだろうか?

そんでもって、ついでだからどんな会社が輸送を受け持ってたのかも・・・


  ―――おやすーみなーさーいー♪ 雲のー上にー乗りー♪


「!?」

咄嗟にチェック用のタブレットを床に取り落として周囲を見渡した。これは・・・歌?女の子の声だけど・・・そんな筈はない。この船に荷物を載せる際は虫だのネズミだのが紛れ込まないようにきっちり生体チェックなんかを行ってるし、外から乗り込んだら防犯システムが俺に知らせてくれる筈である。

頬を嫌な汗が伝う。幻聴にしては余りにもはっきりしすぎた歌声は―――どこから聞こえる?


  ―――おやすーみなーさーいー♪ 白ーいーはーねーでー♪


・・・?何だ、この歌。どっかで聞いたことが・・・―――



『おやすーみなーさぁいー♪ 雲のー上にー乗りー♪』
『ねぇ母さん。この歌って誰が作った歌なの?』
『これはね、ゴエモンちゃん。パパが作った歌なのよ?』



―――えっ?

俺はそれを認識した瞬間に全神経を集中させて音の発信源を探った。方角は・・・こっち音響からして位置は・・・位置は・・・

「ってお前かよピンクコンテナ!?」

目の前だった。



親父についてはそれほど多くの事を知っている訳ではない。音楽が好きな技術者だったという曖昧な事しか察しえないうちに、親父は行方不明になった。海外出張だとかなんとかで出て行った時に乗った船が原因不明の沈没で、ホトケは上がらなかったが死亡認定は出た。

だから、そう。親父が本当に死んだかどうかは、俺は知らないのだ。
そして目の前に親父と俺と母さんしか知らないはずの歌を歌うコンテナがあると来れば、コイツに親父が関わってたことは想像に難くないというものだ。


  ―――つーつまーれーてーゆーくー♪あーたたーかーなー♪


だが、何だ?これの中に入ってる何かがそうなのか?それとも人間そっくりな声で歌うこのピンクコンテナこそ親父の遺産そのものとかいう妙ちくりんなオチじゃないだろうな。
俺は、運搬業者としてはちょっとあり得ない事だが空けてはいけないそのコンテナを開ける事にした。今この機会を逃すと二度とコイツと出会う機会は無くなっちまうかもしれないからな・・・って、アレ?

「・・・何だこのコンテナ!?開閉用のコックとかがねぇ!!チップの読み取り機能は生きてたくせにどういうことだよ!?おいコラ!歌ってないで空けろコラ!!」


『貴方は、だあれ?』


突如俺の耳に飛び込んできたのは、まるでたった今俺が目の前にいることに気付いたかのようなおっとりした声。
・・・・・・・・・。

「喋ったぁぁぁぁぁあぁあああ?!?!」

どたたたん!と派手な音を立てながら後ろのコンテナまで下がってしまった。何だよ歌うたうだけじゃなくて人工知能の類なの!?・・・いくらなんでも中に人、ってことはないよな?

『・・・・・・?』

ん?何かを待ってるのか?待つったって何を?付き人?待ち合わせの彼氏AIとか?・・・あ、誰かって聞かれたのに名前答えて無かった。

「あー・・・俺は真田。真田・・・悟朗左衛門だよ」

一瞬ゴエモンで誤魔化そうとしたんだが、何か嘘をつくようで良心の呵責があったからフルネームで答えさせてもらった。

『サナダ・ゴローザエモン・・・?』
「で、えーっと・・・アレだ。お前は結局何な訳?」
『違う、”オマエ”じゃない』
「ぁえ?」

突然の、毅然とした拒絶だった。一瞬面喰ってしまった。

『私は、ドロレス!』
「ドロ・・・レス?」
『サナダ・ゴローザエモン・・・私の運命の人!!』

直後、バクンと3メートル近くあったコンテナが口を開いてマジビビった。だってあれ一枚で70キロくらいはあるんだもん。あれで足挟んだら骨折の可能性あるって。センパイで同期の人も骨欠けちゃったし・・・じゃなくて!!次の瞬間俺のあれこれの思考はパシフィックオーシャンの彼方までぶっ飛ぶこととなる。


「えっと・・・え?え、え、えぇ!?」


中に入っていたのは、恐らく全高3メートル近くある―――人型ロボットだった。
それはひとりでに動いて、俺の目の前で女の子座りしている。
カラーリングはコンテナと同じピンクが基調で、ロボットにしてはかなり生物的なフォルムをしているように思う。

ロボット・・・?ろぼっと・・・。ロボット!?いやISか?全身装甲ならこれくらいのサイズはありえるけど・・・待て待て待て!民間企業に何も知らせずISを運ばせるとかどう考えても密輸だろ!!コア搭載してたら国際条約違反だぞオイ!?それともこいつが噂に聞く国連の強化外骨格・・・!?というかコイツ!明らかに自立行動してるし!!明らかにヤバイ代物なんじゃないか!?待て待て待ってくれ俺だって社会人なんだこんな所で面倒事に巻き込まれたらこの先俺の家族はあばばばばば・・・・・・しかし、そんな俺の内心の葛藤をよそに―――

『始めまして、(わたくし)の運命の人!ドロレスと申します!』

そう言ったそのロボット(?)のドロレスは礼儀正しくも俺に深々とお辞儀をしたのだ。
何て人間臭いロボットなんだ!最近の若い奴にでも見せてあげたい挨拶の出来る子のようだ。喋り方もまるで女の子だった。・・・念の為確認しておくか。

「ドロレス、だったね?中に人が入ってたりする?」
『いいえ?私一人です!』
「・・・どこで作られたの?」
『さあ?存じません!』


その、瞬間。


俺の目線はある一点に収束された。


そしてその瞬間に、俺は初めてドロレスに心を奪われたのだ。






ぴょこぴょこ、と動いた、ドロレスの耳みたいなパーツに。



「か・・・可愛い・・・」
『えっ!?ヤ、ヤダ急にそんなぁ!恥ずかしいですよぉ~♪』



こうして、俺とドロレスは出会った。この出会いが後に世界規模の面倒事に繋がるとは、この時の俺は思いもしなかったのだ。その未来の手がかりは、俺の足元に転がってたのに。


『 運搬責任者リスト

ヤコブ・レートン 死亡
ルーカス・マクダネルJr. 死亡
モハメド・エル・カッサ 死亡
イシュマエル・ビン・ラヒム 死亡
コ・ソーナイン 死亡





 真田・悟朗左衛門   』


『真田・悟朗左衛門 ■■』


『真田・悟朗左衛門 死亡』



いや、勝手に殺すなよ!!と後でおれはパネルに対してツッコミを入れる羽目になった。 
 

 
後書き
Z.O.E Dolores, iとのクロス?
いやね、イクタチさんに言われたのを思い出して・・・まだ全部じゃないけど見て来たんだ。
あれ、いいロボットアニメだね。

書き終わって気付いたけど、この外伝だけでもゴエモンをオッサンキャラにしておくべきだったかな? 
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