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ヘタリア大帝国

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TURN128 ヒムラーの誤算その四

「もう盟主の時代ではないし植民地もね」
「それもか」
「既に全ての植民地を失っていますが」
「それもいらないんじゃないかしら」
 こうも言うのだった。
「貿易でやっていけるわ、充分ね」
「植民地こそが貴族の連中の利権になってるからな」
「そして現地民を苦しめていますし」
「だから皆こぞって独立したのよ」
 日本帝国の植民地独立政策、経済圏への取り込みに乗ったというのだ。
「そういうのを見ているとね」
「もう植民地の時代じゃないか」
「そのことも」
「エイリスは欧州の一国としてね」
 世界の盟主ではなくその立場としてだというのだ。
「生きていくべきじゃないかしら」
「昔の様にか」
「そうしていくべきだというのですね」
「ええ、この考えは間違っているかしら」
 エリザは自分が幼い頃から共にいる祖国達に問うた。
「この戦争の中で思ってきたことだけれど」
「そこは難しいな」
「私達としては」
 イギリス兄妹はエリザの言葉にまずは深刻な顔になった、そのうえでの言葉だった。
「やっぱりエイリスの栄光は大事にしたいしな」
「その国力も」
「植民地では貴族の利権の私物化と叛乱鎮圧の軍を置くことによる出費しかないわよ」
 その得る富はそうしたことで相殺されてしまうというのだ。
「だからね」
「植民地を持っていてもか」
「意味がありませんか」
「欧州自体もこの戦争で大きく力を落としているわ」
 エイリスだけでなく欧州全体がだというのだ。
「欧州中心の時代も終わるわ」
「ああ、それはな」
「私達も否定出来ません」
 二人もそのことは感じ取っていた、この戦争で欧州はその国力も地位も大きく落とした。その彼等と反比例する様すに。
「太平洋の連中が上がってきたからな」
「特に日本帝国が」
「だからね」
 それでだというのだ。
「もう私達はね」
「欧州の一国か」
「その立場で生きていくべきですか」
「それでもドクツの後塵をきすることになるけれどね」
 ここでも盟主ではない、だがだった。
「そうしていくしかないと思うわ」
「それを女王さんが受け入れてくれるかだよな」
「頭では理解していても」
「セーラちゃんは真面目過ぎるのよ」
 少し苦笑いになってだ、娘のことを言うエリザだった。
「そこは私に似なかったわね」
「女王さんは歴代女王の中でもかなり真面目な方だな」
「私達以上に」
「真面目過ぎるのよ」
 セーラはそうだというのだ。
「だからエイリスを世界の盟主であり続けさせてね」
「世界を正しく導こうと必死だよな」
「本当に使命感の強い方ですから」
「それが間違っているのかもね」
 寂しい、悲しさを帯びた微笑みでだ、エリザは今の言葉を出した。
「もう盟主の時代でもないしエイリスもその役割は終えているからね」
「じゃあもうか」
「あの方も」
「その考えを捨ててか」
「エイリス一国で」
「そうすべきじゃないかしらね」
 こう二人に話すのである。
「セーラちゃんが受け入れてくれるかは問題だけれどね」
「あとな」
 イギリスはここで嫌そうな顔になった、そして言うことは。 
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